第8話 From one's heart 1

花男二次小説第8弾

つくしも大学2年に進級して迎えた若葉の季節。

すがすがしい日々を送るはずが・・・

総二郎とあきらの悪ふざけを信じた司が巻き起こした騒動につくしは思わず絶句する!

 

-From 1-

*

満開の桜もいつの間にか散り春に別れを告げ若葉の季節が到来を告げる頃、私は無事大学2年に進級することができた。

もちろんF4のみんなも落第する訳はなくみんな進級している。

この1年間いろいろありすぎてあっという間に過ぎたというのが私の感想だ。

よく無事に進級できたと本当に思っている。

道明寺の場合大学に来ているより道明寺財閥の跡取りとしてそっちが忙しくなりつつあるため、出席日数足りてないんじゃないのなんて心配していたが、その必要はなかったことに最近知らされた。

大学も高校と同様特別扱い継続中であることを心配してた私に花沢類がそっと教えてくれたからだ。

それならそうと早く行ってくれればよかったのにとふくれっ面を見せる私に「とうに気がついてると思ってた」なんて

花沢類はにっこりと笑う。

ずーとみんなと一緒に過ごすうち高校時代のF4のやりたい放題の学校生活の事すっかり忘れていた。

制服も着ないで私服で通し・・・

赤札貼って・・・

気にいらない生徒を痛めつけて・・・

教師達も見て見ぬふりで誰からも文句の言われない傍若無人ぶり。

教室での授業受けている姿なんて見ることなく卒業したんだっけ・・・

普通あり得ない高校生活送っていた人たちが、大学に進学したからといって、一般人と一緒のはずがあるわけなかった。

F4て何のために高校来てたんだろう・・・

「高校の時って、学校に来る必要てなかったんじゃない?どうして来てたの?」と疑問を素直に口にした。

「「暇つぶし」」

速攻西門さんと美作さんから返事が返ってきた。

その暇つぶしで赤札を貼られ、相当しんどい目にあわされた私の事など忘れているみたいに悪びれた様子は微塵も感じられない。

「その暇つぶしのせいで私は大変な目にあったんですけど!」

少し不満そうに口調を強めて言ってみた。

「牧野の場合メインは司だったから、俺達そんなに関係ないぞ」

「あいつは好きな女の子にアプローチの仕方知らなかったから」

「好きな子いじめて自分に注目してもらいたい~てやつ」

「典型的な幼稚園児の初恋の行動パターン」

楽しそうな顔して西門さんと美作さんが私を囲む。

この二人にかかったら道明寺も完全に子供も扱いされている。

あんまり二人に近づいて欲しくなくて身体が思わず後ろに引いてしまった。

「てめーら人を餓鬼みたいに茶化すんじゃねえっ」

いつの間に現れたのか眉を吊り上げた道明寺が二人の影から現れた。

「おっ!自分の悪口をは聞きつけるの早いな」

「だって本当の事だろうが、牧野と偶然キスしたくせにその後には牧野は俺に夢中だなんて豪語していたのは誰だっかなぁ~」

そう言って美作さんはニヤリと笑う。

「うるせっー、そんな昔の事覚えてられるか!?」

口調は荒いが道明寺は耳まで真っ赤になっている。

その頃って・・・

一番私が道明寺を毛嫌いしてた時で・・・

花沢類の事をビー玉の瞳の王子様なんて私のあこがれの存在に思ってて・・・

かっこいい!なんて思春期の少女らしく優紀と噂していた頃だよな・・・

私・・・

道明寺に思わせぶりな仕草なんて絶対にしていない頃だぞ!

私が道明寺に夢中なんてそんな結論どこから導き出したのだろう。

その自分勝手な都合のいい解釈。

道明寺らしいとクスッと笑いたくなった。

でも・・・

いつから私は道明寺の事を気になりだして好きになったんだろうか・・・

わがままで・・・

傍若無人で・・・

強引で・・・

お金にもの言わせるみたいな典型的おぼっちゃまで・・・

大っきらいだって思いで反抗すると道明寺にパンチお見舞して宣言した高校2年の私・・・

どこから私の気持ち変ったんだ?

