寒中浴衣大会の夜に(司編)

原作コラボ第二弾!

コミック27巻のお話を元に司視点から書かせていただきました。

誰にも内緒で本気で道明寺と付き合うと決心したつくし。

二人美作邸の東屋に会っていてSPに追っかけられて逃げた翌日のお話です。

つくしの告白シーン好きだったなぁ~

 *

牧野に会いたくて屋敷を抜けだす。

あいつが忘れた制服を届けるという口実をくっ付ける。

何か理由をつけないと会えない微妙な関係。

らしくねェ・・・

それも・・・

あいつの口から好きだと聞けずにあやふやに誤魔化されているからだ。

あいつのバイト先を目指す。

公衆電話の前で両手を広げて深呼吸?

両膝屈伸運動始めた。

電話かける前に準備運動始めた奴を初めて見た。

牧野じゃなきゃ笑えねェ。

俺の携帯が胸元でプルっと鳴る。

「あの・・・あたし・・・」

「なんだよ」

笑いを我慢してるから長ったらしくは喋れねェ。

ブッたれたかわいくねェ強気の口調が耳元で跳ねる。

喋りながらあいつの後ろから声をかけた。

「後ろ見てみっ?」

「うしろ?」

受話器をもったまま牧野の身体が反転する。

まん丸な強気な瞳が俺をじっと見つめてる。

「電話かける前に体躁してんじゃねーよ。はずい奴」

照れを隠す様にブスっと言葉を口にする。

俺に電話するのに緊張してるって・・・

うれしすぎる。

俺も牧野に負けねぇ・・・あまのじゃくだ・・・。

「・・・・なにしてんのあんた?」

「ジャケット届けに」

「ーてのは、口実でお前の顔が見たかったから」

牧野の顔が赤く染まった。

牧野と肩を並べて座るベンチ。

周りはカップルばかり・・・って・・・

ハートマークがプカプカ浮かんでる。

落ち着けねェ。

「お前さが俺が好きだって言ってねーよな」

「あやふやにごまかされている気がしてなんねェ」

「なんだ・・・そんなこと?」

「そんなこと!?」

「一緒にいたいって言ったじゃん」

「そんなんじゃ分かんねーよ」

「俺はずっとその言葉を待っていた」

愚痴るつもりはなかったのに自分が小さい男に思えてくる。

俺を好きだと言えと強制してる。

こいつといると調子が崩れっぱなしで嫌になる。

イラつくがこいつはテンデ無頓着。

俺のイラつきを煽るように携帯音が鳴りだした。

怒りを帯びたまんま携帯にでる。

あきらからのパーティーの誘い。

「どーする?行くか?」

「行く」

牧野の一言でパーティー参加が決まった。

俺と時間差で牧野が美作邸にやってくる。

普通の恰好じゃつまんないとは滋の提案。

寒中浴衣大会。

訳が解かんないことを良く考えつく女だよ。

牧野が来なきゃ絶対こんなパーティー顔ださねぇぞ。

総二郎に浴衣を着替えさてもらった牧野。

俺の傍には近寄りもしない。

しびれを切らしたあきらが牧野に飲み物進めろと促す。

さっきの公園でのやりとり・・・

言葉を変えれば牧野に好きと言って欲しいと催促したようなもの。

この俺様に人に乞うなんて絶対ねーぞ。

まともに牧野の顔が見れるはずなかった。

「うまこにも衣装だな」

「それを言うなら馬子にも衣装」

「バカだな」

「バカはあんた!!」

じっと見つめる周囲の視線。

調子が狂う・・・。

「なんかなかいいですね」

桜子の声に総二郎もあきらも同調する。

ののしりあってなきゃねって・・・。

お前らどんなふうに俺らを見てんだッ!!

