生れる前から不眠症 4
ここから波乱の展開の幕あけです。
あきら君ごめん(^_^;)
「よっ」
どうやら今日は来客が多い日らしい。
葵が帰った後、近くに来たからと会社に総二郎が顔を出した。
近くに来たといってもいつも通りすぎるだけの奴が珍しい。
一緒に女性をはべらせて遊んだ時期は遠い昔。
総二郎も茶道の普及とかで世界中を飛び回って遊ぶ暇なんてなくなってるはずだ。
「何か、あったか?」
気心の知れた態度の中に見える神妙な顔つき。
「・・・いや」
少し空いた間が言いにくい言葉が続くことを俺に連想させる。
「言えよ」
「ちょっと耳に挟んだんだ」
西門宗家 家元を継いだ総二郎。
茶道の教えに乞うのは良家の子女、大会社や官僚の夫人も多い。
意外な噂話が総二郎から情報として入ってくることも多い。
「おまえさ、以前付きあっていた相手、全部覚えてる?」
その場のノリでつきあった女性までは名前も顔を覚えてない。
「総二郎、おまえは全員覚えてるのか?」
愚問だったという様に総二郎がフッと小さく笑みを見せた。
「橘 理紗って覚えてるか?」
総二郎から聞かされた名前は英徳高校時代につきあった人妻。
「ずいぶん昔の関係だぞ」
総二郎から名前を聞かされるまで顔も浮かばなかった相手だ。
「最近、俺の元に5歳の女の子を連れてくるようになった」
5歳?
俺が彼女と別れたのって・・・
頭の中で5歳と妊娠期間を足して妊娠時期を計算。
まさか・・・
高校から付き合って大学に進学してしばらく続いた関係。
会いたいから会うんじゃなく、会えるときに会うって関係は、互いに都合のいい関係だったはずだ。
「似てるんだよ」
喉の奥から絞り出すよな総二郎の声。
「どこかで見た顔だってしばらく気になってたんだ」
「そしたらお前の双子の妹にそっくりだって気が付いて、おまえが昔、付きあっていたことも思い出したんだよ」
なんだ、妹に似てるだけか・・・
「絵夢、芽夢のどっちに似てる?」
「あきら、ジョークを言ってる場合か」
ムッとした総二郎の表情が俺に詰め寄る。
今頃になってそんな問題が吹きだすって誰が思う。
総二郎が見た目だけで俺に話を持ってくるわけがない。
何か確信が有るはずで、そう思うから落ちつきを無くす。
「おまえと付き合っていた頃、子供が出来ないってことで俺の母親に相談してたみたいなんだ」
総二郎のお袋さんはよろず相談請負人的な所がある。
人にも言えない悩みも聞き出さすのがうまい。
牧野にしても葵にしても総二郎の母親の前では秘密はないというくらいにしゃべらされてるって思う。
「橘が俺の子だって言ったのか?」
「いうわけないだろう、まだ橘の社長と結婚してるわけだし」
「ただ、橘の社長は無精子症だって話を聞いたから気になったんだよ」
・・・てことは、俺?
付き合っていた時、子供は出来ないから大丈夫って言ってなかったか?
それは橘理紗じゃなく旦那に原因があったって事か?
人妻だからって安心してんだぞ。
騙されることもなく、あとくされもない関係だと思ってい。
動揺でふらつく身体がソファーに座り込む。
「おまえが、何も知らなきゃ俺も何も言うつもりはなかったんだ」
「橘理紗があきらと連絡が取りたいって俺に頼んできた」
俺の横に腰を下ろして総二郎がつぶやく。
「知らないよりは俺から聞いていた方がいいと思って」
「そうか・・・」
考えがまとまらないままに天井を見つめるように首を後ろに折った。
葵・・・
いま、あいつにばれるのは身重の体には負担だ。
「確かめなきゃな・・・」
有頂天な俺がいきなり地獄に突き落とされた。
拍手コメント返礼
ポチタマ 様
美作家も道明寺家の様に楽しい出産子育てになるのかと思いきや!
驚きますよね?
佑君に異母兄弟が!って事ですからね。
真実はどうなのかなぁ~
ココア 様
いつも応援ありがとうございます。
本当に心強いですよ。
総ちゃんもお話途中の春光りでは隠し子騒動が発端ですたよね。
何処かに子供がいてもおかしくない二人ですからね。(笑)
この手のお話は司じゃあり得ないですからね。
自業自得?
もみじ 様
こんな時の女の感は侮れないですよね。
あきら君の変化を直ぐに葵ちゃん感じ取りそうなんですけどね。
浮気と疑ったりなんて・・・
夫婦で不眠症になるかも~。
FOO様
アメブロでゲットですね。
了解です♪
おかゆ 様
慌てるあきら君は見たいけど葵ちゃんを悲しませたくない矛盾は私もありますよ~。
これもお話を面白くするためと心を鬼に!!
お任せいただきあありがとうございます。(笑)
かえまま 様
いきなり現実的な展開♪
ドラマでは吉瀬さんでしたね。
今ではあんなチョイ役では出ないですよね。
今回のイメージは吉瀬さんのそのままで想像してます。