HAPPY LIFE 14

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「起きてるか?」

最近の帰宅の第一声はいつもこれだ。

「今、寝ちゃった」

帰り際に出された書類にサインするんじゃなかったと後悔する俺。

クスッとつくしが笑う。

「起こさないでよね」

昨日は我慢できずに俺が抱き上げたらすぐに泣きだされた。

寝てる時は抱くなの禁止令。

結構つらい。

ベビーベットですやすやと眠る赤ん坊をそっと覗きこむ。

寝てても俺に似てんぞ。

小さくギュッと握りしめた手のひら。

そっと自分の小指を差し入れる。

しっかり握り返す小さい手のひらの感触を楽しむ。

これくらいじゃ起きないか・・・

「あっ!起こすつもりじゃないでしょうね」

小さな声が耳元で責める。

「起きてないぞ」

目を開けたらラッキーだけどな。

しょうがないんだからと聞こえるか聞こえないかの声でつぶやかれた。

「もうすぐ1カ月だね」

つくしの腕がかがんだ俺の首元を優しく包つむ。

頭をそっと肩に置いて二人で顔を並べて赤ん坊の寝顔を覗き込む。

最近こいつの寝顔しか見てねぇ。

「あやすとね『アー』とか『ウー』とか返事するんだよ」

うれしそうに話すつくし。

俺のいない間の赤ん坊の様子を満面の笑みで話すつくしにそれに負けないくらいの緩んだ顔で聞きいる俺。

その時間に癒される。

「赤ん坊ってすごいよな?」

「んッ?」

「そこに存在するだけでこんなにも幸せにしてくれるんだぜ」

言葉にならない声にしゃべった!笑った!と喜んで・・・

泣き声一つにオロオロとなって・・・

寝顔も泣き顔もじっと見つめるだけの表情もすべてが特別で・・・

愛しい思いを募らせる。

成長してケラケレ笑うようになって言葉を覚えて歩きだす。

考えただけで楽しくてしょうがない。

「早くパパとかいわねぇかな」

「まだずいぶん先だよ、最初はママでしょう」

気が早いといいながらお前も早くしゃべれるようになれとか思ってるだろう。

そんな顔してるぞ。

「お前に似たら案外、飯(マンマ)かもしんねーぞ」

「なんでそんなとこだけ私に似るのよ」

首にまわされた腕に力がこもる。

呼吸に支障が残らない程度の圧力をかけられていた。

「俺に似てるってばかり言われたらすねるかと思ってな」

「・・・もう」

かすかに頬に触れるつくしの唇がゆっくりと動く。

「道明寺に似てるって言われる方が何倍もうれしいんだけど」

頬をすりよせながら互いのぬくもりが伝い合う。

見つめるわが子はすやすやと寝息を立てたまま。

駿!

やっぱお前はすげ~存在だよ。

いい雰囲気ですが・・・

「駿!

やっぱお前はすげ~存在だよ。」

久々の甘い雰囲気も駿君のおかげと思ってるのかな(^_^;)

まだ押し倒すには時期早々だよ司クン。

そこのところ我慢できるかなぁ~

もう少し試練は続く~

そして泣いてわが子に邪魔される♪

そんな期待はしてないですか?

そうですよね・・・