ムッとしながらホッとしていた。

けなしてんのか・・・

遊んでやがるのか・・・

応援してるのか・・・

こいつらの人の悪さも半端じゃない。

飲んで騒いで一通り落ち着いた部屋の一室。

みんな好き勝手やっている。

あきらはピンクな感じで人妻に連絡中だ。

俺は一人庭先に出てみた。

気分を変えるため?牧野から離れるためなのか、自分でも分かんねぇもやもや感。

収まらねぇ・・・

牧野がよたつきながら顔を出す。

俺を見つけて顔を赤らめた。

「道明寺・・・」

「わたしね・・」

「わたしね・・・ずっと前から・・・」

牧野が潤んだ瞳で俺を見つめる。

「あなたが好きです」

聞こえてきた告白は俺の後ろの木陰から。

「私じゃないよ・・・今のは・・・」

「分かってるよっ」

俺達って大事な時はいつもどこかで邪魔が入る。

こんなもんかとため息も出ねぇ。

牧野のダチが総二郎に告白してふられてた。

何にも出来るはずないのに考え込んで心配して怒って戸惑っている。

「なるようにしかなんねえよ」

「人のことよか俺達の事、考えようぜ」

「いつまで続ければいいわけ?この状態を」

牧野を突き放すつもりはないのに、責める言葉しか出てこない。

「俺が惚れた女と違う様な気がすんだよな」

あいつの煮え切らない態度に・・・

俺を好きと言えないあいつに・・・

しびれを切らしてる。

自分にも牧野にも腹が立つ。

牧野を残して腹立たしさをしょったまま部屋にと戻った。

「帰る」

牧野となにかあったかと相変わらずの感のよさのあきらの胸ぐらをつかんで睨んでた。

入り口のドアがドンと開いておっかねぇ真剣な表情の牧野が俺を見つめてる。

「わたし」

「道明寺が好きなのっ!」

「それで私達、こないだからつきあってます!」

驚くあいつらをしり目に牧野の頭を胸に引き寄せ抱きしめた。

「ったく」

こいつの行動は突発的だ。読めねっ。

二人っきりの時に言えばいいのになんでここなんだ。

そんな不満もうれしさが打ち消す。

抱きしめる腕の中で牧野の力が抜けてクッタと気を失ってやがった。

この後の騒ぎを俺一人に押し付けて。

気がついた牧野のベットの側の椅子に腰を下ろす。

「お前、昨日言ったこと覚えてんの?」

「お・・・覚えてるよ」

「俺・・・あんま、覚えてねぇんだけど」

「もっかい言ってくんね?」

「え?え?」

「なんでちゃんと聞いとかないのよ」

相変わらずの反応。

顔を真っ赤にして照れている。

ついでに枕まで飛んできた。

暴れる牧野が愛しくて、かわいくてそして抱きしめる。

「・・・すげっうれしかった」

鼓動が高鳴ってどっちの音かなんて分からないくらいにまじりあう。

「コンコン」

唇が触れ合う瞬間に「お茶いったわよ」と桜子がドアを開く。

「あ、いーわよやっちゃってからで」

てめぇーーー狙ってただろうーーーッ。

枕を思い切り顔面にぶつけてやった。

お茶のおやつは俺達二人。

俺達の幸せ奪ったら猛獣の守りの日々って・・・

喜んでいるようでけなしていないか?

もっと分かりやすく喜んでほしいものだ。

帰ると席を立った牧野を追いかける。

気を利かせて俺に送ってやれと総二郎が言ったのに無下にも断って足早に走り去る。

「牧野」

俺はお前を守る。

ばばあがどんな邪魔をしようとも全力で。

俺を好きだと言ったお前の為に。

俺をじっと見つめる牧野の頬にそっと手を添える。

睫毛を伏せ、俺の唇を待つ牧野に惹かれるように口づけた。

「充電」

唇を離して牧野を見つめる。

素直な牧野が、周りを気にする態度に戻って「バカッ」と手にもった手提げ袋を振り回す。

いつもの牧野に戻ってた。

それでも幸せで気分がいいのは隠しようがねぇ。

あいつの姿が見えなくなるまで見送った。

俺が見送るなんて超レアなんだぞ。

牧野!分かってるかッ!

口もとがハミングしてどうしても緩んでしまってる。

「司君~」

「感想は?」

「感想なんてねぇッ!」

完全に左右に総二郎とあきらに挟まれる。

「押し倒したとかしてませんよね?」

訳知り顔で桜子がほほ笑む。

「そんな時間も場所もねぇだろうがっ」

「変な想像すんじゃねぇ!」

「変な想像じゃなきゃいいのかなぁ?」

クスクスと滋まで突っ込んできやがった。

「まあ、抱き寄せてキスができれば上出来じゃねえの?」

「っるせ!」

総二郎とあきらの腕を振りほどく。

「おーーーーー真っ赤になってるぞ!」

こいつらに遊ばれるのも今日なら機嫌よく付き合える。

俺と牧野の事・・・

本気で心配して喜んでくれるダチ。

いいもんだよなッ。

でも・・・

これ以上遊ばせねェからなっ!

ち**様のリクエストにお応えして書きあげていました。

コミック半ページのお話でしょうか(^_^;)

本当はもっと最後のからかい部分書きたかったのですが・・・

つかれた・・・