HAPPY LIFE 3
*-From 1-
「つくしちゃん!おめでとう」
久しぶりに帰ってきた姉貴。
速攻でつくしに抱きついた。
俺よりもつくしが大事なのはいつもの事。
おふくろまで最近はつくし、つくし、つくし、だもんなぁ。
結婚を認めた途端に手のひらを返したおふくろの態度。
それはそれでうれしいことなのに釈然としない理由。
それは・・・
女3人でつるんで仲間外れ気味にされているせいだ。
つくしが妊娠してからその濃度はますます上昇気味。
なんだか俺の孤立度は増している。
「男はいてもたいした役に立たない」って・・・
邪魔者扱い?
つくしのお腹の子は俺の子だぞ?
功労者は俺じゃねぇのかよ。
「俺の子だぞーーー」
叫んだ俺に「分かってる」と一言言って背中を向けて話出す。
おふくろや姉貴の妊娠中の話しにつくしは浮かれてる。
ついでの様に語られる俺の生まれる時の話に生まれてからの事。
「お腹にいるときから暴れん坊で大変だったっわ」
おふくろの腹をけってる感覚なんてあるはずない。
「予定より早く生まれてくるし・・・」
そんなの知ったことじゃねぇ。
生まれた時3000g超える健康優良児じゃなかったのかよ。
「おむつはなかなか取れなかったのよね」
「おむつ変えようとすると逃げて回ってね」
「私も司には苦労させられたわ」
俺に視線を向けてフッーと姉貴がため息をつく。
姉貴の人形のおもちゃがわりになってたとタマに聞いたことあるぞ!
大体がこのパターン。
俺が覚えてない記憶。
情けないことばかり蒸し返されてしまってる。
今日はおふくろがいないだけましな方だ。
いつの間に俺んちは女系家族になってんだ?
もともとおふくろにも姉貴にも頭が上がんなかったんだよな。
つくしまでそうなったらヤバくないか?
その前兆みたいなものある様にも思えるけど。
生まれてくる子は絶対男!
そう願う。
「つくしちゃん一緒に買い物行かない?」
「いいんですか?買いたいものあるんです!」
喜々とした表情でつくしがはしゃぐ。
俺にはそんなこと一言も言わなかったじゃないかッ!?
俺は今日は休みだし、出かけるのは俺とじゃないのか?
不満が顔に出てしまってた。
「ついてくるんじゃないわよ」
俺の気持ちに気がついてるくせに姉貴がドスを効かす。
「荷物持ちでも何でもする!」
これでも一応天下の道明寺財閥の総帥だぞ!
なさけねぇーーーーッ
-From 2-
確かに荷物持ちをするとは言った。
でも本当にさせられるとは思わなかった。
前が見えないくらいの買い物しやがってッ!
俺がつくしに買ってやりたいのに姉貴が先回り。
マタニティーグッズて、いろいろあったんだ。
マタニティー洋服に下着に抱き枕?
「身体が変わってくるんだからママになるのは大変なの」
「男には分かんないわよね。荷物持ちぐらいありがたくやんなさい」
こんなもんどうすんだ?みたいに眺める俺を邪魔みたいな目で姉貴が見つめてた。
それを見てつくしはケラケラ笑ってる。
つくしのあふれる笑顔に幸せだと思える俺もやっぱり幸せだ。
俺が買っていたのはお腹の中の生まれてもいねぇ赤ん坊のもん。
おむつにおもちゃにベビー服にベビー用品。
まだ早いとつくしは頬を膨らます。
服なんてこれ1年後じゃんなんて部屋の隅に追いやられてた。
80センチの洋服が一番小さいと思っていたが、生まれたてには大きいらしい。
つくしによると新生児用と言うのがあるからまずはそれと教えられた。
これでも結構小さいぞ!
赤ん坊ってそんなに小さいのか?
「そんなにおおきな赤ん坊なんて産めるはずないでしょう」
本気で驚いて聞いたら姉貴に笑われた。
「司の子供なら大きいのが生まれるかもよ~」
「つくしちゃん産むの大変かもねぇ」
つくしを脅す様な言い方すんなッ!
「身体じゃなくてでかいのは態度かも知れませんよ」
あっけらかんと姉貴の言葉にのっかるつくし。
俺に似てかわいいとかそういう表現がもっとあるだろうがぁ!
ここでも先手を取られてる。
俺の威厳は身内には通用しないと言うことか・・・。
考えたらつくしが妊娠してから何にも買ってやってなかった。
なにが必要かなんて考えることもできなかった。
目につくもは赤ん坊のものものばかり。
つくしに必要なものがあるとは及びもつかない。
姉貴の言うとおり男はしょうもないものなのかもなぁ。
確かにお腹が膨らんで体型が変わってくれば今の服なんて着れるはずない。
「そうか、太ってくるもんなぁ」
「太るわけじゃないからねぇッ」
機嫌を損ねたようにつくしが頬を膨らます。
「そんな意味で言ったんじゃねぇ」
慌てて言葉を打ち消した。
うるっとした目でつくしが俺を見つめてる。
だから泣くなーーーーッ。
その目に弱い。
焦りまくる俺をやけに喜んで姉貴の口元はほころびっぱなしだ。
帰り着いた屋敷の中を姉貴とつくしの後ろをいっぱいいっぱいの荷物を抱えてついて行く。
「わーーーぁ!お持ちします!」
慌てて使用人が飛んできた。
「いい、これは俺が運ぶ」
嘘だろう見たいな驚いた顔でなじみの顔に見送られていた。
「つくしちゃんに世話をかけないのよ」
姉貴!一言多いぞ!
