君じゃなきゃダメなんだ 9

最近シリアスな文章が書きたくて・・・。

でも連載中のものは明るくて笑いに走る傾向が強い。

年末だから明るく派手に笑って~と思いつつ脳の半分はまじめな文章が浮かんでいます。

どこに使おう(^_^;)

あきらと葵を破局にしたら・・・

無理だよなぁ

*

案内されたダイニングルーム。

広さは一般の家がすっぽり収まりそうだ。

6人が座るには大き過ぎるテーブルの長さに椅子の数。

晩餐会の様相で並ぶ食器。

マナーは躾けられてるけど没落して十数年。

その時間の経過分と同じ空白がある。

「初めまして、お噂はかねがね聞いてますよ」

上座の椅子から立ち上がる男性。

紹介されなくても分かるこの屋敷の長。

目の前の男性の穏和な物腰。

短く整えられた短めの髪。

柔らかそうな前髪は眉をかすめるように斜めに分けられる。

顎のラインに沿って整えられた髭。

整った目鼻立ちにロマンスグレー。

それは年齢を感じさせるものじゃなく品の良さと包容力の代え備える大人の魅力。

この人は十分に目の前の紳士の遺伝子をしっかり受け継いでると横に立つ彼を眺めた。

会社の広報誌に載ってる写真と一緒。

はじめてあきらに会った時は自分の社長だって気がつかなかった。

本社の社長の顔なら入社のときからよく知っている。

実物の方が断然魅力がある。

今ならすぐに親子だとわかるんだけど。

「噂って?」

俺は何も言ってないと言いたげな表情を私に見せる。

何も私の事を両親に話してないと聞かせれて寂しい気もするんだけど。

「お前が女性で焦ってるの初めて見たとか、必死で口説いてたとか、べたぼれ?夢中?あとほかに一之瀬が言ってたような・・・」

「もういい」

あきらの少し拗ねた口元に照れくささが浮かぶ。

軽く父親にあしらわれてる。

はじめて見る意外な一面。

気を使う性格は自分に気を使われることを嫌がってて、感情をそのままに見せることは苦手な人。

感情のままに見せる素直な表情。

相手は限られているんだと思う。

「今度の件は乗り気だったのは私の方が先だからな」

「感謝してますよ」

優しげに私を見つめる二人の瞳はそっくりで・・・

見られてる私はいつもの二倍以上のトキメキを感じてる。

「私には内緒で話を進めてるんだから」

「娘が増えるのはうれしいからいいけどね」

甘えた仕草でお父様に向けるお母様の視線。

綿菓子並みの甘ったるさ。

「すまない、君をのけ者にするつもりは全然なかったんだけど」

口元でふんわりととろける様な笑みをお父様は浮かべてる。

「あきら君のお嫁さんには夢があるんだけど聞いてくれる?」

聞くなって耳元であきらがつぶやく。

嫌ですなんて初対面で言えるほどの図太い神経は持ってない。

それにまだ内容聞いてないし・・・。

「私で出来ることなら」

謙虚に一般的な受け答え。

「結婚式は白いお馬さんに引かれた馬車に乗ってとかやってくれない?」

お母様のご希望は一般的な観点からはずれてるような気が・・・

童話の世界の情景はお母様の口から次々と飛び出してくる。

結婚式はシンデレラ城ってッ!!!

ついていけなくて何も言えなくなった。

「俺はヤダ」

「やりたいんなら絵夢、芽夢のときやればいいだろう」

「私たちもヤダ」

速攻で聞こえるそっくりの声。

「絵夢、芽夢もダメっていうんだもん」

「ママの夢かなえてくれるのあきら君しかいないでしょ」

「結婚式のことはまだ先でいいだろう」

お父様の咳払いでお母様の夢の話はひとまず収拾。

ホッと胸をなでおろしてついたため息はわたしよりあきらの方が大きそうだ。

「仮装だけはやらない」聞えた声に「わたしも」と呟く。

明るい雰囲気のままにテーブルにつく。

中央にお母様とお父様で右に座った私たちの二人の前には双子の姉妹。

初めての対面から痛いほど注がれる視線。

この視線が一番緊張する。

ファザコンで困る」とは聞いていた。

けど・・・

「おにいちゃま」って呼ばれた時の目じりの下げ方はそれ以上に『シスコン』に感じる。

私のお兄ちゃんが彼女連れて来たら両手を上げて喜ぶぞ。

そんな雰囲気は見当たらない。

評価してるって値踏みの視線。

目の前の一人が「どこがいいの?」と呟つぶやいた。

言い方には棘がある。

「絵夢、全部に決まってる」

のろけてるような感情を乗せたあきらの声。

私は目の前の料理の乗った皿から視線が上げられくなった。

「おにいちゃまじゃないわよ、葵さんに聞いてるの」

もう片方の妹が不機嫌そうにフォークとナイフを持ったままテーブルをドンと叩いた。

「えっ?私?」

「カッコいいとか優しいとかお金持ちとか当たり前のことは聞きたくないから」

「おにいちゃまみたいに全部って言うのもなしでお願いします」

お願いって・・・

お願いしている態度じゃない思春期の女の子二人。

言いやすい言葉を全部遮断された。

優しさとカッコ良さだけに引かれたわけじゃないけど私の心をとろけさせる要因には違いなくて・・・

誰にでも見せる優しさと女性を魅了する整った容姿は時として欠点。

全部って言えば全部なわけで・・・

年下に見えない包容力が崩れて見えた甘えが可愛くて・・・

中学生相手に言えないよ~~~~~。

ここで私が何を言ってもあきら以上ののろけになってしまいそうだ。

「絵夢、芽夢それくらいにしとけ」

「俺が気に入ってるんだからいいだろう」

「だって~ねぇ」

「だって、なんだッ」

「今までのおにいちゃまのタイプとは違うから」

カチャとなる陶器の音。

私のすぐ横の皿の上にあきらの右手からナイフが落ちた。

ぎょっとなって落ち着かない視線が私の顔色をうかがう。

気にならないなんて言ったらうそになるけど武勇伝はどこからともなく聞こえてる。

今さら責める気持ちはない。

「焦ってるおにいちゃま初めて見た」

双子が同じような声でクスッと笑みを浮かべた。

拍手コメント返礼

み*様

二人がうまくいかなくなる話もありはありなんですが、そうすると私は年が越せなくなる可能性が・・・(^_^;)

ハッピーエンドも良いけれど胸が張り裂けそうな想いを持つドラマチックな恋。

私に書けるだろうか・・・。

あっ!あきらに恨まれたくはないのでこのお話はこのままでいかせてもらいます。

ゆげ様

やっとここまでたどり着いていただけたのですね。

登頂おめでとうございます。

双子との対決はまだまだ始まったばかり。

どうなるんでしょうね。

実はたいして考えていません。

家族との対面はさら~と流すつもりだったのに皆様の期待感はなんでこんなお膨らんでいるのだろうと不思議な気がしてます。(^_^;)

han****様

私も最近忙しくて、思うように更新できていません。

ゆっくりと足を運んで楽しんで行ってださいね。

ほかのお話もなかなか終わりが見えてこなく困り気味です。

mo**様

ありがとうございます。

大した展開のないお話が続きますがお楽しみいただけると嬉しいです。