HAPPY LIFE 12

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見ていて飽きない。

そんな思い本当にあったんだと今の幸せをかみしめる。

出産後3日目。

授乳におむつの交換に沐浴の赤ちゃんの世話も何とか形になってきた。

これが結構楽しい。

隣でハラハラした雰囲気で赤ちゃんの世話をする私に「あっ」「おっ!」「へっ?」訳の分らぬ奇声じみた効果音をつけて見つめる道明寺。

気が散ってしょうがない。

出産直後から屋敷には戻らず私の病室に居ついてしまってる。

そんなパパがどこにいるんだぁぁぁぁぁ。

出産した夜、消灯過ぎてもベットの側に座ったままの道明寺に「帰らないの?」と聞いてみた。

ここは一応遠慮がちに言葉を投げる。

「ここ特別室だから泊まれるぞ」

緩みっぱなしの表情は継続中。

まあ一日ぐらいならと思ったら帰る気配はまったくなし。

「一人で帰ってもつまらない」

その言葉で私の退院までいるつもりなんだと気がついて今日で三日が経過した。

隣の続き部屋にもベットがあるはずなのに気がつけば私のベットに入り込んで腕枕までしてくれて・・・

朝までって・・・・・

巡回に来た看護師さんと視線が合って固まった。

「・・・大丈夫そうですね・・・」

気まずさを残して立ち去る看護師さん。

あれでも頭の中で必死で言葉を探したんだろうなとすまない思い。

あんな恥ずかしい思い産婦人科でするとは思わなかった。

今日からは24時間母子同室で過ごすらしい。

プラス1名で父母子同室だけど・・・。

「良く寝るな」

子供を眺めてほっぺをちょこんと指で触れてニンマリする新米パパ。

生まれたばかりの新生児は起きてる時間は貴重なんだぞ。

仕事が休みの間べったりすると確信が持てた瞬間。

仕事始まったら残業しないとか・・・

出張しないとか・・・

言い出して西田さんを困らせないだろうかと余計な心配が頭をもたげる。

ここ数日でお祝の花束に贈り物で病室が占領されそうな状況だ。

屋敷の方にはこれ以上の品物が届いているらしい。

さすがは道明寺財閥の後継者の誕生だ。

出産翌日にはお母様もお姉さんも駆け付けてくれている。

さすがに道明寺みたいに泊まり込んだりはしないけど毎日顔を出してくれている。

お母様も孫は格別らしい。

それなりにお見舞いの面会は制限してあるらしいから本当に親しい人しか来ない。

そうしないと大変なことになると西田さんが言っていた。

昼過ぎトントンと響くノックの音。

「おめでとう」

花束抱えて姿を現す西門さんに花沢類。

美作さんの手にはフルーツの盛り合わせの籠。

「来てくれたのか」

道明寺も御機嫌な調子で笑顔になった。

ベビーベットに寝てる赤ちゃんを3人3様で眺めてる。

「俺、似だろう?」

「そうか?」

「類に似てねぇか?この目元とか」

「似てるわけねぇだろう!目を開けたら俺そっくりだぞ!」

ベビーベットを覗き込む西門さんと美作さんを両手で押しのけて道明寺が子供に顔をちかづける。

今にも抱き上げそうな勢い。

「そんな焦るな。冗談だろう」

西門さんと美作さん・・・相変わらずだ。

「髪の毛・・・あんまり生えてないね。くるくるだったら間違いなく司の子なのになぁ」

花沢類が考える素振りでつぶやく。

駿の髪の毛は産毛程度でまだどうなるか分からない状態。

「くるくるでなくても俺の子供に間違いなだろうがぁ」

この3人・・・

見舞いに来たのか道明寺を茶化しに来てるのか・・・

思わずこぼれる笑い。

クスクスと一人で笑ってた。

「でもなぁ、一番男になるのが遅かった司が父親かぁ」

感無量気味に美作さんがつぶやく。

「負けた・・・」

悔しそうな様子など微塵もない西門さん。

「お前らの場合どこかに隠し子いるんじゃねぇかぁ?」

「「そんな失敗するわけねだろう」」

そこで声がそろうところはさすがだ。

「ちょっと、子供の前で変なこと言わないでよね」

「まだわかんねぇだろう」

生まれるまで胎教やなんだと言っていたのはなんだったんだと思わせる道明寺の発言。

今から注意しておかないととんでもないことになりそうだ。

「牧野も元気そうで良かったよ」

私に接する優しさはいまだに花沢類が一番だ。

その場の雰囲気もさらりと変化させてくれる。

からかわれながらも子供を見せびらかす雰囲気で抱き上げて、はしゃぐ道明寺。

お気に入りのおもちゃが増えてうれしくて仕方がない。

そんなはしゃぎ方。

「ちいせぇ」

「さわんな!病気になったらどうする!」

小さな指に触れようとした西門さんから駿を庇うように背中を向ける。

「ガキだな」

美作さんがため息交じりにつぶやいて、ニッと笑う。

「親になってもそうそうには変わんないか」

花沢類から大変だねとでも言うような視線を投げかかられて私は苦笑してしまってた。

要望の多かったF3との絡み。

まだまだいろいろと司をからかうお話はありそうで♪