気がついたらそんなこと考えていた。

「まあ、今はみんな仲良くやって問題ないでしょう。司も牧野も付き合い順調みたいだし」

花沢類はそう言ってにっこりほほ笑んで見せた。

-From 2-

気がつけば目の前の道明寺を睨んでいた。

この1週間音沙汰なし。

私の携帯も道明寺からの着信音が流れることはなかった。

今まで忙しくてもあいつの声が聞けないなんてことはなかったのに・・・

忘れ去られたような感覚・・・

目の前で「ヨッ!」なんて機嫌よく笑顔を見せるあいつに無性に腹が立った。

「ここしばらく忙しくて連絡できなかった」

悪びれた様子もなく言い放つあいつに私の神経はますます逆なでされる感じだ。

「忙しいなら別に大学まで来なくてもいいでしょう」

久しぶりに会えてうれしいはずなのにすねた態度をみせてしまう。

「あっ!お前に会うために時間見つけてきたんじゃねえか」

「昼でも一緒に食事でも摂ろうとやっと作った時間だぞ」

スーツを着こなして目の前に座るあいつはいつもより大人びた雰囲気だ。

口を開かなければの話だけれど・・・

「1週間も連絡もなしでよく言うよ」

これって・・・

単なる恋人どうしのありふれた喧嘩の一場面みたいじゃないか。

私達にしては珍しい・・・

思わず自分の口から出た言葉に照れくさくなって小さく笑いが漏れてた。

文句言って笑ってれば世話わねえみたいな感じで道明寺もため息交じりに笑いだす。

「ホントにごめん、お前の事忘れてた訳じゃねぇから」

ぶっきらぼうに言いながらテーブルに置いていた私の右手を道明寺がそっとつかんだ。

つながった手のひらから暖かい体温が伝わり私の体温も1度上昇したような気分になる。

「短い時間だけど一緒にいてぇ」

道明寺の言葉に笑顔で「うん」と頷く。

二人たわいない話をしながら向かい合って食事をとる。

こんなことで私の機嫌が治るなんて単純だよね。

道明寺ってすごく安上がりな彼女もってる。

感謝しろッ!なんて心の中で叫んでみた。

「久しぶり、司!」

「大学に来たと思ってら牧野の会いに来ただけか・・・」

出た!お祭りコンビ!

今日はからかうことなんてないはずなのに西門さんと美作さんは相変わらずだ。

「俺らも一緒に飯食っていい?」

「ダメだ」

道明寺の不機嫌な返事は物ともせず私達のテーブルを二人占領する。

「まあ、まあ、俺達も司に会いたかったしなあ」

「俺はお前らに会わなくてもなんら困ることはねぇ」

ナイフとホークを持つ手が震え道明寺のこめかみに青筋がピキッと一つ浮かびだす。

「私はいいよ、食事は多い方が楽しいし・・・ねっ」

上目づかいで道明寺に視線を向ける。

「しゃあねえ」そう言って道明寺が「フッ」とため息ついた。

釣られる様に私も「ホッ」とため息をつく。

ん?

ため息ついたと同時になんだか気分が悪くなってきた。

今にも吐きそうな感じ。

「ごめん」そう言って慌てて口を押さえて立ち上がり洗面所を目指すためみんなに背中を向ける。

「大丈夫か?」後ろで道明寺の声が聞こえた。

「あいつ、なんか悪いもんでも食ったか?」

「「つわりだったりして~」」

西門さんと美作さんの声に思わず固まって歩きを止めてしまった。

そんなはずないでしょう!

変なこと道明寺に吹き込むなっーーー

生理も終わったばっかりだぞーーーーっ

引き返して否定したかったがそんな時間など私に残されてなく、慌てて洗面所へ向かっていた。

-From 3-

「つ・わ・り・・・」

「つわりってあのつわりかーっ!」

思わず総二郎の襟首をつかみ司が詰め寄る。

「つわりにあれもこれもねーだろう」

「身に覚えあるんだろう」

総二郎がニヤリと小声で司に耳打ちする。

「まあ・・・まあな」

総二郎の襟首を離し、呆けたように司がつぶやく。

「お前が原因で、牧野が結果てやつ~」

「子供が出来てたとしてもおまえは困らねぇだろう」

あきらの言葉に司が無言で何度もうなずく。

さっき牧野が俺達を睨みつけた様子じゃあ、それは限りなく0に近そうだけど・・・

そう思いながら、ついつい司の反応を楽しんでしまっている総二郎とあきらだ。

おい・・・なんかえらく司が考え込んでいるぞ!

