はぴまり JOYFUL  5

お待たせしました。

なかなか続きがかけなくて『はぴまり』を楽しみにしてる方には申し訳ないです。

この二人の子供は男の子?女の子?どちらがいいと思いますか?

つかつくと違って千和の方が子供に嫉妬したりして・・・(^_^;)

*

寝返りをうって鼻先に触れたのは北斗の温もり。

自然と置いた手の平に彼のトクンとした心音が触れる。

わずかに髪の毛にかかる規則的な息遣い。

抱きしめられたこの中で微睡んでるのが幸せだって思う。

おどされるようにして借金のカタに北斗と結婚してしまった契約的な結婚。

横柄で!

傲慢で!

威圧的で!

我儘で!

気難しがり屋で!

そして時々優しくなる。

皮肉な笑顔がふんわりとした笑顔に変わって私を見つめて・・・

これ以上望めないくらいのタイミングで私を包み込んでくるからうれしくなる。

契約結婚して、好きになって、私を守るために一度離婚して、もう一度結婚した。

「ずいぶんとお前のこと泣かせたし、振り回したし」

「俺はいい夫じゃなかったと思うけど、おまえと結婚出来て俺は幸せだったよ」

離婚届を書いて抱きあった夜。

たとえ離れても私があなたの唯一のものになるからって心に決めた。

そして今・・・。

唯一のものがもう一つ、私のお腹の中ですくすくと育ってる。

「少し出てきたよな」

お腹の上に触れる手の平。

最初はおどおどと触れてきた北斗も最近はぴったりと手のひらをくっつける。

「もうちょっとしたら胎動が分かるようになるって」

「北斗みたいに我儘で、もっと居心地を良くしろとかお腹の中で暴れられたら困るな」

「おまえに似たら自分の存在を主張するようにキャーキャーうるさくしてるだけかもしれないぞ」

ちょっと優しいと思ったらすぐに意地悪な笑みを浮かべられた。

週末の朝は気が抜けて、起きるのが億劫になる。

これは妊娠のせいだって言いたいけど、隣にいる北斗の胸の中でまだ過ごしていたいって思う我儘な私がいる。

今日はいろいろやりたいことがあるんだ。

自分に言い聞かせてベッドの中から這い出した。

「今日は出かけるから」

「どこに?」

「いろいろ買い物があるの」

少しずつ変わってきた体形にそろそろマタニティー用品をそろえる必要がある。

下着も普段着もそろそろ着てるのはキツイ。

エストに余裕のある服って、妊婦を強調してるみたいで恥ずかいんだけどうれしい気もする。

「俺も付きあう」

「仕事は?」

会社設立のために飛び回ってる北斗は以前にもまして忙しいってことは分ってる。

それなのに妊婦健診(まだ2回だけど)ついてきてくれた。

まだ胎嚢しか見えない段階で「なんだ」って表情になって・・・

二回目の検診でポコポコと動く丸いものが心臓だって説明されて北斗の頬がこれ以上に緩まないってくらいに緩んで・・・

人間の形になった赤ちゃんを見たら飛びあがって喜ぶとこまで行くかもネ。なんて思ってしまう。

そこまで喜びを表現できるタイプじゃないか・・・。

意外に感情を隠そうとしてむっつりとした表情を作りそうだ。

久し振りに連れ立って街に北斗と出る。

「こんな風に二人で歩くの久しぶりだね」

北斗の腕に絡ませる腕。

「転んだら大変だからな」

はしゃいでる私の横で子供のためだからなって横柄さを示す。

「腕を組んだり手をつないだりって好きなんだもん」

「デートもあんまりしてないんだからこのくらいいでしょう」

離れないと意思表示するみたいにガシッと体重を全部預けるように北斗の腕を掴む。

「タクッ」

クッと閉めた唇。

それでも目は優しく笑って私を見つめてる。

私のしたいことを受け入れてくれた北斗に、私は気をよくして首を傾けて北斗の片に頭をもたせ掛けた。

どのお店に入ろうか迷う私をしり目に北斗は勝手にズンズンと歩く。

何時の間にリサーチした?って言うくらいに迷いもなくマタニティー用品の並ぶフロアーに到着して見せた。

「何でも買え」

買えって・・・

私の相場より桁が違う。

短期間にしか使用しないものにそこまでお金をかけるなんて私には無理。

北斗が無職になってもこの価値観の差は埋まらないらしい。

「もっと安いので・・・」

あっ・・・

不機嫌にピクリと上に動く眉。

指名手配みたいな凶悪な表情が私を見下ろす。

その顔で片手に取ったワンピースを無造作に私の前に突き出す。

受け取らなきゃただじゃ済まないって殺気。

ふわりとしたワンピースは可愛くて、傍にあったものを取ったにしては北斗のセンスは流石で光る。

妊娠してなくても普段でもかわいく着れそうなデザイン。

ただちょっと違うのは胸元が開きやすいようになっていて・・・

授乳付きって説明が添えてあった。

「マタニティって色々便利に考えてあるんだな」

ワンピースの胸元を開いて確かめていた私もそれは納得の便利機能だって思う。

お母さんのことだけじゃなく赤ちゃんのことがしっかり考えてある。

「ここから手を入れようとか考えてないよね?」

「は~っ!?」

バカなことを言って、また北斗に睨まれてしまった。

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

きらきら☆様

女の子でデレデレの北斗♪

見たいような見たくないような・・・

イメージ・・・がって、気にしながらデレッとなる北斗は千和しか見れないでしょうね。(笑)

なちゅ様

みんな、デレデレの北斗が見たいんですよね。

普段見れない北斗の一面♪

きっと子供が生まれたら変わるだろうしなぁ。

千和のお父さんが子供を背負ってあやしてる会社に出る二人を見送ってる場面が最近頭の中にあります。