はぴまり JOYFUL 12

そろそろ書かなきゃ、月一のお約束♪ ← いつ、そうなったのか・・・・・(^_^;)

首を長~くしてお持ちいただいて申し訳ありません。

気がつけば10月も半ばを過ぎちゃいました。

続きからお楽しみください。

*

「会長の大事な話ってこの事だったの?」

北斗のお父さんが死んだあと一度だけ遺品整理のをするために訪れた間宮の家。

「お前のものだ」

そう言って会長は家の権利書と鍵を北斗に渡したらしい。

北斗がもらうはずの間宮のお父様の遺産は全部要らないと拒否して間宮を名前を捨てた北斗。

屋敷を玄関から眺めてる北斗の表情は心なしか硬い。

私に抱かれてすやすやと寝息をたてる茉優。

パパがその顔を見せたら寝起きの茉優が大泣きしそうだよ。

北斗、分ってる?

「この家にはいい思い出ないんて一つもないからな」

硬い頬がわずかに緩んで淋しそうな笑みを浮かべる。

北斗が8歳の時に父親だと突然現れた間宮 征司。

それから北斗とお母さんに付いた監視。

母親の怯える姿を不安に見つめてる小さかった北斗。

お母さんが死んだのもお父さんが現れなければって北斗が強く恨んだ気持ちも理解できる。

北斗達が逃げ出さない様にと監視されていたと大人になってもカン違いしていたままだった。

それは北斗たち親子を守るための監視だったって知ったのはお父さんが死んだ後だった。

入院したお父さんの細くなった肩、かすれた声。

「わかった時は手遅れだった。

僕はもう先が長くないらしい」

北斗を見舞いに連れてこれない自分の力不足が悲しくて泣いてしまった。

「僕の寿命のことはあの子には黙っていてくれ」

私より北斗に会いたくて話したいはずなのに・・・

「知ったところであいつは来ないよ。

「だけど、知らなかったったから来なかったって思っていた方が、

傷つかずにすみそうだからね」

お父さん、本当の親子以上に北斗のこと理解していたと思う。

お母さんのことも誤解を解かなかったのも北斗が知ってしまったら自分を責めるとお父さんは分っていたら。

心のすれ違いのままに過ぎた時間は大きすぎる。

「なに、泣きそうになってるんだ」

北斗が難しい顔をしてこの家を眺めてるのはきっと後悔を隠すためのものだって思う。

「この家で幸せに3人で過ごすことをお父さん喜んでくれるかもね」

間宮のお父さが北斗と作れなかった幸せな家族の時間。

私たち3人ならきっと作れるはずだから。

「良く寝てるな」

茉優を覗き込んだ北斗が人差し指で頬を突く。

「起こさないで」

北斗に触れられてピクリと上がる眉。

その眉の上げ方、北斗に似てる。

寝起きが悪いのも誰かさんそのもので、まだこんなに小さいのに親子だなって思える。

「今度は何笑ってる。忙しいやつ」

私を見くだしたような上から目線。

北斗の腕が私の腰を抱いて引きよせる。

「ななっなにッ!」

「この家なら誰にも気兼ねなしにお前を抱けるな。思い切り鳴いていいぞ」

息がかかりそうな距離で意地悪に動く唇。

私の実家では確かに父さんが邪魔でッ!

「顔色を変えるなよ。赤いぞ」

北斗の低い声が耳元をかすめて敏感に刺激する。

ますます身体の熱が上昇していくのが自分でもわかる。

「茉優を起こすなよな」

意地悪く言った北斗は余裕の笑みを浮かべて一人で玄関を開けて家の中に入っていたッ。

私が追いかけてくるのを笑をこらえながら待ってる北斗が想像できる。

なのに・・・

置いていかないでよ!

北斗の思い通りに行動してしまってる。

玄関の扉を勢いよく開けて飛び込んだ私。

壁に背中をもたれて軽く腕ぐみした一瞬で人目を引く佇まい。

鼻筋の通った精悍な顔立ちはいつ見ても飽きないカッコよさ。

見惚れてしまいそうなのは、イケメンがこれ以上にない優しい微笑みを向けているから。

「遅い」

北斗のイラッとしてる声の数秒後に私もは北斗を追って家の中に飛び込んだのにッ。

鈍い!と見下されている。

とに、我儘。

我儘な顔が、魅力的に、意地悪に、満足そうに微笑んだ。