第14話 DOUBT!! 9
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抱きしめられて分かる鍛え抜かれたであろうしっかりと均衡のとれた身体。
どうあがいても体格と力にかなうわけがない。
当たり前の様に腰にまわされた腕は強く引き寄せて深く唇をあわせてくる。
軽く触れたつもりの口づけは主導権をあいつにすぐに奪われてしまってた。
息苦しさに唇を開けば、当然の様に道明寺の舌が忍び込む。
私の舌はあっけなくからみ取られてしまう。
「ぅ・・・・ん・・・っ・・・・」
苦しくくぐもった声を上げても躊躇なく口内をくまなく探っているかのような道明寺の舌に翻弄されてしまう。
唇を覆う様な激しい口づけは道明寺を拒む意識をどこか遠く雲の彼方に追いやる様だ。
身体から力が抜けていき、突っ張るつもりでつかんだはずの道明寺のシャツにすがってしまってた。
気がつくとベットまで運ばれて横たえられる身体。
覆いかぶさるように道明寺のしなやかな身体が動いて私を捉えた。
「ど・・・みょ・・じ・・ッ」
「こんな・・・ことしてる・・場合じゃ・・・ない」
残った意識でとぎれとぎれに声を出す。
喘ぎすぎて乾いた唇をわずかに開く。
道明寺が私の唇を濡らしてやるかの様に軽くキスを落としてうるおしてはなれる。
必要以上に優しすぎる。
「このドレス・・・すぐに脱がせそうだ」
耳元でつぶやく優しい声。
抵抗する気力も思考もすべてはじけ飛んでしまったまま道明寺のなすがままに身を任せてしまってた。
モッ!結局!これっ!?
気がついて、飛び上がる様にべットの中の身体を跳ね起こす。
何やってるんだろう私たち。
私の右側ではすやすやと律動的な寝息を道明寺がたてている。
眼を閉じてても見惚れてしまいそうになる整った顔立ち。
その下には私を抱きしめた腕と肌のぬくもり。
思いだして火照る身体。
隠したくなってシーツを上に引っ張った。
今さらだよね・・・。
・・って!
考えないといけないのはそんなことじゃない!
狙われてるんだよね私?
それも昨日の女が関係あるの?
まだなにも聞いてないんだけど?
私を守るといった道明寺の言葉以外は。
「道明寺ッ」
道明寺の身体を揺さぶり起こす。
「・・・んッ?」
目をこすりながら開いた瞳を道明寺が私に向ける。
「いい眺め」
そう言いながら身体を斜めに起こした道明寺が私に覆いかぶさってきた。
そりゃ、まだ二人とも昨日の流れのまんま生まれたままの姿だけど、そんなことしてる場合じゃない。
分かってるのかこの色ボケ!
「ストップ!」
今回はカンタンに道明寺を突っぱねた。
「なんだよ」
不服そうな顔で道明寺が私から離れた指先で頭を掻く。
素っ裸で片膝ついて・・・
真中の・・・
身体の中心が・・・
見えるッ!
昨日みたいに凶暴になってないだけ安心はできる。
赤くなった顔を隠す様に首を横に向けた。
「まだ説明、何にも聞いてないんだけど?」
「あぁ、それか」
あくびにしながらの生返事。
そんなもんなの?
「まだ全部は分かってないんだ」
「はあ?」
今度は私が自分の耳を疑った。
のんきすぎないか?
そんな状況でこんな状況になっちゃって・・・。
大丈夫か?
不安になった。
-From 2 -
「いつ襲われるかわかんないからしばらく俺んとこで暮せ」
「このままず~と一緒でもいいぞ」
ニンマリと道明寺のほころぶ顔。
本当に私のこと心配してる?
緊張感ゼロだぞッ。
「えっ?ヤダ」
「ヤダじゃねぇ、お前の家族を巻き込んじまうぞ」
私も道明寺に巻きこまれているだけだと思うんだけど・・・
私はいいのか!
