第13話 愛してると言わせたい 11

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-From 1 -

連れて行かれたのは上野のハチ公前。

・・・って、道明寺にはあり得ない組み合わせ。

「なんでここ?」

「お前から誘われたデートの待ち合わせってここだったんだぞ」

「ダブルデートで最悪だったけどな」

最悪というわりには機嫌は上等な様。

優紀とのダブルデートと聞かされればあり得そうだと納得できた。

行った先が動物園ってベタな選択も道明寺なら選ぶはずがない。

コアラにライオン、キリンにゾウ、園内を見て歩く。

「かわいい」と言う私に「そうかぁ」と気のない返事を返す道明寺。

「俺、お前のほうが見ていて飽きないけどな」

言われた言葉にすぐに身体が熱く反応する。

「・・・だから、そんなこと急に言わないでよ」

心臓がバクバクだ。

一通り見まわって池で優雅に泳ぐハクチョウを眺める。

「ほら」

「かぁわいいだろぉ。」

目の前につきだされたのは茶色いぬいぐるみ。

爬虫類?イグアナ?

可愛いという表現が当てはまるのだろうか?

「びみょぉぉ~~」

思わず顔をしかめてた。

「同じ反応~」

笑いを含んだ声で道明寺がつぶやく。

「あの時のデートの時もおんなじようなこと言ってたぞ」

「再現してるみてぇ」

「・・・そうなんだ」

記憶にない時間。

でも・・

こんなデートを私たちは積み重ねていたのだろうか。

気分は穏やかで温かく過ぎていく。

「ねぇ、この後そのデートの時どうしたの?」

「お前のダチの彼氏が気にくわなったからぶん殴った」

「ぶん殴った!」

短気で凶暴なとこはデートでも変わんないんだ。

折角の見なおした気分は少し色あせる。

「そしたらお前が怒って、喧嘩になってそれでデートは終わり」

それって最悪のデートの結末じゃないか。

予想描いた初デートとはずれてないか?

道明寺とのデートってこんなもの?

「・・・でもそのあと、お前俺が殴った理由聞いて感動したんだぞ」

「・・・理由って?」

戸惑いを含んだまま聞き返す。

「教えねぇ・・・思い出せ」

フッと視線を外して遠くを見るような仕草を道明寺が見せる。

「思い出せないから悩むんでしょう!」

意地悪だ。

言葉尻に憤慨の思いがこもる。

「自分で思い出さなきゃ意味がない」

「お前が俺に言った言葉だ」

「えっ?」

静かにゆっくりと気のこもった言い回し。

「俺が記憶をなくしてお前のこと全部忘れたとき」

「・・・俺・・・何とか思い出したぞ」

「全部忘れてたって・・・今の私よりひどくない?」

道明寺が記憶なくした告白は驚きだけど、私のことを忘れる事態に不快感が心に生まれる。

私の感情は無意識のうちに道明寺を責めている。

「ああ、ひどかったよな」

「でもすべてを思い出したとき、やっぱり俺にはお前しかいないって思えた」

熱を帯びたような視線を私に向ける道明寺。

真剣で・・・

迷いがなく・・・

まっすぐな思いが身体を熱くする。

「俺・・・お前ともう一度恋したい」

抵抗する間もなく抱き寄せられた身体は自然と道明寺の胸の中に吸い込まれていく。

道明寺の心臓の急速な高まりが耳の奥から体中に広まって私の鼓動と重なった。

 

