ソラノカナタ 16

前作も終らないままにUPしたこのお話も16話目になりました。

みなさんの注目度が高いとわかるこのお話。

没頭して書きたい気持ちとほかの作品を早く終わらせたいって気持ちと半々です。

さて、司の浮気現場(してないって・・・)を目撃したつくしちゃんはいずこに~。

今回はSPさんの評判ガタ落ち~で、哀れです。

挽回することできるのだろうか?

*

行くあてもないままに、ただ道明寺から離れたかった。

身体の平衡感覚を保つのが精いっぱいのまま飛び乗ったエレベーター。

ホテルの中央に設置されてるガラス張りの透明なカプセル型の空間。

下に小さく見えた人影は徐々に拡大されて近づく。

流れるように映るライトの反射する明かり。

ガラスに映る私は泣きそうだった。

目に映る光景はそのまま瞳をすりぬけていく。

映し出す形を脳は処理することを忘れてる。

ホテルの外に出る勇気はなくて、目の前のソファーに座り込んだ。

財布もパスポートもなくてただ持ってるのは携帯だけ。

着信を示すライトが青く点滅して知らせてる。

道明寺・・・

今、声を聞いたら責める言葉しか出てこないよ。

何があったんだろう・・・。

シャツを羽織ったままで肌蹴た胸のままの道明寺。

その後ろには私を値踏みするような視線のバスローブを素肌に羽織っただけの若い女性。

女性が道明寺を誘い込んで抵抗した道明寺がそのまま逃げ出してきた。

ウッ・・・

一番ありえないパターンだ。

情事のあとの別れ?

私に挑戦的な態度を見せて、私に連絡を取った女性に慌てて、道明寺が着替えもそこそこに飛び出してきた。

これが一番しっくりくる。

浮気決定!的な結論。

でもあの道明寺だよ。

私以外に女性に優しい道明寺を見た記憶がない。

男性でもF3以外は人を寄せ付けない雰囲気の道明寺。

女性にもてないわけじゃないのに、「俺に近づくな」的なオーラをまとってる。

信じたいのか、信じてるのか・・・。

力強い腕で・・・

ほっそりとした長い指先が・・・

あの唇が・・・

抱きしめて、肌に触れて、キスを落とす。

私以外の女性に触れたなんて思っただけで心が崩れそうだ。

ヤダッ・・・。道明寺。

あんなに近くにいたはずなのに・・・

距離よりも心が遠い。

自分の目で見た場面はどこまでも鮮明に追いかけてくる。

無意識に道明寺の頬を打った手のひら。

今頃に待ってジンジンと痛みを感じてる。

それは自分の心の痛みの様に体中に伝わってきた。

道明寺に会いたいのに会いたくないと思う矛盾。

今、目の前に道明寺が現れて「誤解だ」って言って抱きしめてくれたら、私は素直に身をゆだれられるのだろうか?

自分でもワカラナイ。

「つ・・」

「・・し」

遠くで自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。

夢の中で呼ばれてる気分。

現実だと気がつくのにどれだけ時間がかかったのだろう。

「ジェームズさん?」

ゆるゆると開いた目の中に飛び込んできたのは王子の補佐官でいとこ。

この人たちの会うのが今回の道明寺の目的で、無理やり私は連れてこられた。

なんだか私との接点の方が道明寺より多くないか?

この人達にかかわるとよくない傾向にある気がした。

大丈夫?みたいにホッとするような笑みを向けられる。

ドクンと驚いたのは美形の顔じゃなく突然予測もなしに現れたVIP。

「どうかした?何度も名前を呼んだんだけど。心ここに非ずって感じだね」

「殿下が、つくしがいることに気がついね」

ロビー前にはいかにも重要人物と宣伝してるように護衛に囲まれて立っている王子。

軽く手を上げて手を振られた。

「私のことは気にしないで下さい」

「気にしないでって言われても落ち込んで死にそうな表情に見えたけど?」

「大丈夫です!」

無理やり体に言い聞かせて立ち上がる。

頬の筋肉を緩めるように脳に指令を送った。

「無理に笑わなくてもいいよ」

ジェームズさんの何気ない言葉が胸の中に溶け込んでくる。

こんな時に優しくしてくれるのは花沢類だけだったのに。

きっとこんな時に花沢類がいたら「バカだな」って慰めてくれるよね。

ジェームズさんが花沢類に見えてくるなんて重症だ。

弱気になったらだめだ。

だからって、どうすればいいのかわかんない。

「時間があるなら僕らに付き合わない?」

慣れた手つきでジェームズさんに腕を取られる。

「殿下も喜ぶよ」

それはどんな意味に取ればいいのだろ。

ロビーの前の王子は澄ました表情のまま私とジェームズさんのやり取りを見てるみたいだ。

喜んでるのだろうか?

「こちらでしたか」

肩越しに突然に声をかけてきたのは今回初めて見る顔。

この人は道明寺についていたはずだ。

もしかして・・・。

「ねぇ、もしかして昨日、相葉さんが私を部屋から出さないようにしたのは、道明寺があの部屋に入ったのを知ってたから?」

新人SP君は言葉に詰まったように唇が動かない。

悩んでるそぶりは明らかにみんなが道明寺の行動を把握していたと私に示してる。

どれだけあの部屋に道明寺はいたのだろう。

それも女性と。

私が眠れずに自分が悪かったなんて悩んでいた同じ時間。

あいつは何やってた?

SPに簡単に連れ戻されたりしない。

「行きましょ」

そのままSPから顔をそむけて王子の待つロビーまで歩いて行った。

拍手コメント返礼

じゅ*様

ここで現れないと王子の存在が無くなりますよね。予測できる展開じゃないですか?(笑)

司何やってるんだってかんじですよね。

なおピン様

確かに今日は無理かもって思うことあるんです。

でも楽しいんですよね。

更新するのも、頂けるコメントを読むのもお返事するのも♪

楽しくなきゃ続きませんよ

冷静に考えなきゃ浮気なんてありえないですよね。

でも目撃した場面が場面だけに~。

最初はベットの中の司とか考えてたんですけど刺激が強いかと少し訂正をしました(^_^;)

オリキャラも楽しんでいただけてうれしいです。

すべてが私にとっては愛しい存在です。

あ**様

更新を楽しみにしていただけてうれしいです。

Gods&Death様

この後の展開じつは迷ってるんです。

どこで迷ったかは更新した後に説明しますが、今は秘密で~

マル投げされるのも久しぶりだ~♪

miyuki様

初めまして、PW申請ありがとうございます。

書いてる私もそれほど若くはないです(^_^;)

S40年代生まれですし。

よくこんなの書けるよねなんて娘には言われちゃってます。

それでも好きなんだもん♪

メールしましたが届いてるでしょうか?

b-moka

こんにちは、司とバスローブ女性の姿が頭に焼きついている状態で冷静になれるわけないですよね。

つくしちゃん慣れてないだろうし・・・。

最後は大丈夫です!

JULIA様

司命なんですね。

それはきっと今までのお話以上に気になりますよね。

頑張って更新します。

ゆげ様

>王子&ジェームズさん、キター!!♪───O(≧∇≦)O────♪

その叫びが好きだなぁ~。

思わずグフッってなっちゃいました。

王子はどうつくしちゃん接するのでしょうかねぇ。

それでお話も変わってくる~。