木漏れ日の下で 21
*-From 1 -
そろそろ夕暮れ時。
執務室の中もライトが照らし出す。
デスクの上にはまだ終わりそうもねぇ書類の山。
昨日残業しなかった分が置いてあるわけじゃねぇよな。
ドアの向こう側にいるであろう西田の姿を想像して睨みつけた。
つくしが待ってんだけど。
姉貴と一緒だからまだ帰ってねぇかもな。
きっと喋りたらないぐらい今日のこと喋る出すんじゃないだろうか。
うれしそうにほほ笑むあいつの言葉を聞いて楽しむ俺。
想像したら早く帰りたくなった。
さっきまでの倍のスピードで書類に目を通してペンを走らせる。
けして斜め読みして時間を急がせてるわけじゃないからな。
言い訳する相手は側にいないのに何を気にしてるのか。
思った途端に「トントン」と響くノックの音。
「失礼します」
現れた西田の両手には高さ30センチはありそうな書類の量。
な・・なんだ?
それ?
思わずぽかんと口を開けたまま見つめてた。
「残業ですとか言うんじゃないだろうな?」
それではまったく今朝の予定と違うぞ!
確認ではなく拒否的気分を露わにする俺。
「残りの仕事です」
俺の拒否的気分を顔半分動かすような感じでかるく西田にかわされた。
朝はそこまで忙しそうな素振りを見せなかった西田。
昼を過ぎたあたりから徐々に増える書類の数。
西田に睨まれる様な事した覚えねえんだけど。
ここしばらく俺は真面目に仕事してたと思うぞ。
早く日本に帰りたかったしなっ。
「西田、この量・・・俺に徹夜させる気か?」
「私が言わなくても代表自ら徹夜をされると思います」
「どう言うことだ?」
「椿様が・・・」
「待て!」
西田が言いだす前に言葉をさえぎった。
頭を両手で抱えて出るため息。
まだ帰ってねえのかつくしのやつ。
どこまで姉貴は連れまわす気なんだろう。
人選間違えたか?
「もしかしたら司のとこにはつくしちゃん帰せなくなるかも~」
携帯の向こうから聞こえた姉貴の声。
冗談じゃなかったのかよ!
つくしは俺ンだぞ!
叫んでも無駄な抵抗だよな姉貴には。
「姉貴とつくし、何してんだ?」
「椿さまがつくし様をロスにお連れしたようです」
目の前の半分になりかけた書類の上に付け足す様にドンと手に持った書類を乗せる西田。
「うそだろう!」
東海岸から西海岸!?
姉貴のやつバカじゃねえのか!
そこまで俺達を引き離して遊ぶんじゃねーぞ。
案外「ロスはじめてです」なんて喜んでるんじゃないだろうなつくしのやつ。
あいつならあり得るかもしんねぇ~。
NYよりロスの方がつくしには似合いそうな雰囲気だし。
俺抜きでも十分に姉貴と楽しめそうだよな。
力が抜けた様に立ちあがりかけた腰をいすに戻した。
「西田!ロスに行く」
「今からは無理です」
「ジェットも椿さまが使用なさいました」
「こちらの仕事をかたずけてロスに行かれた方が十分な自由な時間が持てるかと思いますが?」
どうしますみてーに最後のとこで俺に決めさせ様とする西田。
結論は言わなくても西田の心の中じゃ決まってるだろうがッ!
この書類の量見れば一目瞭然。
早く仕事を終わらせてくださいと重圧をかけてる。
「これで全部か」
「頑張れば明日の昼にはこちらを発てるかと思います」
満足そうにほほ笑んでる西田を見た気がした。
拍手コメント返礼
hanairo様
甘いですね司。
速くお迎えに行かせてあげないと♪
みーな様
すけーるの大きなつくし拉致。
こんなことができるのは椿お姉さまだけだと(^_^;)
他の人は司相手にできないでしょう(笑)
マリエ様
「司!早く迎えにおいで」と椿お姉さまが啖呵をきッていそうです。