次・・・ブツブツ独り言を言いだしている。

お互いに総二郎とあきらが顔を見合わせる。

やっぱ、司おもしれぇ~

「わーーーーっ」

「俺どうなる?いつ生まれる?男?女?」

司・・・言ってることむちゃくちゃだ。

お前はどうにもなんねえ。

腹が膨れてくるのは牧野の方だし・・・

いつ生まれるなんて今はまだ未定だ。

男か女なんて俺達にわかるわけねえだろうがぁぁぁぁぁ

その前に牧野は妊娠してねぇと思うけど・・・・

「ブハハハハハハハ」

司の動揺の混じった慌てぶりが二人の笑いを大きくさせる。

これぐらいにしとかねえと後がヤバイ・・・

「司・・・今の冗・・・談・・・」

そうあきらが言いかけた時、「わりぃ、俺やることができた!牧野にここで待つよう言ってくれ、速攻で帰ってくるから」

そう言い残して、転げるように二人の前から司が走り去っていった。

「司!待て!今の冗談だ!牧野に確かめてからでもおそくねぇぞーーーーっ」

行っちまった・・・

俺達の声・・・全然司に届いてねぇ。

あいつ・・・

なにする気だ・・・

彼女が妊娠して短時間で出来る事ってなんだ?

全く解かんねぇ・・・

総二郎とあきらは同じ気持ちで顔を見合わせた。

「お二人さん、さっきは聞きづてならない様な言ってませんでした?」

司が姿を消した数分後、総二郎のあきらの後ろにつくしが指をボキボキ鳴らす感じで睨むように立っていた。

「わりぃ、冗談」

あきらがつくしに謝る仕草を見せる。

悪ふざけ過ぎだーーーーー

もう一言、説教しなきゃ気がすまない!

つくしがそう思った時なにか足らないことに気がついた。

「あれ・・・道明寺は?」

つくしが思わずテーブルの周りを見回す。

「「スマン」」

総二郎とあきらが同時につくしを拝むように頭を下げた。

「司、俺達の言葉を真に受けて・・・飛び出して行ってしまった」

「「本当にスマン」」

総二郎とあきらがつくしの前で珍しく小さくなっている。

「私が妊娠したと道明寺に思い込ませたということなのッ」

つくしの身体全体にピクピクと怒りのオーラーがまとわり出しているのが総二郎とあきらにも伝わってくる。

牧野を本気で怒らせるとこんなに恐ろしいものなのか・・・

そんなに牧野に睨まれるような事俺らやったわけ?

今回が嘘だったとしても近い将来そうなってもいい訳だし・・・

別にそこまで怨まなくても・・・いいような・・・

少し怨みがましい視線をつくしに二人がむける。

「お二人さんッ、この責任しっかりとって道明寺の勘違いなおしてもらうからねッ」

地獄の釜から聞こえてくるようなすごみのある声で言い放つと、つくしはドカッと自分が元いた席に腰を下ろした。

司より恐えかも・・・

シャレにならねぇーーーーーー

そんな思いに総二郎とあきらの背中からツーッと冷たい汗が流れおちた。

-From 4-

あいた口が塞がらないとはこのことだ。

あきれ果てて言葉も出ない。

今私の目の前に山と積まれた赤ちゃんグッズ。

紙おむつに、おもちゃにベビー服。

今ここで赤ん坊一人飼育できる状態だ。

果ては姓名判断の本まで飛び出した。

道明寺が一人で持ち切れなかった荷物はSPに運転手まで総動員されて、私の目の前に並べられている。

顔見知りのSPの一人に「おめでとうございます」と祝辞を言われる。

道明寺・・・喋ってる?

目が飛び出す感じに道明寺を見てみれば、にこにこご機嫌が服着てバカデカクマのぬいぐるみ抱えて立っていた。

まあこの買い物の状態見れば、普通の人なら大体の見当はつくだろうけど・・・

追いうちをかけるように、気心の知れている運転手の里井さんがシカッと私の両手を握ぎってきた。

そして「坊ちゃんのお子様が見られるなんて」と感無量に涙をほろりと流し出す。

私の妊娠の噂が独り歩き始めてるーーーーーッ。

今この状態で何人私の妊娠信じてるの!?

