ソラノカナタ 43

明日はいよいよ金環日食ですね。

子どもの学校は1時間遅れて登校になるんです。

家で観察して登校するということらしいです。

でも明日は雨の予報。

私は見るつもりもなかったんですけどグラスを娘に買わされました。

グラスって蛍光灯が見えるとだめらしいです。

はじめて知りました。

家で電灯を眺めても真っ暗で何も見えません。

太陽に向けるとクッキリ見えるんですね。

私が子どもの頃は黒い下敷きで眺めた記憶が・・・。

FIGHT!! 番外編 (もしものお話)は楽しんでいただけたでしょうか?

続きをというご意見も頂きました。1話完結のつもりだったのですが(^_^;)

あんまりつづけるとおかしなことになりそうで。

*

扉が開いた途端一斉に光るフラッシュ。

まぶしさから逃げるように顔を背けた。

そしてシャッターの音が獲物と違うという様にパラパラと不調和になって消える。

一瞬の静けさ。

えっ!

おっ!

慣れない高めのヒールに足を取られて倒れそうになった身体にさし延ばされた腕。

その感触を私は知っている。

安心感はすぐに体中を駆け巡っている。

朝までその腕の中にいて温もりの包まれていた感触。

数時間で忘れるものじゃない。

しがみついてしまったスーツの襟元。

「ごめん」

言葉の中に照れくささが籠る。

「抱きつくにはまだ早い」

耳もとに触れるように動いた道明寺の横顔。

鼻筋がそっと頬に触れた。

あっ・・・。

閉じかけて開いた瞳の前に道明寺が優しげに私を見つめる。

止まったはずのシャッター音が無作法に響いてきた。

そのまま腰に回された腕。

突き放せないほどに身体の自由が奪われている。

歩くのも歩幅が開かずままならい。

「ちょっ・・・と」

非難気味に上にあげた視線。

「失礼します」

つかつかと私たちの前に姿を現した西田さんがカメラの視点を遮ってくれた。

「迷惑をおかけしました」

30度のお辞儀の後の西田さんに私は腕を取られた。

「君からも代表にお礼を言いなさい」

部下に指示を出す口調。

いつもの私に接する西田さんより冷たく感じる。

「迷惑を掛けました」

ガバッと頭を膝につくように下げた頭を起こした視線の先で道明寺だけが不服そうな表情を見せる。

「無駄なことするなッ」

冷ややかな表情のまま掴まれた腕。

腕をつかんだ手のひらは熱くて強い。

ギシリと手首に走る痛み。

普段なら睨みつける場面も秘書だという設定を自覚している私は抗うことを我慢している。

そしてこの状況は、どう見ても西田さんと道明寺が私で綱引きの状況。

私はどう動く?

道明寺のそばに寄ったらカメラのフラッシュが目に悪そうだし・・・

西田さんに逃げたらその後の道明寺の行動が怖い。

無理やり抱きつかれでもしたらそれこそ写真の餌食だ。

どっちに動いてもアル王子の恋人の話題は道明寺の恋人の話題に置き換えられるだけだ。

そしてそのどっちでも騒がれるのはわたしに間違いがない。

「いい度胸だな」

「誰に断ってこいつに触れている」

ジロリと西田さんを向けられた凄み。

「直に触れてはいません、袖を握ってだけです」

真正面から受けてわずかな爪痕のダメージも受けてない超合金過ぎる西田さん。

それにしても西田さんの返答にしては低次元な気がする。

道明寺に合わせる必要ないでしょうッ。

2人の声が聞き取れているのはわたしだけで・・・。

SP数人は壁を作る。

なかなか訓練されている?

「代表と争うつもりはありません」

西田さんおの力の抜けた指先から抜け落ちた私の手。

満足そうに道明寺の頬が緩んだのが見えた。

「こい」

えっ!

あっ!

だからヒールが慣れてないんだって。

つんのめりそうな歩きで無理やり歩かされている。

上半身が先行してそれに腰がついて、後から左右に差し歩く足。

すらっとした足取りの道明寺の後じゃどう見てもギャグ。

「おぉーーーーっ」

結局道明寺に腕を取られて玄関の前に乗りづけされている車の中に放り込まれた。

道明寺が私の後に乗り込んでパタンとドアが閉められる後部席。

「何を考えているのよっ!」

スモークで中が見えない車の中で遠慮なく道明寺を責める声を上げた。

「どっちにしても俺の結婚のことは近いうちに発表するつもりだから心配するな」

発表?

心配?そんな心配してないつーの。

来年は結婚するんだし、騒がれることはある程度は覚悟してる。

「今騒がれてどうするの!!」

「どうもしねぇ」

「どどどど・・・うもってッ」

「私はまだ静かに大学生活を送りたいの!」

「静かに送っているじぇねぇか」

大学での私の道明寺の婚約者の地位は確立している。

それでも「あのこが?」とか「なんで?」とか「道明寺様の気の迷い」とか妬まれているんだからッ!

私の希望する穏やかな学生生活とはほど遠い。

目の前の傲慢な顔は私の悩みなんて全く関知してくれてない。

「あそこでつんのめってこけた写真が一面を飾るよりましだぞ」

うっ・・・

たしかに・・・

それはそうだけど・・・。

週刊誌に載るとは思えない。

道明寺の婚約者だとばれたらわからないけど。

秘書が転んだくらいじゃ大した話題にならないでしょっ。

動画に取られたらハプニングビデオくらいの価値か?

それも再生回数は低いと思う。

この数か月後・・・

私はチョ― 恥ずかしい写真で婚約者だと世間に紹介されることになるとはこの時は知りようがなかった。

拍手コメント返礼

ゆげ様

今日は曇りでした。

娘の学校が1時間遅れの登校になったので、見せなきゃって気にもなります。

ビーチまで車を走らせて、結構な人が集まっていました。

テレビ局も中継に来ていていましたが結局分厚い雲に覆われて、少し暗くなっただけを目で見た金環日食

でもね、テレビには親子で映ってたらしく、私の母親から速攻で電話がかかってきました。

金環日食の思い出はこれか!

代表と西田さんのやり取りを聞いていた一平君と相葉君のつぶやきですね。

それはしっかり準備中♪

おーーーーーーっ!!

はぴまり8巻まで♪

9巻10巻の話の流れは必見ですよ。

9巻の最終話からの変化にはドキドキですから~。

外で読んでたら周りを気にするのわかります(笑)

ドラマ化小栗君に向井クンわたしもうかびました。