HappyBirthday 6(司 20years)
*目の前でゆっくりと揺らめくろうそくの火。
心の中にしみ込んで温かい。
なんて気持ちになれるものか。
二人では食べとれそうもないケーキに楽しそうに20本のろうそくを立てる牧野を頬杖ついて眺めてた。
ライターで火をつけて口ずさむ「ハッピバスディー」
ぜんぜんハッピーじゃねーよ。
「早く火を消してよ」
「一気にフーだよ」
心配そうに俺の顔を横から覗き込む牧野。
お前は俺の親か!と言いたくもなる。
俺のお袋の場合ろうそくを吹き消せるかどうかにそんな真剣な顔で応援しねぇと思うけどな。
お袋の頭ん中は会社の2文字しかない様な人生だ。
促されて息を大きく吸って一気にろうそくに吹きかける。
ろうそくの炎が消えて暗くなる部屋。
今がチャンスと横の牧野に腕を伸ばすそれと同時につく部屋のライト。
一瞬の差で部屋の隅のスイッチの場所まで移動されていた。
テーブルの上にはケーキに料理に飲み物。
俺に切り分けたケーキを皿にのせ牧野が渡す。
「おいしいね」って、とろけちまいそうな笑みを向けられた。
押し倒せそうな雰囲気は未だにゼロだ。
焦る気持ちを落ち着かせるようにグラスのシャンパンを口に運ぶ。
「相変わらずうまそうに食べるよな」
「牧野って嫌いなものあるのか?」
「好き嫌いなんて言ってたら貧乏人は生きられません」
「あっ、嫌いなものあるかも」
「へぇ~、なんだ?」
「傲慢!
わがまま!
横暴!
自分勝手!
俺様!
ついでにスケベも足した方がいい?」
何で嫌いなものが俺なんだ。
「よくもそこまで並べるよなッ」
悪口並べて頬笑みを俺に向けるやつお前しかいねぇよ。
ソファにもたれかかる様に牧野に身体を預ける。
「ち・ちよっと!まだ食べてるんだからね」
焦った様に押さえつけてる俺を押しのけようと動く細い腕。
その腕を右手で捉えて膝に押し付ける様に力を入れた。
左手は背中に回して、これで牧野は動きようがない。
「ねッ、冷静になろう!」
今にも泣き出しそうな声。
「至って俺は冷静だけど」
「プレゼントもらいたいんだけどな」
「プレゼン・・ト?」
「プレゼント考えつかなくて・・・なに・・・も・・・」
喋りすぎそうな口を塞ぐ。
キスだけは拒否することなくなった牧野。
舌を口の奥まで誘い込む。
耐えられないように離した唇を俺の目の前から横にそらした。
「顔をそむけるな。俺を見ろ」
「甘い味がする」
「ケーキ・・・だよ」
吐息の中から聞こえる途切れがちの声。
服の上から触れる胸の膨らみ。
「・・・ゃッ」
牧野の指先がおれの動きを止める様に手首をつかむ。
ゆるゆると深めているキスに反応するように指先の力が強くなる。
「・・・ウッ・・・」
それは俺の指の動きを止める為じゃなくて、感じてるはずの身体に耐える為の仕草。
抗い様がなくなって身体を全部俺に預けてる。
牧野を抱き上げてベットに横たえた。
首の下に腕を入れてそっと触れる頬。
触れた場所から熱を帯びる様に熱くなる。
「いいよな」
ダメって言われても止め方知らないけど。
「優しいのか、乱暴なのか分からない」
聞こえる声がこれ以上密着できないほどの距離で耳元に響く。
わずかに離した身体の下で今にも泣きそうな顔がクスッと小さく笑ってた。
こらえようがなくなって遠慮なしに牧野に抱きついてしまってる。
あっ・・・
お・・・ッ
これから、どうするんだっけ?
牧野の服脱がして・・・
俺も服を脱いで・・・
キスして・・・
その続きは・・・
重くなる瞼。
「ねむっ・・・」
俺、今日のこと考えてこの3日間ほとんど寝てなかったんだ。
さっきのシャンパンが効いたみたいだ。
もう無理だッ。
「どう・・・?」
「どうみょうじ?」
「道明寺!」
夢の中で牧野の呼ぶ声を聞いていた。
いつものパターンならつくしちゃんが寝ちゃうパターンですが、今回どう回避させるか考えたら、こんな結末でも
有りかと(^_^;)
思い出の20才のBirthdayとなることでしょう。
折角ホテルの部屋まで行けたのに♪
リベンジはいつ?
拍手コメント返礼
hanairo様
「ありえねぇーーーッ」一番叫びたいのは司でしょうね。
ごめんなさい!今のうちに謝っておこう。
つくしの覚悟はどこですよね。
『えっ?あ?なに?
寝てる?
うそ!
どうすんのよーーー』
司の頭を1回ぐらいは「ぽくっ」といってたりして(^_^;)
また違うおまけが書けそうです。
kobuta様
どっちもかわいそうですよね。
立ち直るのは司の方が速そうな気がします。
おくら 様
このお話は初期の頃のお箸ですよ。
まだ作品もそんなに多くなかった頃でなにも考えずにかけたな。
あれから4年被ってないよな気にしながら今は書いています。
寝ちゃったのがつくしじゃなく道明寺というあり得ないオチ。
滅多にありませんなぁ。