駿君の家族日記 13(夏休み編 7)
牧野家に司一家勢揃い。
双子を持て余す司のお話はある日の一コマでお楽しみを~
*「ママ~」
すぐにお母さんはちび達にとられてた。
ちび達は朝まではず~とお母さんに甘えていたはずなのにッ。
僕一人のお母さん時間はほんの少しだった。
少しムッとする。
「駿、元気だったか」
代わりにお父さんが僕を抱っこしてくれた。
お父さんに抱っこされるのも好きだけど、やっぱりお母さんの方がいい。
それでも少しは僕のムッとした気分は小さくなった。
「金魚すくいやりたいのか?」
「お祭りで挑戦したけど1匹もすくえなかったんだ」
「いっぱい金魚すくいしてうまくなるんだ」
「本当におうちでできる?」
「いいぞ」と返事してくれたお父さんの横でお母さんは顔をしかめてる。
「変な約束しないで!」
「いいじゃん、それくらい。大したことじゃない」
「それくらいってねッ」
「金魚でも鯉でもアロワナでもやらせりゃいいだろう」
「鯉?アロワナ?」
お母さんが考え込んで声が止まった。
「司・・・あの・・・聞くけど・・・金魚すくいって知ってる?」
「そんくらい知ってるぞ。魚をすくうゲームだろうが」
「知ってるんならいいんだけど・・・」
「鯉やアロワナは無理じゃないかなって思うんだけどね」
「いろんな魚がいる方が面白いよな駿」
僕に言われても・・・
鯉をあの紙で出来たタモですくうのは無理があると小学生の僕でもわかる。
アロワナってどんな魚?
イルカみたいに僕が乗れるくらいの大きな魚だったら怖い。
流石に僕も不安になってお母さんを見つめる。
「変な魚入れないでよ、金魚だけで十分」
「金魚だけならいいんだよな?」
「えっ?あっ・・・」
お父さんが僕にウインク。
珍しくお母さんにお父さんが勝った。
「駿!つくしが言いといったぞ」
お父さんがにっこりと笑った。
あきらめたように肩を落とすお母さん。
そして僕を見ながらしょうがないとおかあさんが笑って僕も安心して喜んだ。
「金魚すくい、屋敷でしてもらうのか?」
進おじさんは意外そうな顔で言って「いいな」とつぶやく。
「どうせならお祭りごと再現してもらったらいいんじゃなか?」
「祭りをしても困らない広い庭が駿の家にはあるしな」
「進!これ以上ややこしくなるようなこと言わないで!」
お母さんに進おじさんが怒られた。
「とばっちりが飛んできた・・・」
小声で小さく進おじさんはつぶやいていた。
おじさんごめんなさい
心の中でつぶやきながら僕らは家族でおうちに帰った。