-From 2 -

「離してくんないかな」

俺の胸の中で小さくさえずる様な声。

いつもより無抵抗気味の牧野。

抱きしめないと約束したはずなのに・・・

か細くて・・・

そのまま消えてなくなりそうで・・・

抱きしめたままの腕の動きを躊躇させる。

ただ離れたくない想い。

離したくない想い。

このまま時が止まればいい。

本当にそう思った。

もう一度恋がしたい。

お前となら何度でもそう思える。

牧野じゃなきゃ意味がない。

『牧野は俺に惚れている』

押し付け気味の乱暴すぎる想いだけで突っ走った初めての恋。

それでもお前は俺を選んでくれたんだよな。

「惚れてるよ。ばかでわがままで自己中の道明寺に惚れてる…」

初めてのお前の告白。

抱きしめ触れ合った唇。

体中のすべての欲する思いがそこに集中するように熱を帯びていた。

告白でばかとかわがまま自己中って言われんの色気ねぇよな。

あれからいろんなことあったんだぞ。

お前を忘れようとした日々。

お前じゃなきゃだめだと気づかされた朝。

お前から別れを切り出された雨の夜。

俺の前を去るお前を止められない自分に情けなくって荒れた日々。

それでもやっぱり俺たちは求めあっている。

今もこれからもず~と一緒にいたいと思えるのはお前だけ。

今の俺ならもっとうまくお前の気持ちに寄り添えると思う。

って・・・

結構強引に抱きしめちまってるけどな。

無理強いじゃねぇよな。

「ねぇ・・・」

「聞いてる?私まだ腕を怪我してるんだけど」

・・・

・・・・・

それで・・・・・

俺を・・・・・

振り払えなかっただけ・・・・・か?

よぎった不安に牧野の顔がまともに見れねぇよ。

ゆっくりと視線を下に移動させる。

睨んでいたらどうしようもねぇぞ。

緩めた腕の中で俺を見上げる牧野の顔は照れくさそうに笑っている。

笑顔だけで・・・

ただその顔を見ただけで舞い上がりそうになる俺ってどうしようもなくお前に惚れてるな。

照れくささが伝染してきそうだ。

「お前、俺に惚れてるだろう」

「はっ?」

何言い出した?みたいな顔が目の前で・・・。

「惚れてるよ。ばかでわがままで自己中の道明寺に惚れてる…」

って・・・

言わねぇよな。

「惚れてるよ。ばかでわがままで自己中の道明寺に惚れてる…」

代わりに小さくつぶやいた。

消え入りそうな俺の声。

「んな訳ないでしょう!」

「テッ!」

思い切り足を踏まれる俺。

早まった。

続きは 12

第二話の「~ドリトル」で出演してましたねカメレオン君のパペット。

見つけた時は「あ~ッ」を声を上げて半信半疑。

某所で教えてもらってやっぱりそうかとニンマリしました。

skysky7様ありがとうございます。

ちゃっかり拝借~

どれだけの人が気がついたでしょうか?

うまい具合に動物園のデート場面を書くつもりだったのでつなげてみました。

カメレオンじゃなくイグアナにしましたけどね。

最近DVDを見ているせいかついお話がそっちに流されています。

昨日は花男の最終話見てたんですよね。

「惚れてるよ。ばかでわがままで自己中の道明寺に惚れてる…」

今度はもっと甘アマな告白を♪

題名が『愛してると言わせたい』ですからねぇ。

拍手コメント返礼

nanaco

咳はまだ継続中で・・・

私も20年くらいなるのかな。

あのころは咳止めしかもらえなくて苦労しました。

今はステロイド剤や気管支拡張剤を処方してもらえるのでずいぶんと楽です。

症状は咳だけで他の症状はほとんどない。

咳止めが利かない。

この場合はほとんどが咳喘息と今は診断してくれます。

nanaco様も同じじゃないのかな?

ブログお邪魔しました。

私もアメーバブログ持ってますがただ持ってるだけです。

そのうちに隠し部屋にしようかななんて・・・

でもなんの隠し部屋だ~

こう様

うみちゃん登場させるとややこしくなりそうなので(^_^;)

一瞬考えたのですけどね(笑)

イヤだと思われずに良かった。

りん様

時々ドラマのシーンを拝借しております。

見ていた方には懐かしい場面。

思い出して楽しんでいただけたら嬉しいです。