Happy life 11 (南の島の夏休み)

Happy life 8 の カキ氷のお話からはじまった夏休み編。

つかつくファミリーのお話は拍手も多くいただいています。

続きを~のリクもたくさんいただいて、気分を良くして第3弾!

リクエストありがとうございました♪

*

海から部屋に入り込むそよ風にカーテンが揺れる。

ベットにはぐったりとなった小さな三つの身体が寄り添う様に・・・・

寝てたはずだった。

駿は大の字。

舞の頭の横には翼の頭。

チッコイのが占領してもまだまだベットには大人二人は寝れる余裕がある。

ベットから落ちないで小さな体が回転してることがいまだに不思議でならない。

目が覚めるときには360度回転していて枕の上で眼を覚ませるのは特技だよな。

「さすがに疲れてるな」

ベットを上から覗き込んで目を細める司。

その姿を眺めてる私もきっと目を細めてる。

「久しぶりに司に会えて子供達もはしゃぎ過ぎてたしね」

「お前は?」

答えは聞かなくてもわかってるはずなのに憎たらしくなるような余裕で微笑みを浮かべてる。

「どうかな」

喉から漏れた声は照れ笑いを含んでる。

「聞きたい?」

ベットの端に腰を降ろす司の横でベットのマットレスが私の体重分わずかに沈む。

ベットの上で背中を逸らしてそれを支えるようについていた腕は当たり前の様にすぐに私の腰を包み込む。

子供達に占領された厚い胸板はようやく私を抱きしめてくれる。

「突然、強引に連れてこられなければうれしかったんだけどね」

わざと責めるように口をとがらせる。

それでもでもやっぱりすぐに口元は緩んでしまってる。

一緒にいられてうれしくないはずなんてあるわけがない。

久しぶりに肌に感じる司の温もり。

子供達より幸せを感じてるって思う。

「驚かそうと思っていただけだろう」

「あのね、旅行ってのは旅行に行くまでのわくわく感も楽しいものなの」

どこに連れて行かれるのかわからない不安感をオプションで付ける必要はないんだから。

そんなもんかって私に向ける表情。

「俺はお前たちに会えるって思うと楽しめたけどな」

旅行の楽しみと私たちに会える楽しみって感情で言ったら同じだと思うけど・・・

それが結びつかないのが何とも司らしいって思えて笑える。

「舞が花火を見たいって言ってたぞ」

司が舞の前髪を軽くなでながら思い出したようにつぶやいた。

蕩けそうな表情は飽きることなく舞を見つめてる。

私はそんな司を見て蕩けそうになってる。

飛行機に乗り込む予定がなければ花火をやりたいってせがまれていた舞と花火を眺めていたはずの夜。

お店で買った500円の花火セット。

小さな胸から飛び出す花火の入った袋は舞の目の前を完全に覆って、こけそうになりながらも頑固に花火を離さなかった。

この強情さは誰に似たのか・・・。

似なくてもいいところが似るんだから。

飛行機に花火を持ち込むのをあきらめさせるのがどれだけ大変だったか・・・。

「舞だけお留守番だぞ」

「舞と一緒じゃないとお兄ちゃんは寂しい」

駿にがっちり抱きつく舞はしっかりとした信頼を駿によせる。

舞がぐずったら駿!

この関係に救われてる。

「帰ったら一緒に花火をしようね」

泣くのをやめたまま潤んだ瞳はそのまま駿に甘えきってる。

うちの男どもは本当に舞に甘い。

「寝てる顔ってつくしソックリだよな」

愛しそうに眺める父親の顔。

舞の横には起きてても寝てても司そっくりの顔が並んでる。

こっちの方が絶対そっくりだって思える。

「私ってこんな顔で寝てる?」

「ぽかんと口開けてヨダレたらして、似てねェ?」

舞だけじゃなく駿も翼も似たようなものだ。

「自分の寝てる顔が見えるわけないでしょう」

「俺以外に見せたら拗ねるぞ」

返ってくる言葉がつながらない気がする。

「俺の横で寝てるお前を見るといまだに安心するんだよな」

「自分の居場所に帰ってきたって気がするしな」

背伸びをして伸ばした腕。

そのまま子供たちの横にうつぶせに司が身体を投げ出した。

その中にすぐにでも混じりたい感情。

広々とした背中に抱きつく様にしがみつく。

「ウッ」

「いきなり飛び乗るな」

「嫌じゃないでしょう?」

「まあな」

司の背中から伝わる温もりはそのまま胸元を通して全身を包み込む。

「舞って花火を見たことあったか?」

「この前テレビの番組を見ていて、気に入ったみたい」

手元から伸びる細い藁、その先に赤く花を咲かせる線香花火。

一つ一つ手作りの高価な線香花火。

1本1000円の花火ってお札を燃やしてるようなもの。

司に言ったら舞が飽きるほど買ってきそうで怖い。

一晩で数十万とか・・・

考えられないよね。

大量生産の花火でも十分子供たちは楽しめると思う。

「今から準備させる」

「準備させるって花火?」

「当たり前だろう。任せろ」

ベットから起き上がった司は携帯から何やら楽しげな表情で指示を出す。

日本のリゾートホテルでよくある夏休みの小学生以下のお子様向けの花火のセットプレゼント企画。

この南の島リゾートでも企画予定?

家族でテラスで花火って庶民の夏の風物詩はこの高価な落ち着いた雰囲気には合わない気もする。

「ホテルのオープンの時には盛大に花火を打ち上げるつもりでいたからな。ちょうどよかった」

打ち上げ花火・・・

違う!

舞が言ってるのは手で持つ花火だから!

拍手コメント返礼

なおピン様

おはようございます。

毎日暑いと思ったら今日は台風10号が接近中です。

ファミリのお話は究極の2次小説ですよね。

この流れはほとんどドラマの影響♪

いえいえ、こちらこそいつもコメントをいただいて感謝してま~す。

joylove様

司だったら線香花火より打ち上げ花火ですよね。

どうせなら家族全員浴衣姿で花火をやってもらいたい。