終わりよければ・・・
*
寝過ごしてしまった。
気がつけば時計の針は8時を示していた。
俺の枕元に置いていたはずの目覚まし時計。
数メートル先の床に転がっている。
夜中2時の時間が過ぎていた事は覚えている。
牧野の柔らかい身体抱きしめること想像しながらいつの間にか眠ってた。
俺が寝起きの悪いの解かっているから頼んでも誰も起こしに来ない。
起こして蹴りいれられるのと起こさないで俺が切れるのと一緒の反応だということが原因らしい。
自分の今までの行動が自分の首絞めてると初めて自覚する。
責める相手を見つける暇より今は少しでも牧野との待ち合わせの場所に直行することを優先する。
なんとか9時前に自宅を出た。
「たまには庶民のデートやってみて」
なぜか牧野が挑発的に俺に反応示していたこと思い出す。
出来ない!出来る!て・・・
バカみたいな言い合い昨日していたんだっけ。
本当にバカげた言い合いを楽しんでいた。
今日はおかかえ運転手を拒否してタクシーを走らせた。
牧野に言わせれば贅沢だろうが、俺の家にタクシーが乗り付けるなんて前代未聞の出来事だ。
結構牧野に言われると従順してしまう俺って、なんなんだろう?
惚れてる弱み?
それだけはあいつの前では見せられねぇ。
待ち合わせの時間を30分過ぎた頃なんとか予定の場所に行きついた。
牧野の機嫌はどうだろう?
ふくれっ面で「もう!遅い」なんて言われてもニヤケてしまいそうな俺がいる。
この先は俺が絶対楽しませるから全部任せな!?そんな気分で牧野の姿を探した。
いねぇ・・・
そんなはずはないのだが・・・
ふと男性二人に対当している女が一人目に留まる。
牧野が二人の男に言い寄られていた。
「俺達に付き合って」
「待ち合わせしてますから」
「もう30分以上一人じゃん、すっぽかされたんじゃない」
こいつらそんな前から牧野見てやがったのか!
牧野に声かけるなんていい度胸じゃねえか。
ぶちのめす!
そんな嵐が俺の心に吹き荒れる。
走り出す俺の目の前。
「いい加減にして!」と牧野が言い放つ。
一人の男が白眼を向いて腹抑えながら前のめりに倒れ込んだ。
「ブハハハハ」
すげぇ!
俺の気分が向上する。
笑いを押さえながら戸惑いの表情を見せる相棒の男の肩をトントンと俺が叩いた。
「こいつの面倒は俺しか見れねえよ、相手見てナンパしやがれ」
そう言いながらそいつの右頬ぶち抜いた。
倒れこむそいつを見ながら俺の背中に牧野が回りこむ。
「やりすぎてない?大丈夫?」
おまえがそれを言うのかよ。
苦笑する頬を必死で引き締めた。
俺の登場になんの反抗もせずもあたふたと男達は逃げていきやがった。
それを見届けて安心したのか、「遅い!恐かったんだからね」と、一応は俺の予定通りのふくれっ面の牧野が俺を睨んでいた。
お前の反応・・・
とてもそうは思えねえけど・・・
この際だから、「ごめん」と一応謝って、そっと両手を牧野の腰に回して抱き寄せた。
「この埋め合わせするから」
俺の言葉に胸元で牧野が「ウン」と素直に頷づく。
ヤリーッ!
俺・・・
心の中で雄たけび上げていた。
短編「眠れない夜」つながり書いてみました。
この後の司企画デートプランどうなるのでしょう?
続きは・・・また。