DNA で苦悩する 27

今回はお父さんしてる司が見たくて~。

あっ?ちょっと違うかも、と思ってもらえたらうれしいなぁ。

でも結局いつものパターンになってる気がするのです。(^_^;)

*

「この部屋・・・お前の部屋?」

「うん」と、うなずく僕の目の前で蒼がバタッと持っていた学生かばんを落とした。

自分の部屋で1日中過ごしても何も困らない設備。

確かに一般的な家庭の部屋にあるものは全部そろう。

備え付けでないのはキッチンだけ。

「俺の家がすっぽり入りそう・・・」

父さんは結婚前に母さんがおじいちゃん達と暮らしていた社宅を、自分ちのトイレより狭いって思ったって楽しそうに話していたことを僕は思い出した。

広いと狭いの違いはあるものの二人の驚きは案外似てるかもしれない。

「食事もお店で食ってるみたいにすげ~おいしかった」

まだ食い足りないってヨダレを垂らしそうな表情を蒼が見せる。

「シェフが作るからね」

「おまえんちシェフ居るのか?」

「父さんの仕事がらみの付き合いとかもあるからパーティーとかも多いしね」

何気に言った僕にこれ以上開かないってほどに瞼を開く蒼。

目が飛び出る!

そんな表情。

「生まれとか育ちの違いはあるとっいっても桁違いだろう」

「ここまで違うとうらやましいとか思わないものなんだな」

そう言って蒼は僕のベットに身体をダイブさせた。

「このベッドで寝てもプールの端と端の開きはあるな」

んなわけねえだろう。

大げさすぎ。

3人は寝れるけどね。

つーか、蒼、おまえと寝ても面白くもない。

「蒼、客室は準備してあるから後で案内する」

「えっ?一緒で朝まで過ごすんじゃないの?」

ベットの上で身体をくねらせてモジッってするなッ!

ビクッとなるだろうがぁ。

「鮎川なら客間じゃなくてここだよな?」

身体を横向きに変えて、シーツの上に片肘ついて頭を支えた蒼。

意味ありげに笑って人差し指で横にすっぽり開いた空間を指さす。

冗談でも笑えない。

並んで寝るなんて、ここ数年兄弟でもやってない。

「鮎川とはどうだったの?」

「どうってなんだよ」

「誤解はといたんだろう?」

「あのままじゃ妹が駿の彼女と思われそうな雰囲気だったろう」

「鮎川機嫌悪かったもんな」

なぜお前まで鮎川って、呼び捨てんだ。

そんでもってベッドで手を大きく動かして泳ぐなッ。

告白がうまくいったって誰が教えるかッ。

「父さんに呼ばれてるから、行ってくる」

「その間に部屋に案内させるから風呂でも入ってろ」

「きれいにして待ってる」

枕を胸元に抱えこんだ蒼が数度の瞬きをして僕を下から見つめてる。

「かわいくねェよ」

蒼からとり上げた枕を頭上にボクッと振り下ろした。

「冗談抜きで心配してんだからな」

枕がポトリと落ちたその顔は真面目に僕の正面と向き合う。

「わかってる」

「俺に出来ることがあったら何でも言えよ」

「うまくいかなかったら、おまえんちに匿ってもらうよ」

「俺のベッドは抱きあわないと眠れないぞ」

「床に寝る」

笑って見送る蒼を残して父さんの書斎に向った。

ノックと同時に「入れ」の声。

単語一つでも迫力は十分。

ゴクンと飲み込んだ喉が大きく音を鳴らした。

デスクを背にして、その上に腰を軽く乗せて腕組みをしたまま僕に注がれる視線。

「わかってると思うが、今回のミスはお前だ」

「撮られた画像のデーターを消去するまでの配慮が必要だった」

「公になればお前が英徳から高校を代えた意味もなくなるぞ」

舞と出かけなければこんなことにはならなかった。

根本の間違いはそこだって言えるわけがない。

確かに僕はミスを犯してる。

舞と一緒に写真を撮られたこと。

見せられたデジカメの写真を父さんが言う様に削除させればそこで終った出来事。

舞が載せてもいいって言ったことに気が付かなかった僕。

舞ならやりかねない性格だって分ってるはずだった。

理論をつけて話す父さんに対抗できる能力はまだ僕にはない。

流石に道明寺グループを束ねてる尊大さと説得力に押し込まれる。

「すいません」

僕が今言える精一杯の言葉。

母さんとの言い合いで父さんの怒りもずいぶんと浄化されてる。

たぶん・・・

さっきの母さんとのやり取りがなければ怒りのはけ口は、全部僕に向って一気に吐き出されてるはずで、こんなに短時間で父さんにぼくが謝ることはできなかったって思う。

少しの沈黙の合間に父さんの携帯が鳴った。

「手間かけたな」

「あぁ・・・」

「はっ?もう一回言えッ!」

今回のことで手間を書けたのは美作のおじさんのはずで・・・

会話をするたびに父さんのこめかみがピクリと動く。

最期は完璧に怒りの表情。

あきパパ・・・なに言ったんだよーーーーー。

電話を切ると同時にドタドタと爆音をなびかせるように書斎に行ってきた母さん。

「おまえが、あきらを頼るから訳が分らないことになってんじゃねェか!」

「そこまで怒るほど悪くはないと思うけど」

なななななに?

最初の状況の言いあいよりレベルが上がってますけど・・・。

大丈夫か!!

「どうしたの?」

二人の間に入ってもいいものかどうか迷いながらも一応仲裁して見た。

「どうしたもこうしたもない、あきらの奴、駿と舞を自分のプロダクションのタレントとして出版社に話をつけた。

これからは俺が許可しなきゃ世間に駿と舞が出る事はないから安心しろと言ったんだぞ」

「美作さんが駿と舞を悪いようにするわけがないから安心じゃない」

「あのな、言い換えれば駿と舞はあきらが守るって言ってるようなもんだろうが、こいつらを守れるのは俺だけで十分なはずだ」

父さん・・・

それは、美作のおじさんが先に動いて事を収めたことへの嫉妬?

母さんが絡んでくると道明寺のTOPとしての威厳に簡単に亀裂が生じる。

さっきまでの父さんはどこに行ったのだろう。

「守ってくれるものが多いのはいいことでしょう」

「司の場合は出版社をつぶすとか買い取るとかカメラマンを戦場に追いやるとか・・・後々遺恨を残しそうだもん。

美作さんなら平和に納めてくれそうだから」

ここで美作のおじさんを褒めるのは逆効果だって僕は思う。

「蒼が待ってるから部屋に戻るね」

にらみ合ってる二人から逃げるように書斎を飛び出した。

楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

拍手コメント返礼

アーティーチョーク 様

凛ちゃん登場の予定はまだ考えません(^_^;)

あきら君どうするつもりなんでしょうね。

司が邪魔しそうですけど・・・