涙まで抱きしめたい 1

「ごめん、それでも愛してる」あきら&葵の続編です。

終わらせたはずなのに、ち**様から頂いたコメントこの二人の力関係、F3付き合いとか楽しみと言われて、しっかり夢の中で物語が続いていました。

設定は「ごめん~」の最終話から半年後くらいになるでしょうか。

どうなってるのかな~この二人♪

*

運命だったという気がしてる。

普段のお俺なら見合いを持ち出されても口実を見つけて断っていたはずだ。

大学を卒業して1年目の春。

司の実力が試された企業合併の祝典会場。

牧野との結婚まじかの噂もささやかれ始めていた。

若き総裁に渦巻く羨望と称賛。

注目を浴びるのは当たり前で俺も誇らしい。

そして心がうずく。

パーティー会場の隅っこで窓辺にもたれかかる華奢な身体。

ストレートの髪に大きな瞳はわずかに潤って黒色の艶を帯びて司に遠慮なく注がれてる。

少し大人げに施した薄化粧。

静かに目立たない様な佇まい。

俺にはそこだけが切り取って浮かび上がるように輝いて見える。

親友の彼女だ。

そう思えば抑え切れる心。

そして何気ない会話を切らさないようにと続ける。

牧野を囲う様に集まる俺たち4人。

司をからかうように牧野が会話の中心にいる。

「もうお前ら牧野のそばに寄るな」

「もう!何言ってるの」

牧野を渡すかと本気で威嚇する司の態度はいつものこと。

「ほら、皆が集まったの久しぶりだから私はうれしいんだけど」

「せっかく祝いに来てくれたんでしょう」

「そうそう」

「もっと丁寧な挨拶をしてもらいたいもんだ」

「俺とお前らの間でそんな他人行儀なもんいらねぇだろうがッ!」

「だから牧野も四人で共有なッ!」

「させるか!」

司が必死の形相で牧野を胸の中に閉じ込めるように抱きしめる。

クスッと俺たち3人に浮かぶ笑み。

その奥に一抹の寂しさを隠してるのは俺だけではないはずだ。

お前のものをとるつもりはないと心にかけるブレーキ。

いつの間にか意識しなければできなくなったことに気が付いた。

見合いの話を受ける気になったのは牧野とのことが根底にあったのは否定しない。

今までの恋愛にけりをつけて付き合いのある女性たちと手を切るのはちょうどいいと思えた。

意外だったのは俺の見合い相手。

企業のつながりを密にするための政略結婚じゃなくて世間知らずの御嬢さんじゃなかったこと。

興味が湧いたのもなんとなく牧野を思い起こしたからだ。

気が強くて、生命力のある強い瞳を持つ女。

俺の会社の社員のはずなのに俺の顔も知らなった。

「人のこと馬鹿にして、ニ度とくんな」

女に啖呵切られたの初めてで・・・。

睨むように勝気な瞳は不快感を隠そうともせず俺を見つめてた。

きっとこの時から俺は葵に引かれてたんだと思う。

そこから俺たちの物語は始まった。

「どうだった?」

「この顔を見ればわかるだろう」

グラス片手に総二郎の顔を見ながらぼやく。

「この半年で3回目だっけ?」

「類!覚えてなくていい」

グラスに入ったウイスキーをそのまま流し込む。

カランとなる氷までさびしく響く。

葵への3回目のプロポーズは見事玉砕。

1度目はあいつを初めて抱いた日の翌日。

会社のエレベータの中。

「結婚しないか」

熱く長いキスの後で甘く反応を示す葵に思わず心のままつぶやいた。

一瞬考え込んだ彼女は「YESって言えると思う?」

悲しそうに顔を曇らせた。

その訳はきっと俺の結婚で爺様が出した条件。

葵と結婚することが後継者となる条件になってること。

3か月を過ぎたころもう一度トライ。

「今はまだ仕事がやりたいの」

俺・・・仕事に負けたのか?

仕事と俺どっちが大事なんてそんなことは言えなかった。

そして今日半年で3度目のプロポーズ。

「まだ自信がない」

「一緒に住んでるんだから今のままでも十分幸せ」

胸の中っで甘ったるくプロポーズを断る女なんてそうはいない。

即答で断る葵。

少しは思案する時間をもてッ。

「俺なんて一発でプロポーズOKさせたぞ」

「結婚まで4年はかかってるけどな」

ニンマリする司に総二郎がからかうようにつぶやく。

「それは牧野が大学を卒業するまで待ってたからだろうがぁ」

「ここで喧嘩するなッ!今の俺は相当機嫌が悪い」

総二郎に掴みかかった司の動きが止まる。

「ったく。一緒に暮らしてるんなら結婚に執着しなくても問題ないだろうが」

「司、お前牧野と暮らせたら結婚しなくてもいいのか?」

以前の俺なら紙切れの上だけの関係だとはなでわらっていたにちがいない。

どうしようもなく自分のものにしたい感情。

本気で好きになって守りたいと思うから結婚に執着するんじゃないのか?

「好きな女が自分と同じ苗字を名乗るってわくわくしねぇ?」

「来年には道明寺つくしになるんだぞ」

「お前は幸せでいいよな」

司の単純さがあほらしくなって心地よくする作用を生む。

「そろそろ、公に牧野との結婚のこと発表するつもりだ」

「忙しくなるぞ」

司の場合は俺を慰めるつもりは全くないらしい。

相変わらずの自己中だ。

俺もあせる必要はないはずだ。

葵との関係はうまくいっている。

仕事でも・・・

私生活でも・・・

会社で俺たちのことが噂になってないのが不思議な気がするくらいに。

「なぁ、あきらの場合、葵ちゃんに浮気するんじゃないとか警戒されてるんじゃないの?」

「だから噂されても困るとか思ってたりしてな」

「それで結婚をためらってるってことか?」

今更浮気する気なんてない。

四六時中葵と一緒にいる状態でそれはあいつが一番わかってるはずだ。

「浮気なんてしてないぞ!する気もサラサラない」

こいつらがからってるのはわかってるのに本気で相手をしてしまってる。

「今までが今までだからな・・・」

「好き勝手、言ってろッ!」

しばらく結婚のこと持ち出さない方がいいのだろうか?

司みたいに数年待つ必要がある?待たされる?

意味はあるのかとふと考えてしまってた。

拍手コメント返礼

b-moka

まさかこんなに早く続編をUPすることになるとは自分でも意外でした(笑)

あきら&葵もつかつく同様に愛されてれ宇野がうれしくて♪

ここではあきらもいじられキャラ

意外と楽しいです。

nonno様

私も意外なんですよ。

最終話を書き上げたときはまるで考えてなかったもので(^_^;)

あきらの健闘が光るお話にしたいですね。

こみち様

ありがとうございます。

好きと言ってもらえるのでテンションが上がってお話が書けます。

私もうれしい♪

なおピン様

私もつかつく以外の話でこんなに書けるとは思ってませんでした。

最近はつかつくでは書けない恋バナをあきらと葵で書いてみたいのです。

大人な恋愛ものでも楽しいというお話に仕上げたいのです。

hanairo様

ハイ♪

しっかり続けています。

こちらもよろしくお願いします。

ゴンチャン様

いえいえ、こちらこそ楽しんでいた抱けてうれしいです。

二人のこの先も見届けたいと思っているところです。

なんせ3編まで来ましたからね。

応援ありがとうございます