木漏れ日の下で 7

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-From 1 -

「その判例、そんなにすごいの?」

公平に言われなければ気がつかないままに睨むように目の前の書類を見つめてた。

判例は文書偽造の詐欺事件。

悩むほどの難しい問題ではないんだけど・・・・・。

私の頭の中は別なことで頭がいっぱいだ。

これも詐欺に遭ってるようなものか?

「つくしの周りから近づくなみたいなオーラーが発散されてたけど、まだ悩んでんの?」

「さっきから誰も声かけられなくて俺にお鉢が回ってきたんだぞ」

公平の言葉はそのまま私の耳を素通りする。

たいして頭に残っていない。

私の周りの男って今は公平くらいのものだ。

側に花沢類でも入ればすぐに相談に乗ってくれるのだろうけど・・・。

今は無理だよなぁ。

西門さんと美作さんはアホらしいホッとけって言いそうだし・・・。

何かやるなら公平?

うっ・・・。

公平と何する?

道明寺が嫌がりそうなことって・・・。

公平と仲よく肩組んだ写真をメールする。

これって道明寺の真似してるみたいだし・・・・。

モット先って・・・。

抱きつく!ここまでは何とかできそうだ。

キスと・・・か・・・・

わぁぁぁぁぁぁ

公平と!

今まで考えたこともないぞ!

それに男として見たことないし・・・

自分で考え膨らませてうろたえる。

「なにじーっと見てんの?」

「・・・・いや、公平も男だよなって思って・・・」

「お前、俺を女と持ってたんじゃねぇよな?」

バカ言うなみたいに呆れた視線を向けられた。

浮気する!と考えてたなんて言えるわけがない。

道明寺にとってはどこまでが浮気なんだろう?

抱きつくあたりから浮気女と言われそうだよな。

あいつも金髪女の背中に腕回していたからお互い様か・・・。

あの傲慢男に通じるだろうか?

弱気になってないか私。

悪いのは道明寺だッーの!

あと1カ月で後期の修習も終わりを迎える。

2週間もすれば最終の試験も始まる。

そんなときに心乱されてどうするんだ。

道明寺の悪戯に振り回されて試験に落ちたら一生恨んでやるんだから。

恨むより・・・

離婚届でも目の前に押し付けたほうが効果があるかもしれないよなあいつには。

「・・・」

「・・・・・」

離婚届の用紙を頭に描いてサインする自分を想像。

できるわけがない。

それじゃ試験に落ちるわけにいかないじゃない。

道明寺を悩ませること考えながら、最後は道明寺を思ってる。

バカみたいだ。

怒りの持続・・・・。

最終日までは持ちそうもない。

頂点に達した怒りのバロメーターは少しずつ下降してきているようだ。

「公平!今日飲みに行こう」

「はあ?」

「うっぷん晴らさないと気が済まないのッ」

「付き合わないとは言わないよね、明日は休みだし」

半分は脅しだ。

しゃねぇなみたいに苦笑して公平がOKを出した。

 

-From 2 -

「ったく! 司のバカ野郎っーーー!」

ビールジョッキ片手に叫んでた。

小さな居酒屋のカウンターに公平と並んでつけ出しの小皿の中を箸で突っつきまわす。

食欲なんてほとんどない。

「俺、当てつけに相手させられてるわけ?」

「悪い?」

完全に目をすわらせてしまってる。

まだ頼んだビールジョッキの半分も飲んでないというのにッ。

「ほっとかれてこういう場合どうすればいいんだか・・・」

テーブルにボタっと頭をうつぶせてつぶやいた。

「俺だって知らないよ」

公平に答えを求めたわけじゃない。

いままでこんなに無視されたことあったか?

あっ・・・

高校の時あいつがNYに行ってたときか。

あの時とは状況が違うつーの。

私は奥さんだぞ!

いや・・・釣った魚に餌は要らない状態?

大した餌ももらった記憶はない!

道明寺の桁はずれのプレゼントは全部私から拒否したんだけどね。

「俺だったらほっとかねぇもん」

公平を相手にしてない私の気を引く様にポンと肩をたたかれた。

「へぇ~そうなんだ」

わざと意外そうに表情を作ってつぶやく。

「私の知ってる限りじゃ公平に女っ気って無かったじゃん」

「なんでこんないい男なのに彼女いないんだろうね?」

ほとんどからかい気味の言葉。

「お前に言われたくねぇよ」

バカにするなみたいに軽く唇を緩めて笑う。

憎まれ口を言ってもさらりと受け流してくれるのは公平らしい。

道明寺のことなんて忘れるつもりで公平を誘ってるのに逆効果だ。

今側にいるのが道明寺で・・・

聞こえる声が優しくて・・・

包み込む温かい腕・・・

いないはずの残像がキュッと私を包み込む。

一人で居る時よりも寂しさだけが募る思い。

自分がこんなにさびしがり屋だなんて思いもよらなかった。

きっとあのメールで送られてきた写真のせいだ。

道明寺が私の知らないところで知らない人と過ごしてる。

そう思っただけで嫉妬する気持ちは淋しさを増長させる。

対抗するみたいに公平を誘ったのになんの解決にもなってない。

浮気なんてできるはずもないのに・・・。

「浮気ってさ・・・」

「どこから・・・なるのかな?」

「俺と二人で居るのも道明寺さんなら許さないかもなぁ」

迷いもせずにつぶやく公平。

道明寺ならそれはあり得ると口元がわずかにほころんだ。

「公平と浮気か・・・」

「あははは、それはないわ」

「絶対ない!」

「お前、力入れて否定すんな。俺でも傷つくぞッ」

「相手私だよ?」

笑いながら公平の顔を下から覗き込んだ。

一瞬しゅんとなった顔がクシャッとほころんだ。

「今日は俺が忘れさせてやるよ」

「あっ!変な意味じゃないからなッ。誤解すんなよ」

とことん付き合ってやるとジョッキを合わせた。

プルルとバックの中から聞こえる携帯音。

表示された名前に一瞬ギョッとなる。

珍しい。

「西門さん?」

慌てて携帯のボタンを押して呼びかけた。

「何してる?」

「何って、友達と飲んでるとこ?」

「男だったりして~」

西門さんの声の後ろから聞こえる聞き覚えのある声。

「美作さんも一緒?」

「司がいないからって羽伸ばしすぎるなよ」

返事の代わりに懐かしい声が聞こえてきた。

この二人タイミング良すぎだよ。

「今から会わねぇ?」

「えっ?あっ?友達がいるんだけど・・・」

「俺達はかまわないけど」

公平も別にかまわないってゼスチャーで伝えてくる。

すぐに返事ができずに言葉に詰まる無言の数秒。

「やっぱ男だろう?」

突っ込む様な二人の声が聞こえてきた。

続きは木漏れ日の下で8

F4の登場は考えたなったのですが(^_^;)

こう様のコメントをヒントに登場させてみました。

この後は男3人につくしが一人♪

類はどこ行った?

拍手コメント返礼

こう様

>飲みに行った先にお祭りコンビがいたら・・・

わぁぁぁぁそれは楽しめそうだ♪

考えていませんでした(^_^;)

どうしよう?

構想がかわってきそう♪

その案使わせてもらっていいですか?

フフフって感じでつなげられそうな~予感が・・・

こう様

早速使わせてもらいました。

ありがとうございます。

「お兄さんにまかせろ」あの二人なら遊びだしそうだ♪