やさしいキスをしよう
*この短編は初めての朝からの続編第9弾です。
意識をそらせ! を読まれた後お楽しみ頂けたらと思います。
「行くぞ」
抱きしめた腕を肩に回し牧野を抱きかかえるように歩き出す。
「行くって・・・どこに?」
「俺んち」短く言葉を吐く。
拒否はきかねえ!そんな強い想いで牧野の肩を抱く右の手のひらに力を込める。
今・・・
牧野がどんな表情してるかなんて確認する余裕などなく・・・
ただ素直に俺の歩幅に合わせてついてくる牧野にホッと胸をなでおろす。
迎えの車に牧野をギュッと押し込んでその隣に身体を預ける。
座席に背中を押しつけた瞬間「フー」と長めに息を吐いてしまった。
「フッ、どうしたの?」
ニコッと笑顔を作って牧野が下から俺の顔を覗き込んだ。
「お前が俺から逃げなかったから安心した」
次の瞬間牧野に覆いかぶさるようにちょっと強引とも思える様なキスをする。
俺のほっぺに当たる牧野の鼻が少し冷たく心地よかった。
唇を一度離してわざと唇を鳴らして「チュッ」と今度は軽めにキスをした。
「強引なんだから」と牧野はくすぐったそうな笑いを浮かべた。
車の中でなにを喋ったかなんて覚えてない。
いつもより車が屋敷につくのが遅く感じられ信号で止まる車から飛び降りたい衝撃にかられてしまった。
不機嫌そうな表情のままようやく到着した車から牧野を引っ張るように降りると自分の部屋へと向かう。
「俺が呼ぶまで部屋に近づくな」
使用人にそう言い残し部屋の入るとパタンとドアを締めた。
「俺シャワー浴びてくる」
本当ならこのまま牧野とすぐに抱き合いたい気分だが、さっきの俺の自然現象崩壊の結果を牧野に知られたくない訳で・・・
顔を赤らめる牧野を一人部屋に残し「逃げんなよ」と一言つけたしバスルームへ向かう。
バスルームからバスローブをはおっただけの俺に「私もシャワー」と俺とは目も合わせない状態でそそくさとバスルームへ牧野が姿を消す。
牧野の照れた仕草に俺まで感化されそうな感じに落ちいってしまった。
初めてじゃないはずなのにその時以上に胸が高鳴っている。
牧野が浴びるシャワーの音。
牧野が使う石鹸やシャンプーの匂いまで俺のもとに届いて来そうな感覚。
外に漏れてくる現実音に俺の鼓動はますます高鳴ってくる。
「チャッ」
牧野がバスルームの扉を開けた。
バスルームの照明を背中に受けてバスタオルを1枚巻いただけの姿で牧野が立っている。
長い髪は後ろで束ねてアップして、それがいつもよりあいつを大人ぽく見せている。
バスルームの柔らかい明りに照らされて映し出される肩や首筋が真珠色に輝きなまめかしく俺を誘惑する。
「道明寺・・・道明寺!」
幾度牧野に呼びかけられたのか気がつかないまま、俺はたぶんとっても大馬鹿な間抜け顔で牧野を見続け、牧野の呼びかけにもすぐに反応出来なかった。
「ちょっとヤダ!そんなに見ないで」
顔を赤くして伏し目がちな表情の牧野に俺はもうなにも考えられなくなってきている。
気がついたら牧野を引き寄せ抱きしめていた。
はらりとバスタオルが牧野の背中から外れる。
「ヤダッ」小さく唇から漏れる声を塞ぐように自分の唇を押しあて牧野の頭を抱え込む。
「俺・・・この前はいっぱいいっぱいで・・・無我夢中で・・・」
「今日はお前をやさしく抱きたいそう思っていたけど・・・やっぱ無理だわ」
牧野のこと一人占めしたくて・・・
俺以外の事考えられない様にしたい・・・
牧野の前だとただのダダッ子になってしまう。
目の前のものをどんな手を使っても手に入れたい・・・
どうしようもないダダッ子だ。
なさけねえくらいに・・・
自分の腕から逃れられないように牧野をしっかりと抱え込む。
ベットに運んだ牧野をその上にそっと寝かせる。
目の前に浮かぶ弾力に富んだ二つの白い丘にしゃにむに顔をうずめた。
「ヤダ・・・どう・・みょ・・・」
「イヤて・・・本当に?」
「イヤじゃ・・ない・・・」
潤んだ瞳で俺を見つめてそしてまつげを伏せる。
俺の下で途切れるよう牧野が小さく声を立てた。
二人の息遣いだけがまじりあい、静けさの中に溶け込んでいく。
俺の愛撫に一生懸命耐えているように閉じた牧野のまつげの先が小さく震えだす。
思わずそっと牧野のまつげにキスを落とした。
牧野の存在に自分を残すように唇をすべての肌に宛がう。
俺はこれ以上には奥深くまでいりこめないほど自分自身をあいつに溶け合わせ脳の一点を突き抜けるような心地よさに導かれらる様に思いに任せたまま果てた。
心地よいけだるさの中、牧野と俺の鼓動が同じ調律でリズムを刻む。
「愛してる」牧野の耳元でそう呟いた。
「私も・・・」そう返した牧野の唇にこれ以上にないくらいやさしいキスを俺は何度も繰り返していた。
なんとか司とつくしの2度目成就させることができました。
いかがだっでしょうか?
この手の文章は苦手で(^_^;)
どうも照れてしまいます。