Happy life 5

ショートでUpした『ある日の一コマ (司&西田1)』特価に弱いつくしちゃんに付き合う道明寺総帥の場面を書いてみようか思いつきました。

久々の短編です。

*

「どこ行くんだ?」

「駿と散歩して来ようかと思って」

ベビーカーに乗った駿は上機嫌にきゃっきゃと声をあげている。

手に握りしめてるのはこの前俺が買ってきたウサギのぬいぐるみ。

長いピンクの耳にはしっかり駿がなめた跡がびっしょりとついている。

「最近は歯が生えてきたから何でもすぐ噛むのよね」

「このぬいぐるみは相当気に入ってるみたいよ」

使い方は違うが赤ん坊の遊びはそんなものかもしれないと最近は俺もわかってきた。

機嫌が悪いと耳を握って振り回すのはさすが俺の子だとつくしは感心する。

お前にも似てると俺は思う。

「二人で行くのか?」

「そうだけどまずい?」

「何かあったらどうするんだ」

「大丈夫だよ。ベビーカーで目つきの鋭い男性つれて回る方が目立つもん」

「なら俺も行く」

SPより心強いなんてにっこりほほ笑むつくし。

「そうかぁ」

つぶやく声はいつもより明るくなった。

家族三人で屋敷を出る。

目立たない程度の距離を保って警護するSP。

必要ないといってもしょうがない。

街路樹からこぼれて差し込む日の光は柔らかく、風は優しく頬をなでる。

散歩するには一番季節のいい初夏の午後。

緩やかに流れる時間。

時にはこんな時間も必要だ。

ベビーカーを押すつくしの右手に握られてる紙。

「なに握りしめてんだ?」

「これ?」

目の前に広げられたA4サイズの紙には食品の写真。

特価198円赤で書かれた文字は特に目立つ。

「・・・これなんだ?」

「今日は特売日なのよ」

「特売って・・・」

必要なものは業者に言えばすぐに配達される。

自分でわざわざ買いに行く必要はないはずだ。

それなのにやけに張り切ってはしゃいでいるつくし。

値段を見て買い物するなんてことも必要ない。

「今日は、ティッシュペーパーとオムツが安いのよね」

「おひとり様一個だから司がいてくれて助かる」

ベビーカーを押したままなれたように店の中に進むつくし。

しょうがないから俺もつくしの後を追う。

「おひとり様一個ってなんだ?」

「特価のものって一人一個しか買えないとかの条件が付くの」

そして当たり前のように「ハイ」と押し付けられた赤ん坊のパッケージのついた紙おむつ。

両手に持たされた。

特価と書かれたものを選ぶとそのままレジに並ばされる俺。

レジに並んだのは初体験だ。

いったい俺になにをやらせる。

周りからじーっと見られてる気がする。

「まさか・・・違うわよね」

「でも似てない?」

聞こえる声に流石の俺も冷や汗ものだ。

両脇にティシュの箱を抱え両手にはオムツ。

俺に荷物持ちさせるのはこいつくらいのもんだ。

姉貴にもさせられたけどあの時はブランドの紙袋。

持たされてる物の差は歴然。

絶対知り合いには会いたくない格好。

「紙おむつはいつもより200円は安い」

「ティシュペーパー198円はなかなかないのよね」

100円200円で目の色を変えるのは相変わらず貧乏くさいやつ。

そんなことで喜べるものなのかと半ば呆れながらもこいつの嬉しそうな顔を見るのが俺は好きだ。

「次の店は、トイレットペーパーが安いのよね」

「まだ行くのか!?」

「よろしくね」

よろしくって・・・

散歩じゃねぇじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ。

目のあったSPにオムツを思い切り投げつけた。

拍手コメント返礼

なおピン様

このシリーズは最近めったに更新しないんですが根強い人気があるんですよね。

お気に入りと言ってもらえてうれしいです。

小銭を持ってると思えない道明寺総帥。

つくしが「1000円」を渡してる現場を想像したりしてます。

まだまだこの続きは書けそうで♪

司がレジにならぶ体験もつくしならではでしょうね。

さっちき様

道明寺のSPも変わったでしょうね。

会いたくない時に出てくるのがF3。

次はF4で特売のお買いもの♪

igaiga様

両手にオムツを持つ司。

みたら拝んじゃうって~(笑)

確かにご利益ありそうだ。

楓さんが見たら・・・「うちの息子になにさせる!」そう反応するか。

「あの司が・・・」と苦笑するか。

どっちだろう。

b-moka

お褒めいただきありがとうございます♪

褒められるともう少し先まで書きたくなる悪い癖♪出てきそうです。