甲斐君のつぶやき 1(幸せの1歩手前)
こう様のコメント『玲子さんと甲斐くんから見た司つくしを読んでみたい気が…つくしが来てどれだけ司のイメージが変わったのだろう~』
をいただきまて思いついた小話を一つ♪
幸せの1歩手前 13の番外編のお話です。
オリキャラ松岡公平君に続く第二弾。
まずは甲斐君目線でUPさせてもらいます。
最近甲斐君のイメージが『ニノ』になってます。
公平君は『翔君』の投票数が多かった記憶があります。
どうせならあと3人オリキャラ考えて・・・。
危ない!!!
皆様に受け入れてもらえるかは未知数なので番外編というカテゴリーでまずは始めさせてもらました。
人気が出ればもしかして西田さん日記みたいなシリーズ化になるでしょうか?
微妙~。
*「僕よりましじゃないですか」
半分本気の泣き言。
「代表のあの睨みだけで僕は何度殺されかけたか知ってますか」
大げさすぎみたいな視線は張本人のつくしちゃん。
君は全然分かってないと思う。
「私が知ってるだけで5回はあるわね」
「生きててよかったじゃない」
玲子さんも所詮は他人事だ。
俺が隣にいるってだけで刺激の強い強烈な視線。
俺を見付けるたびに注がれた。
それだけでビビる。
すぐにつくしちゃんを見つけるその視線はいつも隣にいる俺も視野の中に含まれる。
どうして俺がつくしちゃんを指導することになったのか岬所長を恨みたくなった。
って・・・。
「僕がやります」
真っ先に手をあげたの俺だったんだよなぁ。
「来週から、司法修習の実務研修生が一人来るからよろしくね」
弁護士になって5年。
所長を筆頭に玲子さんと俺の弁護士3人で道明寺本社に事務所をかまえる。
ここでは一番の下っぱだ。
俺より若い子が来ればいいけど・・・。
去年来たのは俺より年上の30歳の男だった。
「大学在学中に司法試験に受かった子だから優秀よ」
所長のその言葉に思わず飛びついた。
俺より若い奴なんて滅多にない。
後輩が出来るのは期待を抱かせるものだ。
自分が成長したと思える瞬間。
「僕が指導してもいいですか?」
「いいわよ」
「これが履歴だから」
渡された書類を食い入る様に見つめる。
22歳の英徳大学卒業・・・って金持ちのお嬢様か?
道明寺・・・つくし。
「所長・・・この道明寺ってここと関係あります?」
それほど重要には思っていなかった確認事項。
「甲斐君知らないの?」
「去年大々的にニュースになってたはずだけど」
背中越しに書類を眺めてた玲子さんが所長の代わりに言葉を返して来た。
去年のニュースって・・・
「あっ!」
代表の婚約発表!大口開けてラーメンすすってた顔しか見てない。
言われなきゃ分かんないぞ。
春に代表は結婚したはずだ。
俺・・・
代表の奥方指導するのか?
ちやほやするつもりはないがどう扱う?
「普通に接してびしばしやってもらって構わないから」
所長は当たり前みたいな感じで軽く俺に告げた。
そう言われても不安だった。
本人に会うまでは。
初日に見たのはあどけなく屈託なくほほ笑む表情。
まっさらな感じで真っすぐに人を見つめる素直な瞳。
高校生でも通りそうな容姿。
これならうまくやれそうだと一瞬で気にいった。
恋愛感情があるわけじゃない。
それでもやっぱり若い子がいるといつもよりテンションが上がる。
これは浮気じゃない!
男とはそういう生き物だ!
三年越しの付き合いの彼女に心の中で言い訳してた。
「甲斐孝太郎君、うちの若手のホープだから頼りになるわよ」
所長に紹介を受けながら片手を差し出す。
「甲斐孝太郎。28歳独身。ここでは一番の下っ端、よろしく」
慌てた様に差し出された手のひらを軽く握って握手を交わした。
目の前でほのかに染まる頬、とても人妻とは思えない初々しさが残る。
「わざわざ自分から御曹司の奥様だってばらさなくてもいいからね」
「君がうちの事務所にいることは公表されてないから」
なんて・・・
つくしちゃんの緊張を解きほぐしながらビル内を案内したのはつい昨日の様に思える。
俺達の気遣いも道明寺つくしの正体は本社ビル内を駆けぬけてすぐに無用のものになってしまった。
コーヒー片手に歩いてた受付ロビー前。
後ろから突然聞こえてきた声。
「なにもってんだ」
後ろから伸びた手がつくしちゃんのコーヒーカップに延びてそれを口に運んでく。
一瞬の出来事で俺はすべてを悟った。
「こいつ連れていくから岬さんにはそう伝えてくれ」
「えーーーーーッ」
「ちょっと、勝手に話を進めないで」
すげー
目の前に現れたら委縮して声なんて出なくなりそうな重圧感の代表にまじで反抗してる。
膝に蹴りを入れそうな構えが止まって足を元にもどした。
この場面で蹴りを入れていたらどうなるのだろう?
驚きの展開に周りは凍りつく!
そんなところだろうか。
見てみたい気もした。
「あっ!」
「こいつとはコーヒー飲む時間はあっても俺には付き合えないわけか!」
代表が俺を指さしながら睨んでた。
嫉妬丸だしの不機嫌さ。
拗ねてる感じにしか見えないいいがかり。
どうみてもタダのじゃれあい。
バカげたカップルの言い合い。
アテラレテル・・・
側にいる俺はそうとしか思えない。
これがあの代表か?
冷静・沈着なイメージ。
クールで冷たい感じがたまらないとは本社内の女子の大半の弁。
いなくなってしまってる。
ここにいるのは二十歳そこそこの等身大の青年というよりはガキだ。
ほほえましく感じてるのは俺だけだろうか?
一気に身近に感じる距離。
「甲斐、つくしと昼飯食う時間ぐらい問題ないよな」
「構いませんよ」
にっこりほほ笑んで軽く手を振って見送っていた。
あの時はまだ俺が代表の嫉妬の対象になるとは思ってもいなかった。
俺じゃなくてもつくしちゃんの周りに近づく男すべてがその対象だと気が付くのにそれほど時間を要さなかった。
つくしちゃんのポケットの中で携帯の振動する音が響く。
出るのか出ないのか迷い込んでる様子に苦笑した。
そのまま携帯の着信を無視したらどうなるか・・・。
ここにいるすべてのものには予測可能だと思う。
どちらかというと平和な解決が望ましい。
「出たほうがいいと思うけど?」
ポンと軽くつくしちゃんの肩を叩く。
いないよな?
思わずキョロっと周りを見渡す俺。
条件反射になってしまってるらしい。
どこかで代表の焦った人間味のある対応を楽しんでしまってる。
俺も懲りてない様だ。
拍手コメント返礼
b-moka様
新シリーズです♪
いつも新しいお話を始めるときはドキドキものでみなさんの反応がとっても気になるものです。
特にオリキャラの場合は気になって仕方がありません。
滑り出し良好で安心しています。
もう少しはお話のストックがあるので楽しんでいただけたらと思っています。
確かに西田さんよりは切実ですよね。
西田さんとは違う切り口でつかつくが表現できればと思っています。
たけうさぎ様
シリーズ化に1票ありがとうございます。