幸せの1歩手前 3

 *

「メールが来たよ」

携帯から聞こえるキティちゃんの声。

この設定は西田さん。

柄じゃねぇーーーといいつつ道明寺にはうけている。

道明寺がキティちゃんを知ってる方が意外だったけど。

ちなみに道明寺からの着信は相変わらずスターウォーズのテーマだ。

『今日は会食の予定がありますので帰りは22時をすぎのご帰宅予定です。

しばらくは仕事が立て込んでいますのでつくし様もご自分の仕事に集中できると思います。

早くお仕事に慣れることに期待を込めて』

そして西田のサインが最後を締めくくる。

喜んでいいのだろか?

私の為に道明寺の仕事を増やしたと言ってるみたいにも読めるメール。

西田さんが私のどこに期待してるのか・・・。

それはやっぱり『猫にまたたび』的なものなのだろう。

メールを読んで手の中に握りこむ携帯。

無意識にため息が漏れた。

「メール誰から?落ち込んでるみたいだけど?」

目ざとく握りしめた携帯に視線を注ぐ玲子さん。

メールの内容が見えるはずないのになぜか手のひらに力が入った。

落ち込むのが道明寺の帰りが遅くて会えない淋しさじゃなく、私といる時間を道明寺がどうかかわってくるのか、

それが不安だからだ。

束縛気味になるのは目に見えている。

「帰りが遅いって西田さんからのメールで・・・」

西田さんイコール道明寺の秘書ということは誰でも知っている。

「秘書ってそこまでしてくれるんだ」

「西田さん、私にも気を使ってくれるみたいで」

道明寺を機嫌よく仕事に集中させるためには必要な事の様でなんてわざわざ付け加える必要はない。

言わなくても玲子さんはきっと気が付いてると思う。

当たり前!

という様に悪戯ぽく表情が動いた。

「それじゃ、少しくらいつくしちゃんも帰りが遅くなってもいいよね」

「まぁ・・・」

「仕事終わったら合格祝いと就職祝いをしよう」

「それ、俺もノッタ!」

亀がニョキッと首を伸ばすみたいに横から甲斐さんが出てきてにこやかに声を上げる。

「甲斐さんも来るんですか!?」

「そんな嫌がる様な態度、俺でもキズつくぞ」

1ミリも傷ついてない様な態度そのままの甲斐さん。

「折角、女性だけで楽しもうと思ってるんだから」

「玲子さんまで俺をのけ者にしないで下さいよ」

「甲斐のおごりならいいかな」

「俺より玲子さんの方が高給取りじゃないですか」

今度は甲斐さんも本当に泣きそうな顔になった。

「しょうがないから3人で親睦を深めよう」

親睦を深める必要はない様に思える関係。

「でも、私そんなに遅くまで付きあえませんよ」

1日目から道明寺より帰りが遅くなったらなに言われるかわかったものではない。

苦虫を噛み殺したような顔で仁王立ちで凄まれるに決まってる。

「大丈夫、問題が起きない様にしっかり送り届けるから」

問題って・・・

飲んで帰りが遅くなるだけで起こる様な問題はないと思うんですが・・・

玲子さんの言葉になぜだか不安になった。

もし道明寺より帰りが遅くなったら・・・

1のことも100くらいで責めてきそうだ。

危なくなる前に「玲子さんと食事してもいい?」と保険を付けとく方が利口かもしれない。

そう連絡を入れるつもりで携帯のボタンをプチっと押した。

午前中はブログサーバーの障害で更新できずに焦りました。

なんとかUP出来てホッと一息ついたところです。

拍手コメント返礼

匿名様

なんども足を運んでいただきありがとうございます。

感謝!

本当につながらなくなると私も焦ります。