第14話 DOUBT!! 12
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「ご機嫌がよろしい様で・・・」
何か奥歯に物の挟まった様な言い方の西田にも頬がゆるむ。
「西田、誰かに見送られて家を出るっていいもんだな」
牧野と暮らして5日目。
毎日あいつの作った朝食を食べて出勤する俺。
玄関を出る前にネクタイの位置を直しながら「いってらっしゃい」って、見送ってくれた牧野に軽くチューを返してマンションを出た。
一緒に暮らすメリットがあり過ぎだ。
早く結婚式を挙げたい気分に陥ってしまってる。
「誰かじゃなくてつくし様だからでしょ」
「御屋敷では使用人たちが勢ぞろいでお見送りしたはずです」と小声でつぶやく西田。
だから屋敷じゃ、牧野と二人っきりで見送られる可能性は薄いだろう。
抱きしめても、キスしようとしても絶対あいつは拒否反応を見せちまう。
誰にも邪魔されず気兼ねなくべったりできるなんて今しかねぇ。
結婚したらしばらくこのマンションで暮らすのも悪くない考えだ。
「道明寺の当主が屋敷に住まないとはどういうことです」
幻聴的に聞こえてきたお袋の声。
ブルって甘い気分が風船が割れる様にパンと消えた。
「このまましばらく事件解決しなくてもいいかも・・・なんて思ってらっしゃいませんよね」
追従するような西田の声。
「思ってねぇよッ」
否定しながら西田に図星をさされて口をとがらせた。
子供の悪戯を見付けて諭す様な西田の視線をプイと顔を横に向けてそらした。
早く仕事を片付けて帰らねぇとな。
そう思いながらまた頬がゆるむ。
これだから西田に見透かされちまう。
ここしばらく緊迫感の緊張感も解放されてしまってる。
すっかり危機感なんてなくしてしまってた。
「代表・・・」
心なしか西田の声が曇っている。
「どうした?何かあったか?」
仕事の手を止めて西田の次の言葉を待つ。
「今、SPの方からつくし様が行方不明だと連絡が・・・」
西田が全部言い終わらにうちに急に立ちあがった衝撃で椅子が倒れる音が部屋中に響く。
「どういうことだ?」
「今の時間、牧野なら大学のはずだよな?」
「大学から姿が消えたようで・・・」
西田には珍しく口ごもる。
まさかSPに守られる生活に嫌気がさしたとか?
俺との生活を嫌って逃げた?ってことはねえよな?
「代表やSPのせいではないと思います」
なんでこいつには俺の思考が読めるんだ?
SPより俺のことの方が前に来る喋りは気にくわねぇ。
ムッとする俺の気持ちを無視して、事はもっと重大ですと言いたげな表情を西田が作る。
「誰の仕業か分かってるんだよな!?」
「それはぬかりはありませんが・・・今はつくし様がどこにいるかというところが肝心でしょう」
「SPは何してた!」
拳を打ちつけたデスクがドンと大きく音を立てた。
「いまさらSPを責めても仕方ないです」
すぐに西田みたいに冷静さを取り戻すことなんて出来ない怒り。
「牧野にかすり傷一つついていても許せねぇからな」
込み上げる怒りごと口から吐き出す。
「仕事なんてやってらんねぇ」
西田の声を振り切って執務室を飛び出した。
やっと新年になって更新できました。
そろそろ事件を動かさないと(^_^;)
つくしチャンどうなった?
と言うところで続きはまた~
じれったいと思わないでくださいませ。
拍手コメント返礼
mieko様
油断してました?(笑)
始まった頃の緊張感私もなくしてました(^_^;)
ここで一念発起!
b-moka様
つくしは何処♪
もうしばらくお待ちを~