思い出にかわるまで

 

マネキンシリーズ 第9弾!

このお話は花男短編「こうしてドレスは作られた」の続編です。

出来ましたら第1~8弾を読まれた後お楽しみください。

* 

「面白い物を見せてやる」

「なに?」

週末の午後つくしの目を両手で塞いで屋敷の一室を目指す。

「俺がいいと言うまで絶対目を開けるなよ」

「わかった」

クスクス笑いながらも素直に俺の言いつけを守るつくし。

かわいいじゃないか。

3日ほど前に姉貴から届けられた巨大な箱。

開けてみれが懐かしい記憶がよみがえる。

つくしは覚えているだろうか・・・

俺が作らせたつくしマネキン。

その横には姉貴が作った俺のマネキン。

目の前の二つのマネキンは結婚式のタキシードとウエディングドレスを着て並んで立っている。

結婚祝いだとの姉貴のメッセージつき。

パーティーのドレスを内緒で作るため必死で作ったつくし等身大のマネキン。

俺のマネキンは姉貴が俺を懲らしめるために勝手に作った奴。

俺の大事なところのサイズは子供の頃しか知らないからと小指サイズと言い放たれた。

そこは今もそのままなのだろうか・・・

それだけが気になった。

総二郎やあきら、類にまで笑われた数年前。

つくしサイズ完璧のマネキンに俺の想像力は膨らんだよな。

妄想!欲情!

よくこんな無機質に連想していたもんだ。

やっぱ生身には勝てねぇ。

つくしとマネキンを見比べて昨日の熱い一夜に思い出しニンマリとなった。

たった数時間前の出来事。

至福のひと時。

最高の目覚め。

いいもんだ。

なにニヤッいてるのとつくしに訝し眼な向けられ慌てて顔を固める。

「結婚祝いだと姉貴が送ってきた」

起き上がって来た欲情を押しとどめるように誤魔化す。

「これって・・・あの時の?」

「ああ」

「覚えてるよこのマネキン、恥ずかしくてたまんなかったもん」

「バカだったよね。道明寺」

ケラケラ笑ってつくしが俺を振り返る。

「しょうがねぇ、あの時はまだお前を俺の物にしてなかったしな」

「我慢させられっぱなしだった」

ひねくれ気味に言ってみた。

「だからってマネキンを抱きしめったら変態じゃん」

真っ赤になって口をとがらせる。

昔と変わらない幼い表情。

メロメロだ。

「変態じゃねッ」

軽く首に腕をまわして責めるふりして耳元に唇を近づけた。

「それじゃ、なに?」

首を持ち上げて上目づかいに見つめる視線。

たまんねぇッ。

「お前が欲しかっただけ」

腕を背中にずらして、そっと抱きしめて小さな体を包み込む。

「今ではいい思い出だろう」

「笑い話じゃないの?」

目を細めて俺を見つめるつくしの目はいつも以上にやさしくなった。

「マネキンも幸せそうだよね」

「俺達にはかなわねぇだろ」

もう一度ギュっとつくしを抱きしめる。

逃さないように・・・

離れぬように・・・

胸の中へ愛しさと一緒に柔らかい身体を閉じ込める。

このまま時間が止まればいい。

永遠に二人だけの時間

ベタな考えを心の底から願った。

幸せな空気に包まれながら・・・

第7弾目から3カ月経ってしまいました。

これにて完結。

やっと最後の、マネキンがウェディングドレスを着て司のマネキンと一緒に並ぶ日がくるの設定に行きつきました。

結婚後すぐの設定で書いています。

司のサイズはどうなったのでしょうか?

そのまま?

それとも・・・直した?

どっちでしょう?

その流れ書いたらバカ笑いのお話書けそうです。

拍手コメント返礼

のだめ 様

このお話は初期の頃に書いたものでほぼギャグになってしまってます。

ドラマで見せた真央ちゃんと潤君のコミカルな演技がツボでそれが下地となっちゃってます。

楽しんでいただけてうれしいです。