SP物語 15(ソラノカナタ スピンオフ物語 )

金環日食はいかかでしたでしょうか?

残念ながら私の住んでる地域は曇りで・・・

少し暗くなったことでしか金環日食を体験できませんでした。

折角海岸まで車を走らせたのに

泣き言はいいません!

一平君と相葉君に比べれば!

このお話はソラノカナタ26以降からお話になります。

*

築10年以上の一般的な集合住宅。

宅間取りは2LDK?とか3DLか?

簡単に想像がつく建物に代表が消えてから30分は経過。

騒ぎもなく日常の生活音のみが響く。

あの中の一室に某国王子と道明寺ホールディングス代表 道明寺司がいると誰が思うだろう。

「お疲れ、交代だ」

働きずめの俺たちに用意された交代SP

「一平、終わりだ」

「えっ?」

じっと代表が消えた入り口を見つめたままの一平はあきらめきれないような表情を見せる。

俺もその気持ちは分かる。

部屋の中の代表がどうなってるか気になるよな。

でも彼女の家族とアル王子もいることだ。

展開が急激に進むとは思えない。

結果は明日になればわかる!

この緊張は大学の合格発表以来。

合否の発表を待つ心境に似てる。

この年でもう一度経験するとは思はなかった。

代表が不機嫌か甘ったるい顔になってるかどちらかでわかる。

「今回は楽勝だったろう?」

何を聞き出したいのか一平をからかうように声をかけたのは今年32歳の独身大野さん。

俺より少し先輩だ。

この仕事だとなかなか女性と知り合えないと、彼女のいない理由を熱く語る。

それだけが理由じゃないということはなかなか言えない関係だ。

「どこが楽勝ですか!認識を変える必要がありますよ」

「何かあったのか?」

呑気な大野さんの顔が少し険しく動く。

「彼女が怒ってそれを追いかけた代表が、今あそこにいる状態です」

彼女の住んでるアパートを指さして苦笑ぎみに大まかな説明。

ここまで大まかに説明しても代表の機嫌の悪さは伝わったはずだ。

俺たちより風当たりは少ないはずです。

浮気した状況に出くわすと想像してるSPはいないはずですからね。

この先これ以上の悪状況への遭遇はないと断言できます。

「おとなしく、離れて警戒しておくよ」

あまり気にしてないお返事・・・。

俺たちSPの中じゃ一番代表の不機嫌の影響をウケないというか感知しない大物?

ただ鈍感なだけのような気もするとの評価も俺たちの間ではある。

「それじゃお願いします」

そのまま大野さんの乗ってきた車に乗り込んで事務所に向かった。

「報告書、どう書きます?」

運転席の一平がちらりと助手席の俺に視線を移す。

「適当でいいんじゃん。俺たちが活躍することがあったわけじゃないしな」

「パパラッチを抑え込んだ位かな」

「間違っても代表の浮気疑惑なんて文章を残すなよ」

代表のスケジュールに合わせた時間と場所と特記事項を残すだけの報告。

特記事項には時々ターゲット(代表)に殴られて唇を裂傷とか、わき腹に打ち身なんて書き込みがある。

これは年々減少中。

今年度の記載はまだなかったはずだ。

受け身も出来る俺たちSPに傷を残すターゲットは滅多にいない。

その端に俺たちだけにわかる暗号。

代表の機嫌のバロメーターを表す☆マークの評価は5段階。

彼女と居る時は4から5のマークが並ぶ。

今回はつける気がしない。

マイナスを付ける必要を感じる。

「そのくらいの気遣いはありますよ」

「気遣いじゃねぇよ。そんな記録を残してみろ俺たちは殺される」

一平!いまさら大げさだとは思わないよな?

それぐらいの冷酷な代表の冷気は十分すぎるほど今回の任務で受けているはずだ。

「一平、付き合え」

事務所で車を降りた俺たちはそのまま事務所を離れ、行きつけの居酒屋へと場所を変えた。

「先輩、うまくいくでしょうか?」

「行かなきゃ俺たちの明日はない」

そう言いながら俺たちの立場はそう変わるものじゃないと思ってる。

代表から向けられる不条理な怒りは彼女によって守られることがある。

「なに怒ってるのよ!道明寺あんたが悪い!」

代表に言い切れるのは彼女しかいない。

そのあと必ず「ごめんなさい」って、俺たちを心配する表情を浮かべる。

代表も最近は彼女が嫌うのを知ってるから感情のままに接することを制限してる節があるんだ。

疲れてるはずの身体にアルコールのまわりは早い。

「俺、!彼女好きなんです」

思わずビールの入ったコップがずるりと手の中から落ちそうになった。

彼女に興味のある男を感知する代表の電波は半端じゃない。

すぐにアラスカ送りだ。

「代表も好きなんです」

完璧に手の中からビールのコップがテーブルに落ちた。

視線は一平から離せないままにポチャッとテーブルの上に飛び散ったビールを慌てて掌で拭いた。

それって両方OK。

一平って男でも女でもできるのか?

「先輩~ッ」

絡むように一平の腕が俺の肩に回される。

俺はそんな趣味はないから・・・。

どっちにすればいいですか?なんて質問は俺にするなよッ。

ドクンと心臓が音を上げる。

どっちもあきらめろしか言えねェーーーーッ。

「俺にしとけよ」なんて絶対死んでも言わないから期待するなよ。

トロンとなってる瞳が怖い。

こいつ・・酔っぱらってるしッ。

「俺好きなんです!」

2人がだめなら俺か?

だから俺は無理。

「代表と彼女いいですよね」

「あんなに代表がべたぼれになるんだからうまくいってほしいですよ」

「いいカップルだと思うんですけどね」

「先輩も・・・ヒクッ そう思うでしょう」

しゃっくりで時々止まる会話。

それでも一平はグダグダとNYでの代表の顔が甘ったるかったとか優しかったとか、彼女が代表をみて頬を染める

初心な表情がかわいいとか話が止まらない。

そんなこと俺に言わなくても知ってるよ!

代表が彼女の前でしか見せない穏やかな表情に極上の笑み。

俺までいつも赤くなりそうになるんだ。

照れるぞ!

「ああ、そうだな・・・」

しかたなく相槌を打ってやる。

「先輩~~~~~~」

わーッ!

だから俺に抱きつくな!

つーか!

一平!

絡むな!泣くな!

どっちかにしろ。

この酔っ払いッ!

俺は酔いも冷めて一平を自分のアパートまで連れて行く羽目になってしまってた。

拍手コメント返礼

ゆげ様

こんな一大イベントの時に雨って・・・。

そして今日は晴れてますしね。

今日の天気が昨日なら・・・。

>つかつくが大好きと言う一平くんに呆れつつも、その気持ちがわかっちゃう相葉先輩っていうシチュが最高です。

大野君もまじってちょっと2人とは違う雰囲気も出せればッて思ってます♪

そして二人に愛が・・・。

BLじゃなかった(^_^;)