道明寺が私を妊娠したと思って飛び出したと思ったらこれ?

それに今大学の中だよ!

校内随一の有名人F4と私が山と積まれた赤ちゃん用品囲んでる。

異常なこの空間・・・

人目をひかないはずがない。

案の定、遠巻きに見ていた学生達の間からヒソヒソ声が飛び交い始める。

ギャーーーーーーッ

気を失わなかったのが不思議なくらいだ。

明日には私が妊娠した話しを飛び越して子供産んだ噂が飛び交うじゃなかろうか。

このままじゃあ、私の身がもたない!

これは誰のせいだーーーーーーッ!

今までにこれほど人を憎んだ気持ちはない!

「逃げるなっ」

こそこそとその場を立ち去ろうとする西門さんと美作さんを睨みつけた。

「これ、お腹の赤ん坊に話しかける道具らしいぜ」

いろいろ説明する道明寺はやけに楽しそうだ。

「全部片づけて!撤収!」

あまりの私の勢いに、SPと里井さんそれにまぎれて西門さんと美作さんがバタバタと荷物を運び出す。

二人の首根っこ捕まえて「このままバックレたら承知しないよ」と啖呵を切ってしまった。

「お前なに怒ってる?機嫌悪くねえか?」

「妊娠したらホルモンバランス崩れて怒りっぽくなるとか聞くもんな」

「もしかして、お前から告白される前に俺に知られたこと気にしてる?照れてるんだ」

「そんな事気にすんなッ、最初は驚いたけどすげーうれしい」

道明寺は独りで喋って納得してニヤついてる。

この能天気がぁぁぁぁぁ!

道明寺のネクタイ握りしめ私の方へ力いっぱい首絞めるように引っ張った。

「私がいつ妊娠したて言った?」歯ぎしりするように絞り出す。

「えっ?」道明寺が考える素振りを見せた。

たしか・・・

牧野が気分悪そうに吐きそうになって・・・

それ見て、総二郎とあきらがつわりって・・・

それ聞いて俺は慌てた・・・

牧野は一言もなにも言ってねえ・・・

「もしかして・・・・妊娠はしてないのか?」

呆けた感じに道明寺がつぶやく。

「もしかしても、なにもないでしょう!?」

「道明寺!あんたこの前、私と会った時の事覚えてないの!?」

「あんたが私を押し倒してきたから、今日は無理出来ないて断ったよね?」

「ああ、生理中だから無理て言ってたやつだよな」

「なんで1週間前生理が来てた私が妊娠してるんだーーーーー」

「たとえ妊娠してたとして、あんたの子供じゃないってことでしょうがぁぁぁぁ」

怒りにまかせてなんか関係ないことまで私喋り出してしまってた。

ガクッと一度身体の力が抜けたようになっていた道明寺がキッとなって私を見つめる。

「お前!ほかの奴の子を妊娠するのかよ!」

えっ・・・・

思わず私の思考が固まった。

「あっ・・・さっきのは言葉のあやで・・・怒りのどさくさで出てきたみたいなもん!」

「そこまでの話の流れがあるでしょう!」

道明寺が変な妄想考えてるような気分になってきた。

「お前の口から言ったんだろうがぁ」

「あんたの子じゃぁないって」道明寺に掴まれた両肩にズキッと痛みが走った。

「司の子じゃない・・・」

「誰の子だ?」

ガバッと振り返ったその先に片付けを終えて素直に戻ってきた西門さんと美作さんが立っていた。

-From 5-

「俺達知らなかったなぁ、牧野が司意外に付き合っていた奴がいるなんて・・・」

「牧野の周りに居る男ってお前と俺と類ぐらいだよな?」

「俺達のはずねえし、もしかして類?」

真面目な顔して総二郎とあきらがぼそぼそ小声で話し出す。

そんな話は俺達に聞こえないようにやるもんだろうがぁー。

「クッ」

握りしめた両手のこぶしがブルブル震えだしてきた。

ついさっきまではこいつらの言葉を信じて牧野が妊娠したと思いこみ・・・

大学卒業して結婚する俺の計画を前倒出来る事に空に舞い上がる気分になった。

そう思ったら、やることいっぱい俺の頭を駆け巡る。

西田に電話して今日の予定全部キャンセルさせた。

「牧野が妊娠したかもしれない」と言った俺の言葉に少しの沈黙の後「よかったですね」て、あの西田が・・・

ちょっとうるんだ様な声で言ったんだぞ!

