夢色!恋色!花模様 4

2周年までのカウントダウン。

それまでにこのお話は終わらせたい。

しばらく集中してUPしていきますのでお付き合いを~お願いします。

*

「もう食べないのか?」

向かい合って座るダイニングテーブル。

二人で食べるには2割程度の面積があれば十分。

テーブルの8割はその機能を使用してない。

道明寺の言葉に触発されるようにパンを口に放り込みたいところだけど私にしては珍しく食欲がない。

いまだに道明寺に連れて行かれるパーティーは慣れずに疲れだけが全身に押し寄せる。

しばらくは司法試験を盾に拒ばめたのにッ!

ここにきてこんなの問題が発生するなんて予想外だった。

「俺が襲われたら困るだろう」

ようやく私の口元から離れた唇は満足げな笑みを浮かべてる。

誰が襲うか!

襲われたらやっぱり困る?

女性から逃げ惑う道明寺なんてどこに想像できるのッ!

猛獣が襲ってきても返り討ちできそうなのに。

女性だからって手加減しそうなタイプじゃない。

手を出さずにひと睨みの威嚇だけで十分効力はあると思う。

だとすると道明寺にキスできたあの女性はすごい。

「女を武器にせまられたらなぁ」

「えっ?」

ニンマリと鼻先で道明寺が表情を崩した昨日の夜。

パーティー会場から明かりの漏れる中庭。

たたずむ道明寺に近づく女性。

まとわりつくように道明寺の首にほっそりとした腕がからむ。

雑誌の写真から想像した筋書きを頭の中からふるって追い出した。

私がいない間にこんな誘惑が多かったと言いたげな道明寺の口元はふてぶてしく見えてしまう。

わざとキスされた!?

ぐつぐつとやかんの中のお湯が沸騰するように湧き上がる不満。

道明寺の体を押しのけて離れた距離。

それなのに道明寺の腕はゆるりと暖かく私の体を包みこむ。

「妬くなッ」

耳元でなめるように触れる声。

しばらく感じてなかった温もり。

体中でそれをもっと感じたいと言い始めてる。

「妬く様なことしないでよね」

「慣れてないんだから」

「お前の拗ねた顔は好きなんだよな。俺に甘えてるみたいで・・・」

キュッとあふれる愛情がそのまま私を包み込む。

あのまま・・・

いつの間にかベッドの中に居場所を変えてしまってた。

「今日は会社の創立パーティーな」

ご機嫌な顔はデートにでも誘うような軽めの調子で言って軽くキスをする。

「創立って・・・」

道明寺の誕生日のパーティーでも半端じゃない著名人。

ここに爆弾を落とされたら日本は滅ぶって言ってたのも過言じゃないパーティーを想像した。

「もちろんおふくろも来るから」

この付け加えられた一言で私の緊張感はMAXになった。

いくら私でも食欲のなくなる条件が揃い過ぎだって言うのよーーーーーッ。

私の心の動揺には全く気が付ない道明寺を詰れるものなら詰りたい。

「1日かけて磨いてやるから」

別に私はそれを心配してるわけじゃない。

もともとパーティーの時って道明寺のされるがままに着飾ざれるだけなんだから。

私の不安はそこじゃない。

不安をそのまま引きずって道明寺にエスコートされて進む会場。

都内に建つ五つ星ホテルはもちろん道明寺の経営するメープルホテル。

洗礼されたホテルマンの出迎え。

流れるようなそつのない動作がホテルの格の違いを印象付ける。

それだけで気後れしそうなわたしを何気なくエスコートする道明寺はやっぱり慣れている。

ガラス張りの壁に映った銀色に輝くタキシードの道明寺が私の腰に軽く腕を回してる。

道明寺の隣でも見劣りしない淡いピンクのフォーマルドレス。

ローブ・デコルテが着れなくなった状態は昨夜の道明寺のせいだ!

自信たっぷりに道明寺は私を連れだって歩く。

私の動作まで道明寺のおかげで優雅に見えるから不思議だ。

会場の中に入った途端に注がれる視線。

それはまるで結婚式会場に入場する新郎新婦に注がれる集中する視線と合致する。

「司君。おめでとう」

おめでとうって結婚式?

んなわけない!

錯覚しそうになっている自分に苦笑。

まあ・・・来年は結婚するんだし仕方ないよね。

自分に言い訳。

隣の道明寺がなに考えてると言いたげな表情を作ってる。

「仕事の相手だから少し話をしてくる」

その表情を道明寺がわずかに崩す。

優しく目を細めて「おとなしく待ってろ」と耳元で囁いた。

まっ先に道明寺に声をかけてきたのはわたしでも知ってる大会社の社長。

その後からも幾人から道明寺に声をかけるタイミングを狙ってる。

そのまま私は道明寺を静かに見送った。

何の心構えもできないままに一人にされたパーティー会場。

くるりと視線を移しても知ってる人は誰もいない。

心細さを閉じ込めるように目を閉じて大きく息を吐いた。

開いた瞳にすぐに飛び込んできたのは、人を値踏みするような視線。

これには高校の頃から免疫あり!

「あなたが道明寺様の連れなの?」

勝ち誇ったような傲慢な態度はどこでもいるタイプ。

相手にするだけ損だとわかっている。

陰湿な笑いは周りから漏れている。

ここでしっかりと対応しないと道明寺に迷惑がかかる。

ぐっと腹に力をもめてにっこりと笑顔を作った。

「つくしさん」

その声に一瞬にして周りの女性たちの表情から笑顔が消える。

声の方向に振り向かなくても分かる存在感。

一瞬で私の身長も2㎝は伸びた気がする。

優雅に笑みを浮かべる女帝の威力は道明寺に代表の座を譲った今でも健在だ。

「お母様・・・」

「司もしょうがないわね。あなたを一人にして」

息子を責めるように見つめて私に優しく微笑みかける演出。

それでだけで私の株を一気に上げる。

黙り込んでこそこそと逃げる女性がその効果を私に知らせてる。

「もっと自信を持ちなさい」

助けてもらってうれしいと素直に笑えるような気分にはなれない緊張感

「すいません」

頭を下げるしかないような気分。

「牧野をあんまり苛めんなよ」

「苛めてなんていませんよ。今はあなたより信頼してるわ」

道明寺が冗談みたいに軽く口を叩く。

親子の関係の修復度はずいぶん良好。

こんな関係が築けてることは素直に喜んでいる。

ただ私へのお母様の要求度が結婚が近くなるたびに上がってるのを除けばの話だ。

「これで、噂は落ち着くだろう」

会場を見渡しながら道明寺が私に飲み物の入ったグラスを渡してくれた。

カチンとグラスが触れ合って小さく音を立てた。

「そんな簡単に行けばいいけど」

「司はまだ何もやってないだろう」

「牧野、可愛いよ」

この3人がこのパーティー来てないはずはなかった。

「お前らは必要ねぇよ」

道明寺が不満そうにつぶやいた。

拍手コメント返礼

po***様

ビックリさせてしまいましたね。

ここ数日テンプレートを変えたくていろいろやってたんです。

それで昨日の夕方に変更をしました。

スマートフォンで見られてる方はPC用で見ると表示がおかしくなるみたいです。

使勝手が悪いとまた変わるかも(^_^;)