はぴまり JOYFUL 9
御待たせしました。
『はぴまり8』からなが~くご無沙汰ですいません(^_^;)
これでやっと生まれるぞ(^_^;)
北斗の新米パパぶりが気になる~♪
「まだみたいだねェ・・・」
「ですね」
千和の父親とかわす会話はただこれだけ。
ここまで何度も同じ言葉を繰り返してはぎこちなく笑う。
俺なりに千和の親父さんには気を使ってるつもりだ。
「なんだか、千和が生れた時のことを思い出すね」
シミジミとした表情を浮かべる親父さん。
「千和は小さくてね。その割には鳴き声はバカデカかったんだけどね」
「なんとなくわかります」
キャンキャンと小動物みたいに俺の周りにまとわりつく様子から容易に思い浮かぶ。
「北斗君・・・君も慌ててたんだね」
千和の親父さんの視線はそのまま俺の足に点々と点を描く。
あっ・・・
クツが左右バラバラ。
千和を車に乗せることに必死で自分の身なりに無頓着になり過ぎた。
スーツをばしっと着こなす日常が嘘だと思える醜態。
「そろそろ、分娩室に入ります」
「ご主人も」
俺達の焦りとは裏腹に落ちついた看護師の声が響く。
陣痛に耐えるように食いしばる口もとからハァー吐息が漏れる。
俺に気が付いて千和がホッとため息を付いたように感じた。
「大丈夫か?」
「大丈夫なわけないじゃん」
途切れ途切れの息遣いの中、俺に食ってかかる元気はまだあるらしい。
「アッ・・・」
打ち寄せる陣痛の痛みを逃がす様に千和の手が俺の腕をつかむ。
「千和、ヒーヒーフーだぞ」
「それは、まだあとだから・・・ンッ」
額に浮かぶ汗。
こんな時、男は臆病だと思う。
千和の痛みを感じながら、その痛みに耐えられそうもない。
見ているだけで気絶しそうな感覚。
ここで腰を抜かしたら一生千和にバカにされそうで、気力で踏ん張った。
腕が砕けそうな力。
その瞬間に血の匂いが鼻につく。
「生まれましたよ。元気な女の子です」
一瞬間をおいて「おギャー」の鳴き声が聞こえた。
「生まれた・・・」
緊張と安ど感が全身を包み込む。
生れたての嬰児はそのまま千和の胸の上にのせられた。
「よく来たね」
少し鳴き声に近い千和の声。
意味もなく動く小さな四肢。
自然と差し出した人差し指が赤ん坊の小さな指に触れる。
「今から綺麗にしますね」
目の前から連れ去られた赤ん坊と離れがたい感情。
この世に生まれ出る瞬間は思っていた以上に大変で、苦しくて、神秘で、なにを言うべきか言葉に詰まる。
「千和、頑張ったな。俺を親父にしてくれてありがとう」
月並みな言葉しか出てこない俺。
「北斗に、ありがとうって言われたの初めてかも」
満足な笑みを浮かべる千和。
これだけは俺じゃ無理だもんな。
分娩室から、沐浴後の生まれたての赤ん坊を抱いて出る。
真っ先に抱かされるとは思わなかった。
柔らかくて、ふにゃとして、どこに力を入れていいかわからない
「怖がってちゃダメすよ」
そう言われて指導を受けても今までの練習の人形とは抱き心地はてんで違うから焦る。
怖さに様に恐る恐る抱いてる俺の腕の中で寝てるように大人しくなった赤ん坊。
待ってるのは親父さんだけのはずだったのに、人数が増えていた。
間宮の会長に俺の元秘書相馬。
ひ孫だ孫だと俺よりテンションが高い。
「社長が親になるのを見られたのは感動です」
ハンカチを取り出して相馬が目元を拭う。
相馬・・・お前は俺の秘書じゃないはずだ。
「お嬢様にそっくりだ」
会長の恩人、千和の祖母。
似てるかどうか俺が知るはずがない。
可愛いとは思うが眠ってる赤ん坊が誰に似てるかまだ分らないと思うのが普通じゃねェのか。
「ひよこだと思ってたのに・・・これでやっと親鳥になれて・・・」
感動してるのか俺をバカにしてるのか、相馬の表情はどちらとも取れる。
まぁ・・・
生まれたての赤ん坊を中心に振り回されるのも悪くないって思える。
昔の俺だったらわからない感情。
それもあいつと結婚しておれの知らなかった感情を引き出した千和の影響。
「おい、俺が父親だぞ」
「生まれてきて、良かったな」
まだ、笑うはずのない腕の中の赤ん坊が笑顔を俺に向けた気がした。
楽しみいただけたら応援のプチもよろしくお願いします。
拍手コメント
佳扇様
生れたての赤ちゃんを抱くときって恐々ですよね。
なんとなく不器用に男の人が赤ちゃんを抱く姿っていいんですよね。
それが北斗ならキャーって思えそうで~。
会長が一番燃えていたりして、生まれたばかりの赤ちゃんのお婿候補を次は絶対と探してそう。
b-moka 様
やっと親になりました♪
楽しい子育てライフになる思いますのでこちらもお付き合いお願いします♪
PW申請ではまだ返信できてなくて申し訳ないです。
拍手の新政コメントどこか遠くへ行っちゃって探し出せなくてすいません。
もう一度御手数ですがメルアド教えてくさい。
プンちゃんのママ 様
えーーーッ10巻一気買い。
散財させちゃいましたね。
でもうれしいなぁ!(^^)!
北斗の俺様は司とは違った魅力があるんですよね。