と言ったところで「俺の婚約者だろうが」とか言ってくるだろうなぁ。
数日だったらつき合うかなんて気軽に思う。
自分の命が狙われていると聞いても恐怖感なんて全くなくて、道明寺にすげなくされるよりは側にいたいと思ったのが本音というところだろうか。
離れていたというよりは無視されていたことの方がキツイと思うのは女ごころだよね。
昨日のパーティーの正装のまんまの私と道明寺。
露出しすぎと私の肩を道明寺の上着がふわっと包んだ。
道明寺の匂い・・・。
それを確かめるように上着の襟もとを握りしめて鼻を近づける。
そして私の肩に回される力強い腕。
私を守る様に抱きしめてくれてるようだ。
離れようにも離れられない。
道明寺の息遣いが耳元近くに聞こえてる。
すれ違う人たちにじっと見られてるようで・・・
この恥ずかしさは半端じゃない。
朝っぱらからこの格好じゃ、ず~とホテルにいましたと宣伝してるようなもの。
全裸を見られてるような気分だ。
熱くなる顔を下に向けて誰とも眼を合わせないように足早に歩く。
目つき鋭く周りに視線を走らせるSPに囲まれて、すぐさま迎えの車に乗り込んだ。
前後にはSPの乗り込む護衛の黒塗りの車付き。
さすがにここは重々しい。
みんなの言ってたこと本当なんだとここにきて現実味を帯びてきた。
私も道明寺のことは言えないのんき者だ。
「ねぇ・・・・?」
「なんだ?」
「美作さんがね。司は牧野の為に数千万をどぶに捨てたぞって言ってたんだけど・・・」
「どう言うこと?」
「別にどおってことねぇよ」
不機嫌そうに道明寺の顔がゆがむ。
「数千万て?」
「あきらもよけいなこと言いやがって」
舌打ちして道明寺がそっぽを向いた。
「あれよりいいもんやるから」
「いいもの?」
ますます分からなくなる。
「もうすぐお前の誕生日だろ?」
誕生日に数千万?
数千万で買えるものって家くらいしか浮かばない
なんだ?
道明寺の金銭感覚は私の許容範囲を飛び越して宇宙まで行ってるから分かるわけがない。
そんなプレゼントなんてもらっても困る。
「まだ指輪を贈ってなかったろ」
道明寺は車の窓を眺めたまんまふてくされ気味につぶやいてる。
指輪って婚約指輪?
給料の3カ月分ってやつだよね。
そんな豪華な指輪つけたら指が折れちゃいそうだ。
「・・・あの・・・どうみょ・・・じ?」
「それなりのちっちゃなやつでいいから・・・」
「あっ!?」
ようやく道明寺の顔が私に向き直る。
「婚約指輪。指が折れないくらいでお願がします」
「ばーか、あれ以上のもん贈るに決まってるだろう」
あれ以上っていわれても実物を見てない私には想像できない。
数百万でも想像できないっていうのに。
・・・でその指輪をどうしてどぶに捨てたんだ?
そこのところが分からないと眉をしかめる。
「あの女、絶対許さねぇーーーッ」
突然道明寺が私の横で雄叫びを上げた。
拍手コメント返礼
お久です~♪
R新鮮と言ってもらえると勇気を出して書いた甲斐があるというものです。
いや~本当にうれしいです。
本当にありがたいことで平日の昼間に更新をまってくれてる方がアクセスしてくれてるみたいです。
nanaco様とは長~くお付き合いさせてもらっていて飽きずに来ていただいて感謝してます。
冬休みはこそっと夜の更新になりそうですがこれからもよろしくお願いします。
b-moka様
全部分かっていなくても動じないのて道明寺らしくんないですか?
でもそこには色ボケ司の影響あり?
だったら・・・
つくしの心配もありだろうか・・・
のだめ様
今回は司らしさ満載の感じのお話。
でもねぇ。数千万のもの捨てるのこって普通は無理だけど。
司ならって納得できちゃう司ならではのお話でした。