watcher 5

*

公平と別れて家路につく。

何となく・・・

ただ何となく・・・

司に対して気が引ける想い。

司以外に頼み事をするのは何年振りだろう。

仕事の話って案外二人では話さないから大丈夫だろうけど、ばれたらやばい!

それは分かる。

そう思った時点から普段と違う私が出来上がっているはずだ。

パンと頬を叩いて自分の弱気な部分を追い出した。

「おかえり」

いつもの調子で仕事から帰ってきた司を部屋へと迎え入れる。

「どうなっている?」

「どうなっているって?」

いつもと違う司の口調にドキンと胸が高鳴った。

ばれるはずがない。

もう一度自分に言い聞かせる。

「氷室物産から依頼があったろう孫娘への遺産相続の件だよ」

「自分ところの顧問弁護士を使わなかったのはそれなりの理由ががあるはずだからな」

「理由?」

命狙われてるってもうばれたか?

「後を継いだ孫娘に道明寺が後ろについているという箔をつけたいんだ」

「うちも氷室物産と伝手が出来るのはプラスだしな」

その辺は薄々と私も理解していた内容。

「だから俺も何も言わずお前にやらせている」

いきなり耳元で優しくなでるような声。

抱きすくめられたまま、ばれたわけじゃなかったと「ハァ」と息が漏れた。

「反応早くねぇ?」

まだ何もしてないぞって、振り向いた視線の先に余裕の笑みを浮かべられた。

「反応してないわよ」

ふりほどけない両腕は着実に身体の自由を奪っていく。

「この前、お前俺になにしたか覚えているか?」

「この前?」

「いきなり大事なとこ力いっぱい掴んだよな」

司の指先はそう言いながらそのまま私の胸にまで移動している。

お返しみたいに掴むなッ。

「掴んだってッ!あれはしょうがないでしょう」

押し倒されそうになって手が動く範囲にあったのがそれで・・・。

掴みやすかったし・・・って。

私も必至だったんだから本当にしょうがなかった。

「しょうがないって、死ぬかと思ったんだからな」

「車の中で人の服を脱がそうとしたからでしょうがぁぁぁぁぁぁ」

身体の熱い高まりよりもあの時の恥ずかしさで気分が上昇してきた。

腰に当たる物体は車の中で掴んだモノと何ら卑下するところはない。

「さっきの話、氷室物産のことは大丈夫だから」

気持ちをそらす様につぶやく声も震える。

「今度は優しくなッ」

優しくって言われても今の気分じゃ無理だーーーーッ。

まあ・・・。

でも・・・。

触れられれば・・・。

そこから・・・。

自然と熱を帯びてくるのは・・・。

仕方がない反応で・・・。

今回のことがバレなければこのままでもいいのかな?

なんて・・・。

妥協した。

妥協して押し倒されるのは贅沢だ~~~~~。

ちょっと遊んでおります♪

遊び過ぎ?いやまだPW付きまではいってませんしね。