ワールドカップ2010観戦編 その2
*「バブーッ」て・・・
なんでこのちっこいのまで起きている?
ついでに青いユニホームまで着せられているし。
西田さんが買ってきてくれたってつくしがやけに喜んでいるのが面白くねっ。
それにしても、西田がどんな顔して赤ん坊の服を買ったのか・・・
想像しただけで爆笑だ。
子供の服の大きさをよく知ってたもんだと気がついた。
俺なんて未だに赤ん坊の服のサイズなんてしらねーぞ。
この前買ってきた服なんて2年は着られないとつくしに笑われたばかりだ。
抜かりはありませんと自信たっぷりな西田の顔を頭の中で塗りつぶす。
「ミルク飲ませたらそのまま眠らなくって、参った」
困ったような顔なんて全然してねぇのに、ちっこいのと同じ笑顔が二つプカリと浮かぶ。
画面に映し出される得点場面。
さっきからこの繰り返し。
それなのに「ワー」とか「キャー」とかさんざん同じ感動を繰り返している。
飽きねーのが不思議だ。
チビもつられる様に「オー」とか言ってるし・・・
こいつ・・・分かってるのだろうか?
フリーキックがどうとか、こうとか、まったく分からない。
ただ何となく・・・
映像からうける感覚は半端じゃないと俺も理解した。
しょうがねぇなとチビを受け取り膝の上に座らせる。
最近なんとか素直に俺が腕を出せば特上の笑顔で抱きつくようになったチビ。
仕事の都合で屋敷を離れていた俺をやっと父親と理解したらしい。
結構泣かれて苦労する俺をつくしがからかって喜んだ。
赤ん坊なんてそれまで見た事はあっても触ったこともなかった。
この俺がよだれ付けられても喜んでニヤついてるなんてすげーことだと思うんだけど。
「いいですね。パパに抱っこされて、ご機嫌だ」
慣れるまでは使用人の間で話題となったらしいこの風景。
見慣れた使用人たちは目を細める。
親が子供の世話するの当り前だろう。
おむつも替えるしミルクも飲ませた。
風呂ではおぼれさせそうになって、つくしが血相変えて飛び込んできて殴られたことは内緒の事件。
他人任せの育児は絶対ヤダのつくしの教育方針。
俺なりにしっかり手伝っているつもりだが、つくしに言わせると50%の評価らしい。
その評価の訳は・・・
世話の焼ける割合は俺もチビも同等だからとクスクスとつくしは笑い声を上げる。
そんなはずねえだろうと反論しても子供以上に手はかかると真顔で言われた。
「ほら、後半始まるよ」
大画面に映される迫力のボールのとりあい。
周りの大人たちの歓声に負けじと小さい奇声が上がる。
俺の側につくしがいて、膝の上にはチビがいて・・・
なにも考えずに画面のなかの試合に一喜一憂する単純な時間。
この幸せに酔いしれる。
PKで相手にとられた1点に「アー」とため息が漏れる。
チビまで「アー」て、なんなんだ?
チビの反応が大人たちの笑いを誘い笑顔が部屋に充満する。
みんな単純だ。
それに満足してる俺は完全な親ばか。
3対1で日本が勝って終わった試合。
気がつけば俺の膝の上でチビはすやすや寝入っていた。
「そっくりですね」
「誰に?」
「ぼっちゃんに」
「寝てる時だけは手がかからない」
微かに西田の口元が緩む。
「西田さん認識甘い。こっちの大きい方は寝てるときも手がかかります」
つくしはチビが起きない様にゆっくり俺の膝から抱きあげて意味深な笑いを俺に向けた。
二人の甘アマでいこうかどうか迷いながらいつかは書きたかった親子編。
ここで書いて仕上げてみました。
一話目からの意外な展開いかかだったでしょうか?
まだ私の中では生まれた子供は男の子か女の子か決まってなくてあやふやに書きあげてしまいました。
生まれたのはどっちだろう・・・
次の試合に向けたお話も読んでみたいと思われたらピコッと拍手お願いします。
明日は頑張れニッポン。
楽しいワールドカップとつかつくのコラボが書けますように~