ソラノカナタ 27

今週もバタバタと過ぎた気がします。

最近週末は忙しくてなかなか時間が作れずPCに向かう時間が限られて、このお話も明日の予約UPにしようかどうか迷いつつ更新してしまいました。

土日は更新できるかどうか微妙・・・。

*

「離れないって!ここに居座るつもり!」

「俺以外の男をお前と一緒に泊まらせるのを黙って許すって本気で思ってるのか!」

道明寺の頭から火山が噴火してるのが見えた。

泊まるとっても家族と一緒の訳で・・・

NYで目撃した道明寺とみたいに知らない女性と2人でいるわけじゃない。

道明寺の許可なんて必要ないって思う。

「人をほったらかしといて、今更彼氏面するなつーの」

「ほっといてねぇだろう!それに、俺はお前の彼氏だろうッ」

「大体お前が俺を拒んだのが問題なんだろうがぁ」

「拒んだって・・・」

言葉が出てこない。

だからって部屋を出て行って私を置いてきぼりにして眠れなかった一夜。

道明寺が綺麗な女性と一緒にいたのは事実じゃないか!

ほかの女性で欲望を紛らわしたって話はよく聞く理窟。

大丈夫だって思っても受けた衝撃のダメージは内臓まで切り刻んでくれた。

「何もしてないって言ってるだろうが」

「狭いエコノミーで我慢して・・・」

「窮屈な思い、お前のためじゃなかったらやらねえぞ」

「大体、会ってすぐの男の恋人役ってありえねぇだろうがぁ」

私が王子といたのが気にくわない、傷付いたって自分が被害者みたい。

それに横暴さが相変わらずコーテングされてる。

何でも私のせいにするのは道明寺の悪い癖だ。

ブツブツとで言いたいことを一人でしゃべって最後に大きく道明寺が息を吐いた。

「道明寺さんはモテるから浮気の覚悟の一つや二つ必要かもね」

ママが考え込む様に呟いて「パパならそんな心配ないけど」ってため息交じりにつぶやいた。

「大体、おねぇちゃんと結婚するって言った道明寺さんはある意味尊敬できると僕は思う」

だから浮気されてもってしょうがないって・・・。

進!血のつながった弟が納得してどうするッ。

「つくし、結婚前で良かった。浮気性な男は苦労するぞ」

パパだけ真面目に私の事を思ってくれてる。

それは西門さんと美作さんを見てれば分かる。

本音の根っこの部分では道明寺が浮気するはずないって信じてる。

ただ、あの女性が道明寺のそばにいたってことは事実で・・・。

気分が落ち込んで傷ついた事実は隠せない。

そしてこの傷を埋めてくれるのは道明寺しかいないってことがわかってるから腹が立つんだ。

「浮気じゃありません!」

冷や汗をうかべて私の家族に言い切る道明寺。

焦って必死な表情で切実な声。

こんなに切羽詰まった道明寺なんて見たことない気がした。

それだけでもう道明寺を許そうとしてる自分がいる。

でもまだ教えないんだからッ。

「そういうことなら、父さんたちは家を出た方がいいかな?」

「出るって、どこ行くの!」

俺様、我儘、凶暴、一触即発の二人を、わたしだけに押し付けられたらたまらない。

「たまにはホテルとか泊まってもいいかもね」

ママの声にパパも進も嬉しそうに相槌をうつ。

「そんなお金もったいないでしょうッ」

「断ったんだけどけね、謝礼はしっかり貰ってるから大丈夫よ」

しっかり我が家は礼金につられてるらしい。

断ったって言うのも絶対建前だ。

なにかないか?

このままじゃだめだ。

私は一日も精神がもちそうもない。

きっと疲れ果ててしまう。

ここはまず道明寺と王子を離すことが鉄則。

王子を追い出すことは無理。

道明寺が素直に出ていくとも思えない。

ぐるぐると頭の中で考えが飛び交ってる。

そして道明寺をまずどうにかしなくっちゃって考えが固まった。

「道明寺がここにいた目立つでしょ?」

半端なく有名で端麗で容姿も光って人の視線を集める道明寺。

我が家の周辺で道明寺が出没するって目撃情報は多々あって・・・。

クマが逃げたって騒然とするよりさわがしくなるんだから。

それでなくても近所では私と付き合ってる噂が広がってるんだからねッ。

日本では認知度もあまりないアル王子の方が目立たない。

外国の知り合いがいてもそれほど不思議じゃない。

道明寺がいるって方が絶対噂になるつーの。

「俺に出て行けって言ってるのか!」

雷が空から降ってきた。

地獄まで響き渡るって、きっとこんな声だ。

閻魔さまも震えあがる。

道明寺に御引き取り願うって、私には無理ッ。

「失礼します」

玄関から聞えた声。

「ドアが開いたままになっていました」

音も立てずに静かに姿を現した西田さん。

「チッ」

舌打する道明寺。

「私を出し抜いても行先はばれてますから」

スマした西田さんの声が道明寺の舌打に返信した答えとみた。

「せっかく、予定を切り上げて帰っていらしたのですから本社に顔を出してもらいたかったですね」

「俺の目下の仕事は王子との提携だろうが」

「分かってらっしゃる」

道明寺を少し持ち上げる様な響きを混ぜた声。

「それはつくし様に任せれば大丈夫ですから」

西田さんが余裕の笑みを眼鏡の奥の瞳が浮かべた気がした。

「だからって、王子を牧野の家に連れてくるって、何をもくろんでる」

絶対陰でこそこそしてるだろうって疑いの目を西田さんに道明寺が向けてる。

土俵際まで追い込まれた道明寺が必至で西田さんのまわしを持って最後の攻防か。

なにかをもくろんだ西田さんに勝った道明寺を見た記憶はない。

光が差してきたって期待感が芽生えてる。

「道明寺と王子が今回の件で接触を持っていることは知られてます」

「屋敷にかくまうより一般家庭に姿を隠す方が王子の身を守ることになると結論はついています」

「どこの家庭でもいいという訳にはいかないことは代表も分かりますよね」

「目立つ代表がここでうろうろされるのは非常に問題がある」

言い返せる言葉がないみたいに道明寺が黙り込む。

私の横で道明寺が大きく息を吐いたのが見えた。

拍手コメント返礼

M**様

夜勤明けお疲れ様です。

西田さんどこまで仕事をさせる気でしょう(^_^;)

なおピン様

クマと比べてるって司が知ったら・・・(笑)

トラブルを回避するのに欠かせないキャラに西田さんが欠かせなくなってます。

じゅ*様

司に同情が集まっています(^_^;)

ここで離すかーーーーっ。

でも決して意地悪じゃないですから~。

ひつじ様

原作では西田さん楓さんに忠実で逆らわない忠犬タイプでしたよね。

西田さんは完璧に日本版のデビさんになっちゃってます。

ひつじ様もデビ西田さん好きなんですね。

うれしいなぁ。

ゆげ様

>しっかり我が家は礼金につられてるらしい。礼金につられる牧野家が好きです。

牧野家の原作のイメージはまさにこれで!

そうですジェームズさんも絡んでいない!

鋭い♪

司もこのまま引き下がるなんて無理ですものね♪