霧の中に落ちる月の滴 18

このお話もそろそろ終わりが見えてきたような・・・

まだ類君の記憶戻ってないんだよなぁ・・・

 *

ここ最近までの俺たちの出席したパーティの情報収集。

俺と牧野だけじゃなく、類に総二郎やあきらのものまで。

俺たち5人がそろって出席したパーティーはそうあるものじゃない。

その中に敵との接点はなかったか徹底的に調べさせた。

浮かんできたのは女性じゃなく以外にも男。

自分の知らないところで自分の知らない奴が自分に執着を持つ。

良きにしろ悪にしろ嫉妬の感情は常人には理解できない行動を生む。

「フラれた原因が類って思われたってことか」

「勝手にのぼせられるのはよくあることだけどな」

俺や、類よりそっち方面は総二郎やあきらが専門だと俺は思っていた。

逆恨みってやつは俺たちに付いて回る性ってやつだ。

類を調べてみたら、類につながる女性で浮かんだのは牧野だけ。

当初は牧野の心がわりを狙って、誘いの声をかけたが完全無視に男の自尊心は好きな女にフラれたことより傷つけられた。

そいつは牧野のせいじゃない。

俺に惚れてるからしょうがない。

つーか俺以上にいい男がいるわけぇねんだよ。

ニヤつく俺にただ、鈍感なだけだと言いたげな表情を総二郎やあきらは俺に向ける。

「それで、ターゲットは類と牧野の二人に変わったってことか・・・」

「牧野が類じゃなく司の婚約者だって教えたら顔色を失ってたけどな」

「あれは完全に魂を抜かれたって状態だったぞ」

おいしいところは総二郎とあきらに持っていかれた。

俺がその場にいたら相手を殺しかねないって言う理由でことの結果を聞いたのはすべてが終わってから。

一歩間違えれば俺は牧野だけじゃなく親友の類まで失っていた。

捕まえたらそれで終わりで済ませられるはずがない。

自分のこの手で相手の息の音を止める。

やりてぇだろうがぁぁぁぁ。

「代表を犯罪者にするわけにはいきませんから」

澄ました顔の西田が俺に報告をいれたのは総二郎とあきらが現れたほんの少し前。

西田に全部任せんじゃなかったよ。

事件の真相は究明できた。

それでもまだ問題は残ってる。

類の記憶はいまだに戻らないまま。

類より早く退院した牧野は毎日のように類の病室を訪れてる。

「私を庇って怪我をしたんだから退院するまではしっかり看病する」というのが牧野のいい分。

それをやめろとは言わねぇ俺。

今の類の記憶の中のすべての愛情は牧野・・・

お前に注がれてる。

それはたぶん、俺も牧野もわかってる。

行くな。

言いたいのに言えない。

牧野を見る類のやさしさとうれししさを混ぜ合わせたような瞳の輝き。

今まで俺は気づかなかったんじゃなく気が付かないふりをしてただけ

それは、俺の嫉妬心を押さえこむのは十分。

類の本心。

お前はまだ牧野のこと・・・・

想ってるよな。

「ごめん、行ってくるね」

すまなそうな表情で類の病室に入る牧野を柱の影から俺は見送る。

これもそろそろ終わりにしよう。

類の記憶が戻るのを待っても意味がない。

結果はもう、決まってるのだから。

長引かせて得るものなんて何もない。

傷つくのは俺たちじゃなく類。

悪い。

類。

またお前に我慢させてしまう。

お前を何度も傷つける。

それでも俺は牧野を二度と手放すことなんてできないから。

牧野は俺とつきあってる。

俺のものだ。

そう告げるために俺は類の病室のドアをノックした。

拍手コメント返礼

Jacqueline 様

一番拍手ゲットありがとうございます。

珍しくないですか?

ラッキーといわれてうれしいですが、なにかいいことありました?

あったらいいなぁ♪

スリーシスターズ 様

事故の真相をもっとクドクいこうかなと思っていたのですがそこはあまり触れずに解決しちゃう方向に言っちゃいました。

実はほかの作品にただいまエネルギーと時間をとられてるんです。

詳しい告知はもう少し後になるのですが、出来上がったら一気にUPする予定です。

葉っぱコンビも最近姿が見えないのでどこかで登場させたいと思ってます。

りり 様

残るは類の記憶だけですよね・・・。(;^ω^)

スカイシー 様

連載まで到達ありがとうございます。

追いつくの大変だったと思います。

でも私はうれしいいなぁ。