玲子さんの婚活物語 2

『ないしょ?ないしょ!ないしょ!?』のお話で登場させたオリキャラ『加川』さん。

勝手に一人で話しを作ってどんどん進めて行くありがた迷惑なおばちゃん(笑)!

道明寺代表夫人となったつくしと再会したらどうなる?

迷惑(ウソですよ♪)いや予想にしなかったリクエスト。

まさか加川さんにまでリクエストをいただけるとは!(^_^;)

作者冥利に尽きると言うことことですね。

香音様、ち**様ありがとうございます。

どうせ登場させるなら短編の1回きりより、お話をひっかきまわしてもらいましょうと思いつきました。

急きょ登場を願うことにしました。

知らない方は『ないしょ?ないしょ!ないしょ!?』も読んでくださいね。

 *

「それじゃ、頼むわね」

1階エントランスのロビー前。

ギュッと玲子さんに握られた手のひらが痛い。

「そんなに力入れたら指が折れます」

このセリフは今まで司にしか言ったことがなかったのにッ。

「明日の夕方ね」

「明日!」

「そう、明日午後6時」

「そんなに急ですか?」

「早いに越したことないでしょ?一日でも早く入会した方がいいに決まってるでしょう!」

「確率もあがるだろうし」

一日二日で結婚相手に会える確率は変わるとは思えない。

結局は出会いって運命だと私は思っている。

私が司と出会って結婚したことなんて運しかあり得ない様なものだ。

高校で私が最初に決心した通り息を殺して過ごしていれば顔も会わすこともなく卒業していた可能性が高い。

結婚相手の中に選ばれる接点もなかったはずだ。

私達が出会ってなかったら私は誰と結婚していたんだろう。

それでも司の顔しか浮かばないって・・・。

結局どこか出会えてる気がするのだから不思議なものだ。

「つくしちゃん、聞いてるの?」

目の前で開いた手のひらを左右に玲子さんが振っているのが見えた。

「駿君連れてこないでよね。子供見る人がいないなんてそれは説得力なしのいい訳だからね」

仕事復帰に向けて託児所を探す苦労は皆無な私。

道明寺の屋敷の中でただいま人気ナンバーワンに君臨する二歳児。

今日も誰が駿の世話をするかじゃんけんだったもんなぁ。

いつもは自分の部屋でお茶をすすってるタマ先輩もどこから聞きつけたのか『駿坊ちゃん世話係決定戦」と銘打ったじゃんけん大会に参加してた。

負けたら「先が短いんだよ私は」って・・・じゃんけんで決める必要なしだよ。

その前に駿の遊び相手には体力が無理だと若干タマ先輩が心配になる。

「分かってますよ」

問題は外出の理由。

いまからいろいろ頭をひねる。

仕事に向けての準備で玲子さんに指導を仰ぐこれが一番妥当?

「甲斐も来るのか!」

このくらいは突っ込んできそうだ。

「玲子さんと二人だから」

この線で行こうと決めて後は玲子さんに口裏を合わせてもらおう。

「玲子さん、あのですね。明日ーーーーー」

「つくしちゃん!つくしちゃんじゃない」

私の声は甲高い声に打ち消されて聞こえなくなった。

このビルで私のことをつくしちゃんと大声で呼ぶ人いたっけ?

玲子さん達仕事の先輩でも、仕事がらみのときは道明寺だぞ?

受け付けに見栄え良く並ぶ三人の受け付け嬢も笑顔を忘れしまった様に私たちを見つめてた。

今にも抱きついてきそうな勢いで目の前に現れたのはビルでよく見かける鼠色の清掃服に掃除道具の入ったコンテ。

大学時代同じ格好でバイトしたことがあった。

司に内緒という最悪な条件にどれだけハラハラしたことか・・・。

想い出すだけで当時の緊張が身体に走る。

目の前に迫る顔。

年齢五十過ぎ、少し白髪も見える。

目じりのしわも数本増えてるが見覚えのある顔。

「・・・加川さん?」

「やっぱり私のこと覚えてくれてたんだね!?」

あんなにインパクトのある対応をされて忘れるわけない。

私の迷惑は完全に無視して自分の息子を紹介すると付き合いを勧められた。

断るために花沢類を私の彼氏に仕立てたら「応援する」って司とお母様にも応援を頼んだ迷惑な人。

どうしてこんな時にこんなとこで会う?

今まであんなに会わなかったのに、このタイミング。

嫌な予感が頭をよぎった。

ダークホース的役割をこの加川さんやってくれるんじゃないでしょうか?

本当になぜこのタイミングでこのリクエスト!

つなげる私の思考は枝分かればっかりしてます。(^_^;)

なんだか楽しくなりそうな予感がします。

最初の予定のお話はどこに行く~。