秘書西田の坊ちゃん観察日記 39(不機嫌なFACE 番外編)

今回の西田さんは司じゃなく楓さん観察日記というところでしょうか?

不機嫌なFACE 7 の番外編となります。

*

「今度もたいしたことじゃないのでしょ?」

司ぼっちゃんとつくし様のじゃれあいには慣れてるような軽さで楓様が呟く。

「今回は珍しくつくし様が代表に嫉妬されたようです」

「そう・・・」

興味なさげに見える表情も舞様の無邪気な笑みにすぐに綻ぶ。

相変わらずと苦笑気味に変わった表情は「困ったパパとママでちゅね」と舞様に向けられた。

幼児言葉が楓様にも似合うとは思いませんでした。

微笑ましさに浸れる瞬間に癒されます。

数年前は誰が想像したでしょう。

厳しすぎた環境はすべて帝王学を坊ちゃんに教えるためとはいえ、殺伐とした冷え切った親子関係は未来を不安視する材料にも思えておりました。

代表の執務室から個室を数室挟んだ先の会長室に向かう廊下。

数メートル先で重役室の部屋のドアノブを握ったまま呆然と立ち止まってるのは重役の一人。

すれ違いざまに軽い会釈の重役に、会長は舞様に向けたままの柔らかい微笑みを向ける。

重役の驚きの表情はそのまま私の背中にまで注がれた。

首をかしげて何やら考え込んでる素振りの重役を残して会長の後を追い会長室に入った。

会長に抱かれたままの舞様がぐずる様子を見せる。

「オムツかしら?」

「お腹がすいてるのかもしれませんよ」

「西田、どうして私よりお前が分かるの?」

不満げな強気な表情でソファーの上に仰向けに舞様を寝かせる会長。

「赤ん坊がぐずる原因はどちらかでしょうから」

主が赤と言ったら黒の答えを用意するのも一つの手段。

さっきミルクは飲ませたとつくし様がおっしゃっていたので正解は会長のお答えだと分かっています。

服を脱がせてオムツを確かめる会長。

「ほら、私の言った通りじゃない」

「流石です」

オムツかミルクかの二者択一が当たって喜ぶ姿は普段の会長からは想像もつきません。

おむつを代えてご機嫌が戻った舞様を高く腕を上げてあやす会長。

翼様は私の背中で熟睡中。

「西田の背中で眠れるこの子は将来有望かもしれませんね」

私の背中を覗き込んだ会長が指先で優しく翼様の頬に触れる。

赤ん坊が眠るのもただの生理現象だと思うのですが・・・。

私の背中にも人の温もりはあるものです。

無表情で冷たく感じるのは顔だけですから。

見えない背中は問題がないかと思います。

私を見て泣かないお子様は限られてますが・・・。

これまで駿坊ちゃんに舞様に翼様の3人だけです。

自分の子供は中々私に慣れなくて、父親だと納得するまで3年はかかりましたよ。

確かに3人とも大物の感じはします。

道明寺の家に生まれて平凡で過ごせるとは思えませんけどね。

「会長もお時間がないのでは?」

某代議士との面会の予定が入っていたと記憶している。

「待たせてもいいのよ」

司様と親子だと思わせる反応に苦笑する。

そして調整に躍起となる秘書。

司様より会長の方が楽だということは私が一番知っています。

楓様のスケジュールを変更するのはお孫様が絡むときだけ、それも年に数回。

司様はそれに加えてつくし様が絡む。

どちらが大変かを言い出せば愚痴になりそうです。

「仲直りできたかしら?」

「30分と代表には伝えてありますので」

「あと1時間ぐらいいんじゃない?」

代表をいまさら甘やかさないでいただきたいものです。

面と向かって会長に言えるはずがありません。

1時間が2時間ですまなくなったらどうするんですか!

今までの経験上30分が適度なんです。

これで代表の仕事の能率は120%までは上がるんですから。

「様子を見てきます」

背中から翼坊ちゃんをソファーに寝かせつけて、お願いしますと会長に頭を下げる。

「今日の仕事はキャンセルさせようかしら?」

ぼそっとつぶやく声。

調整しなさいの暗黙の指示。

分かりましたと心の中で吐く溜息。

会長付きの秘書の慌てる姿が浮かんできた。

やっぱり・・・

親子だ。

良くも悪くもお二人の性格は変わったものだ。

それを喜んでいる私も案外と性格が変わったのかもしれない。

今のお二人が私は好きです。

拍手コメント返礼

Mio様

朝一の拍手コメントありがとうございます♪

西田さん楓さんの秘書から司の秘書になったこと後悔してなきゃいいんですけどね。(笑)

なおピン様

ただいま帰宅しました。

今日はこちらは30度を超しました。

熱いッ。

日光アレルギーのある私はあっという間に上肢に湿疹とかゆみが噴き出て、嫌な季節になりました。

そうか、連休もお休みじゃないんですね。

御疲れ様です。

帰って家が散らかってると疲れが倍増ですよね。

分かるなぁ~。

> いやぁ~、楓さんのこんな姿!ありえないっ~~の!!って感じですが、意外と うん!うん!って 納得して微笑ましくて!!あの楓さんがねぇ~!西田さんと楓さんのこんな光景を、社員のだれが想像したでしょう。

誰も想像はしてないでしょうね。

見たくないって思って足りして・・・特に西田さんのおんぶ紐。(笑)

さらなる発展を道明寺財閥はすることでしょうね。

これもつくしのおかげさ♪

「俺がつくしを選んだからだ」

「わたくしがつくしさんを認めたからでしょ」

なんて言い合いしてないかなぁ~。

ゆげ 様

>お母さまと西田さんの会話が楽しいぃぃぃ~♪♪♪おばあちゃまの一面を読んでいると、加賀さんが出てきて映像化しちゃいました(笑)。

VS嵐に出ていた加賀さんを思い出していました。

かわゆかったんですよね。

>道明寺親子を操る西田さんの技術は、匠の技です(笑)。

鍛え上げたのは楓の厳しさと司の破天荒さだったりして・・・。

>楓さんから司へ、司から駿くん、翼くん、舞ちゃんへって、子どもたちのDNAにも書かれているんだろうな~。子どもたちが垣間見せる司の遺伝子って、それぞれどんなところで出てくるんだろう~

リクエストをいただいた気が・・・(^_^;)

ひつじ様

時々は楓さんも登場させたいですね。

意外性で♪

本を読みですとはまってしまうので本当に時間があるときに読みたいんすよね。

狙ってるのは子どもの宿泊学習の時です。

びー***様

どんなに激しくても孫には優しく♪

司の分も甘々になって欲しい気がします。

うちの親もあまあまですものね。比べられないですけどね。(笑)