涙まで抱きしめたい 14

きょうはUPが遅くなりました(^_^;)

午前中は何かと忙しく、やっと更新ができた~。

お待たせいたしました。

さあこの二人の未来は!

つかつくにまけない話を続けたいと思っとります

*

「そろそろ帰るわ」

「俺はお前らみたいには遊ばねぇからな」

皮肉るように言いながら気のいい笑いを司が浮かべる。

「俺たちの邪魔より自分たち二人の邪魔をされたくないだけだろう」

「分かってれば早い」

あっと言ったまま牧野の方は口元が固まってあたふた気味だ。

相変わらずの牧野の初心さは健在。

その横で負けずと劣らない初心な顔がもう一つ出来上がってる。

もっとドキリとさせたくて葵の肩に腕を回してわざと密着させる身体。

体温のぬくもりと共に葵の心音の高まりさえ俺に伝えてくる。

司らが消えてバタンと閉まるドア。

それを合図のように唇を重ねた。

わずかに離れた唇はまだ足らないと温もりを求めて頬に、首すじに移動させる。

滑らかな柔肌にすべてに跡を刻みたい思いのままに唇を落とした。

それを拒む様に葵の腕が俺の胸元を押して動いた。

「まだ聞いてない」

「何を?」

「どうして私が常務の秘書になったのか・・・」

「俺に人事の権限ないんだよ」

ここまでしてやってるのに何やってるんだとジー様から発破かけられてる証拠だなんて葵に聞かせるつもりはない。

「葵が早く俺のプロポーズを受けてくれればこんなことにはならなかった」

葵を責めてる気持ちがわずかに口を出る。

「プロポーズを断った仕返しとか、怒ったとか考えたんだけど・・・」

「やりすぎだって思ったんだから」

拗ねてみせる表情。

どっちらからも漏れる愛しい思いはこぼれ落ちて足元から体を包み込んでいく。

「遠回りしてないか?俺たち」

「せっかちに進めてると思うけど」

首に巻きつく様に葵の腕が動いて目の前で照れくさそうにほほ笑む。

「今度プロポーズするときは絶対YESしか受け付けないから」

「それじゃ受け入れるようになるまでプロポーズ聞かないようにする」

そう言った葵の唇が俺にキスをした。

抱き合ったまま眠りについた朝。

目が覚めたらベットには俺一人。

「おはよう」と屈託のない笑顔を向けられて俺の方がドキっとなってしまってる。

それだけで自分の機嫌も上向くなんてどれだけ単純になっているのだろう。

司の前じゃ絶対に見せない。

昨日の司のニンマリとした表情を思い出して苦笑した。

「ごはん食べて」

着替えをすませ、リビングに戻った俺の前には湯気の上がる出来立ての朝食。

ご飯にお味噌汁、卵焼きに小皿が数品。

俺の実家じゃ絶対ない和朝食。

一人じゃあまり食べなかった朝食も葵と暮らしはじめて慣らされた。

箸を動かす俺を見て「じゃ、先に行くから」と葵は背中を向ける。

「一緒に行こう」

テーブルから立ち上がって誘った腕を振りほどいて飛び出したのは葵。

それを追いかけた。

地下鉄なんて久しぶり。

あいつ・・・まだ定期を持っている。

慌てて切符を買って改札口を通る。

俺が付いてきてるのを気が付いて時々俺を待つようにゆっくりと歩く。

せかせかした出勤時間には不釣り合いなスピード。

わざと柱の陰に隠れる俺。

不安そうに変わるあいつの表情が見たくて仕方ない。

電車に乗るころには葵の横にすんなりと居場所を見つけて隣に滑りこむ。

「無理に電車に乗らなくても」

あきれたようにつぶやきながら内心はうれしいと言ってるように口元から気持ちが漏れてるのがわかる。

抱き寄せなくても窮屈に触れ合う身体。

横の男に葵を触れられたくなくて腕でカバーする。

「ラッシュの電車なんか二度と乗せない」

俺の胸元で葵が子どもみたいとクスッと笑った。

駅を出る頃には葵と俺は1メートルの間隔が開いてた。

俺が近づくと葵の歩幅は大きくなってそして早足になる。

「会社が近いんだからね」

睨んでも俺たちの関係は昨日でお前の同僚3人にはばれている。

ついでにあの里中にもだッ。

半年前の噂の勢いだと昨日中に広まった可能性高くないか?

諦めろ!

そしてまた俺は葵に追いつくように歩調を早めた。

赤から青へと変わる交差点のシグナル。

振り返って立ち止まった葵は人波に押されてわずかに距離を進める。

大きく足を踏み出して、よろけそうな身体の葵の腕をつかんだ。

会社は目の前に高く姿を見せる。

もうそこにはMIMASAKAを誇示する社名が見える。

規則正しく足早に聞こえていた足音は時々コンと音を立てて立ち消える。

そしてまた通り過ぎる。

振り返り、ゆっくりと遠ざかった足音をリピートするように幾度も繰り返す。

ほとんどが俺の会社の社員のはずだ。

「これじゃ余計に目立つ」

引き寄せた腕の中で観念したように葵がつぶやいた。

拍手コメント返礼

b-moka

隠すつもりがあるのは葵の方がもともと強いですよね。

あきら自体は注目を集めるのは慣れてるでしょうしね。

覚悟を決めてもらって早く話を終わらせたい気もしますがこれがなかなかうまくまとまらないんです。(^_^;)