思わず西田が目頭抑えてるポーズ浮かべて笑いそうになったけどな。

いろいろ準備しとかなきゃて気になった。

運転手の里井に赤ん坊に必要なもんそろえられるとこに連れて行くように指示をした。

べビィー用品がずらっと並ぶコーナーを体格のいいSP連中ひきつれて大の男が手当たり次第にお買いもの。

場に合わねえ雰囲気に周りの注目えらく浴びてた。

そのうち店長が飛んできて、いつの間にか大名行列出来あがる。

店長らにも子供が生まれるなんて機嫌よく説明して笑顔作ってたんだよな・・・

「かさばる物は屋敷にお届けします」なんて、手をすり合わせて頂点のうすくなった頭下げてなかったか?

その後一番大事なことに気がついた。

早く牧野と結婚しなきゃいけないと区役所行って婚姻届もらってきた。

俺のスーツの内ポケットには俺のサインばっちり記入した婚姻届が入っている。

出せねえじゃねえかぁぁぁぁぁ。

確かに牧野の言ったこと正論で・・・

あいつにしっかり確かめなかった俺にも責任はある。

だが・・・

総二郎とあきらがつわりなんて言うから焦っちまった。

1週間前の牧野の体調なんて思い出せるものか。

牧野 + 吐き気 = 妊娠 + 結婚出来る!

この方程式意外考えられなくなってしまっていたからな。

それが・・・

牧野 + 賞味期限切れの食品 =吐き気

これが正解に近いはずなんて今頃気がついた。

牧野は俺の用意万端、用意周到のよさに、まん丸の目ますますまん丸に驚きの表情を見せる。

そして、「産んでもいいの」なんて言って、涙流して喜んで俺の胸に飛び込んでくるのを俺はそっと優しく抱きしめる。

一息ついたところで「すぐに結婚しよう」て牧野のサインだけで済む婚姻届を渡す。

シミュレーション完璧に出来あがっていたのにーーーーッ。

牧野は違う意味で目を見開いて、俺のネクタイ思いっきり引っ張ってきた。

絞殺されるかと本気で思った。

「なんで1週間前生理が来てた私が妊娠してるんだーーーーー」

牧野の言葉に総二郎とあきらに乗せられただけの事に気がついた。

それに気がつかなかった俺って・・・

牧野からしたら完全にアホにしか映らねえよな。

身体全体に脱力感が俺を襲った。

「たとえ妊娠してたとして、あんたの子供じゃないってことでしょうがぁぁぁぁ」

たとえ妊娠しても・・・俺の子じゃねえ?

こいつなにを言い出してる。

まるで俺以外の男の子供妊娠したみたいな事言ってないか?

吐きけのようなむかつきが喉の奥からこみ上げる。

「お前!ほかの奴の子を妊娠するのかよ!」

なに言ってる?みたいな表情の牧野に俺が今どれだけ心にグサッときてるかなんて思いやる余裕はなさそうだ。

牧野の言い訳じみた言葉にますます苛立ってきてしまっていた。

思わず牧野の肩に置いた両手に力が入る。

痛さに顔をしかめる牧野にほんのちょっとやりすぎた思いが頭をもたげた。

いつの間に戻ってきたのか聞こえてきた総二郎とあきらの声が完全に俺の不機嫌を焼失させた。

本気でそんなこと思ってるはずねえじゃねえかと言いかけた時、こいつらの口から類の名前が飛び出しやがった。

こいつら・・・

まだ俺で遊ぶ気か!さっきのじゃあまだ足りねえのかよ。

横で牧野も頭から蒸気を出して暴走しそうな勢いだ。

「俺を呼んだ?」

ひょっこりノホホンと類が俺達の前でにっこりほほ笑んで立っていた。

From one's heart 2 に続きます

妊娠してないのに妊娠騒動。

さすがつかつくだ。

書いた本人が感心してます。

だってありえる展開だとは思いませんか?

この先どう展開させる気だろう・・・私・・・

いつものごとく最初のイメージとかけ離れたお話になってきてます(;一_一)