いくつもの嘘を重ねても 5

おはようございます。

ゴールデンウイーク始まりましたね。

皆様いかがお過ごしでしょうか?

旅のお供に拙宅の二次をおつれいただきありがとうございます。

時間待ちの合間の暇つぶしになってればいいんですけどね。(^_^;)

我が家の予定は今のとこなんもなし~

明日は映画でも見に行こうかなと横で言ってる子供にギクリ!

それは連れて行けって言うことだよね?

映画は私の一日をつぶすんだよ~~~~~~~。

「痛ッ・・・」

身体を横に傾けようとした瞬間に節々に走る痛み。

動かした腕は肘から下を白い包帯で隠す。

ここ・・・どこ?

見覚えのない部屋。

開いた窓から見える青葉の木の枝。

ぼんやりとした頭の中で記憶と景色をパズルのように合わせようとするが重なる気配がない。

「気が付いたんですね」

液体の無くなった点滴を交換する仕草の白衣の女性がチューブを新しい点滴に差し替えながらつぶやく。

作業の終わった女性はそのまま私の手首を掴んで脈をとる。

病院?

どうして私はここにいるんだろう・・・。

動かすたびに鋭く痛みが身体を走る。

「あの・・・私、どうして怪我してるんですか?」

「自動車で事故にあったって聞いてますけど?」

自動車事故・・・

乗っていた記憶も事故の記憶も思い出せない。

目覚めたら動かない怪我した身体の自分がベットの上に寝ている。

「ここはどこ?」

「病院ですよ」

笑顔でそう告げる白衣の女性。

「ご主人、優しいですよね。本当にうらやましくなるくらい優しくて、すごく心配してらっしゃいましたよ」

主人・・って?

私は結婚してた?

何かを思い出そうとするたびにズキンとこめかみに痛みが走る。

なにも思い出せない。

ウソ・・っ。

私は誰?

カチャと音をたてて部屋に入っていた長身の男性。

一歩足を踏み入れてその動きが止まった。

「気が付いたんだね?」

柔らかな笑みを浮かべてベッドのそばに駆け寄った男性が膝をついて私の手を握りしめた。

「心配したよ」

心配って・・・この人誰?

警戒するように握られた手を男性の手の中から抜き取る。

「あの・・・誰?」

「一応君の夫だけど」

女性と視線を合わせながら男性は意外そうな表情を浮かべる。

「ごめんなさい、覚えてないの」

「知ってる。それでも君は僕の妻だ」

凛とした整った顔立ち。

たぶん20代後半。

二重のクッキリとした瞳。

ハンサムな顔立ちが私を心配げに覗き込んだ。

忘れてしまってはいるが私は一度意識を取り戻したらしい。

名前も、年齢も、住所もいえなくて、一時性の記憶喪失と診断されてそのまま眠って今日を目覚めた。

「この子を見たら思いだすかな」

一度部屋を出た男性は小さな子供を腕に抱えて私の前に戻って来た。

抱いている子供は片言の声を発しながら抱っこをせがむように小さな腕を一生懸命私に伸ばす。

私を必死に求めてしがみつこうとする手。

私の子供?

いじらしい仕草はキュンと胸を締め付ける。

ごめん、思い出せないの・・・。

伸ばした指先が小さな手のひらに触れる。

「ママ」

子供の声がそう聞こえた気がした。

男性の名前は錦織省吾。

子供は1歳ちょっとの女の子で亜美。

私の名前は 真央。

そう説明されてもピンとこない。

指輪!

結婚してるならしてるよね。

左手の薬指!!

はめられたプラチナリング。

慣れない違和感を感じてる感触にりんぐを右の指先がくるっと回す。

ヤッパリ、指輪に慣れてない感じがした。

指から抜き取ったリングの内側に刻まれた日付は3年前。

S to M の刻印。

なにも思い出せない。

どうしてこんな大事なことを思い出せないのだろう。

不安な気持ちは言われたままに男性も子供も受け入れられるはずがない。

怪我が治った私はそのまま自分の家だという大きな家に戻った。

家の外観も、玄関を通って部屋の中に入っても何も思い出せなくて、自分だけが他人の様な存在に思えて落ち着かない。

暖炉の上に飾れたら写真たての中の2人。

写真緒の中の純白のウエディングを着た私は幸せそうに微笑んでその横に寄り添う優しげな男性。

どう見ても結婚式の写真。

私と彼との関係は嘘じゃないって教えてくれてる。

「思い出した?」

「全然・・・だめ」

手に取った写真立てをもとの位置に戻しながら小さくため息が出た。

「焦らなくていいから」

背中から回された腕はそっと私を抱く。

温かな温もり・・・。

少し腰を屈めた長身が私の身体に寄り添う。

「ま・・・」

聞こえた声はなんて言ってるのかわかないままに頭の中に靄を作る。

くすぐったくて、安心できて、うれしくて、幸せな気持ちで、ずーとこうしていたいって思う。

それは、この人なのだろうか・・・。

「ごめん」

「今の君にとっては僕は他人だよね?」

フッと離れた寂しげな表情が私を見つめる。

気遣って優しく接する行為は好ましくって私を安心させる。

それでもなにも思い出せない私は不安でしょうがない。

早く思い出さなきゃ。

自分が自分じゃなくなる。

大事な事を忘れている自分が情けなくて悲しくなった。

名前を考えるのはいつも悩むんですよね。

真央ちゃんにしましたけどさすがに潤はつけられなかったなぁ~。(笑)

省吾って名前は別なお話で使ってなかったかな?(^_^;)

そこはスルーでお願いします。

お楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。

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拍手コメント返礼

オオイタッコ 様

瓜二つの設定のお話も多々ありますもんね。

整形して瓜二つにしたとかありかなぁとか背景を考えてます。

たとえばこの省吾君すご~く愛していた彼女は実は司が好きでつくしになりきっていたとかのいきさつがあったとしたら、違う世界が広がりそうで(完璧にオリジナル小説になりそうな設定)

早く司君見つけないとやばいことになりそう。(^_^;)

やなぎ様

お出かけのお供ありがとうございます♪

司の苦悩する姿キュンとして良いんですよね。

だからって引き延ばしたらダメですよね。(^_^;)

あずきまめ 様

勝手にけが人連れ去ったらダメですよね。

それで怪我がひどくなったどうするの~

衝突事故なんだからね。

それに連れ去りは誘拐だぞ~~~突込んでおいて話はまだまだ続きます。(笑)

二人の再会を祈ってやってくださいませ~。