機嫌よく姉貴は俺達の部屋を後にした。
「疲れなかったか?」
ソファーに座るつくしの肩をいたわるようにそっと抱く。
「大丈夫。まだ見た目は妊婦に見えないでしょう?」
「まあな」
そっとつくしのお腹に手を添えた。
「もう少ししたらお腹が出てくるんだろうね」
俺の手の甲にそっとつくしの手が重なる。
そこに注がれる温かなまなざし。
「愛してる」
体中に広がる愛しさが俺の心を満たしてくれる。
抱きしめた胸の中で「私も」と小さくつくしがつぶやいた。
-From 3-
極端すぎる・・・。
目の前に山と積まれたマタニティーグッズ。
「早く言ってくれたらよかったのに」って、あいつはにっこりほほ笑んだ。
確か、この前お姉さんと買ってきたはずのマタニティーグッズ。
君も一緒にいたはずだ。
もう買う必要ないでしょう!
「あっても困らない」
腐るものではないけれど全部使うにはどれだけの年数がかかるのか・・・。
数年間妊娠しっぱなし、産みっぱなしでも困りそうもない。
そんなつもりは毛頭ない。
言ったら道明寺は手放しで喜びそうだ。
道明寺が買い込んだべビィー用品にマタニティーグッズが加わって1室を占領してしまってる。
まだまだ増えそうな勢い。
お金の使い方を間違ってないか?
「頭が痛くなってきた」
フラッとする感じにソファーに座りこむ。
「大丈夫か?」
慌てて飛んできた道明寺が私のお腹に手を当てた。
痛いのはお腹じゃなくて頭だーーーーッ。
心配そうに私の顔を覗いてる。
どうにもたまらないやさしい気持ちになっていた。
「大丈夫、お腹はどうもないから・・・」
「ただ、こんなにいらないよ」
「うれしくないのかよ?」
道明寺が不満げに眉をひそめる。
「使わせていただきます」
額を寄せあってクスッとどちらからともなく笑いがこぼれた。
「今から検診に行ってくるから」
「えっ?」
「俺もついて行く」
一瞬悩んだ顔を作って速攻で返事が返ってきた。
「だって・・・仕事でしょう?」
「西田さんも迎えに来たみたいだよ」
「俺がついて行ってもいいんだろう?」
私は困まらないし逆にうれしい気分だが西田さんが困ると思う。
「予定をずらさせる」
出来ない様な秘書はいらないっていつもの傲慢さ丸出しで携帯の発信音を鳴らしてる。
西田さんを首にして速攻困るのは自分のはずなのに。
西田さんのため息交じりの困惑顔が浮かんできた。
「今日今から時間開けろ」
「仕事となんてやってられんねぇから」
「あっ!」
「だからなんだ!」
「オッ!」
数回の短縮的やりとりで会話が終わる。
「すんなり許可が出た」
拍子抜けした顔で道明寺が携帯を握りしめている。
聞いてる限り穏便に会話がつながったようには聞こえなかったんだけど・・・
どういう事?
「西田の奴お前の予定もしっかり把握してるんだと」
「俺の事だからお前に合わせてゴネそうな気がしてましたとぬかしやがった」
「重要な予定は入れてないからかまわないそうだ」
用意周到すぎ、食えない秘書だと不満気に道明寺がつぶやいた。
私の検診に道明寺がついて行くと言いだすことを西田さんは察知していたと言うことなのか?
道明寺の性格を読みすぎるぐらい読んでいる。
行動を読まれすぎてるのも気分のいいものじゃないと道明寺は顔をしかめる。
そんな道明寺を見て笑いを我慢することができなくなっていた。
「笑うな!」
「いや~西田さんはすごいと思って・・・」
必死で笑いを止めようとするがなかなか頬の緩みは止まらない。
「行くぞ」
慌てて道明寺の横に並んで部屋をでる。
「行ってらっしゃいませ」
にっこり笑って頭を下げて見送る西田さん。
無理に眉を吊り上げて不機嫌そうな表情を作る道明寺はわざと西田さんを見ようとしない。
「お世話かけます」
西田さんに話しかける私の腕をギュっと引っ張って大股で歩いて行く。
すねた子供みたいな大人げない道明寺がおかしくって、かわいくて、自然に顔がほころんでいた。
続きは HAPPY LIFE4 で
西田さんの腕の見せ所。
機会がいっぱい落ちているような~♪
拍手コメント返礼
yum***様
コメント有難うございます。
私の経験も10年以上まえで・・・(^_^;)
すっかり忘れてるんですよね。
変換間違えちゃってましたね。
よくあるんです。
今まで誰も言ってこなかったものだ(^_^;)
最近は添削してくださる常連さんがいるのでずいぶん助かっております。