恋の駆け引きは密室で 7
舞台は総務室から大学へ!!
司君は忙しく仕事をしてるだろうからつくしちゃんの機嫌はどうなる?
・・・で、会見はどうなってる?
西田さんがのらり、くらりと誤魔化してると思います。
「つくし様が、会見を見て婚約を破棄するといわれる可能性はゼロではありません」
無表情でつぶやく西田。
眼光は司と対峙したまま冷静に呟く声。
「俺がフラれるわけねえだろう。この俺様が結婚してやると言ってるんだぞ」
フンと鼻で笑う司。
「してもらうの間違いじゃないですか?」
不敵な司にも動じない西田。
「追えば逃げる。無視されれば気になるものです。
相手を焦られるのも秘策の一つだと思うのですが・・・」
牧野を焦らせるには、俺はもうお前に興味ないって思わせるってこと?
思案顔の司。
会見なんて開いたら俺の方があいつに夢中ってことか・・・
負けられねッ!
こんな、会話が執務室で繰り広げられていたりして(^_^;)
*とに!もっ!
この怒りは数日じゃ収まりそうもない。
デスクの上に私を押さえつけて、否応なしに事を進めようとしたデリカシーのなさ!
まだそんなに道明寺に抱かれることに慣れてない。
隣りに西田さんがいるのに!
会社なのに!
窓の外は明るいし!
誰かに見られるかもしれないってアバウトな状況を楽しむ余裕なんてないんだから!
今すぐ結婚したい
本当はちょっぴり私もうれしかった。
道明寺と二人で過ごす時間は大切で、かけがえのないもので・・・
二人がつながって、初めて知った痛みと重なる動きで感じた甘い感覚。
このまま、夜が明けなきゃいいって、ずっと、何時までも道明寺の腕の中にいたいって思ったもの。
ムッとした感情は結婚を早めたい理由が、私と一緒に居たいって事じゃなく仕事の為って言うこと!
冷静になれが私はその事に不満を持っていたんだって思う。
あの時、道明寺が私を離したくなって甘くつぶやいてくれていたら私はコクリとうなずいていたって思う。
だめだめ!
道明寺のお母様が認めてくれるわけはない。
まだ私はこれっぽっちもお母様に認めてもらってない。
お母様の信頼を勝ち取ることが道明寺と幸せな未来を掴む第一歩!
この政治活動のスローガン的な発想を忘れちゃダメなんだから。
午後の講義も集中できなかった。
怒ってるのか、道明寺に会いたいのか・・・
ふと気がつけばあいつの顔が目の前にチラついてしまってる。
「牧野さん」
突然後ろから声をかけられた。
聞き慣れない女性の声。
ニッコリと微笑を浮かべる女性。
ここにいるってことは英徳の学生なんだけどすべての学生を私が認識してるわけじゃない。
私の場合は道明寺の彼女ってことで知れ渡ってる。
この注目度は私の力じゃどうしようもない。
ひっそりと目立たなく学園生活を送りたかった私の周辺は道明寺、F4と知り合った時点でもろくも崩れ去った。
あの4人といるってだけで目立つことこの上ない。
高校時代のように面と向かって意地悪をされることは無いのでずいぶんと過ごしやすくは、なっている。
「不躾ですが、相談に乗って頂きたいことがあるんです」
えっ・・・また?
道明寺と接点を持ちたいとか、会社経営に関する相談とか・・・
私本人じゃなくて道明寺との伝手を私に頼ってくる相談は日々増えてる気がする。
「相手にするな」
道明寺からも言われてる。
「私にはなんの力もないですから」
「そこを何とか!」
ここまでの会話のパターンは織り込み済み。
肩が僅かに震えて、俯いたままの女性がクッと唇をかむのが見えた。
泣いてる?
なんだか、いつものパタンと違う。
泣かれてもどうしようもないけど、胸が痛む。
他人を泣かせることには慣れてない心の弱さ。
「どうしても牧野さんにしか相談できなくて・・・」
「えっ?私?道明寺じゃなくて?」
「違います」
次の瞬間!くっと首をもたげた彼女の目が潤んで、涙を流すことをこらえる表情で見つめられた。
「私も、交際を反対されていて・・・」
つぅと綺麗に一筋に流れる涙。
「どう対処したらいいのかわからなくて・・・」
交際を反対・・・
親の仕事を辞めさせられたり、親友、バイト先まで迷惑かけたり、家を追い出されたり、
そこまで巻き込むような妨害はないと思う。
確かにいろんな逸話が大きくなって噂は噂を呼び私は道明寺との交際を勝ち取ったことになってるけど・・・
恋の相談はあんまり、経験がないというか・・・
道明寺との恋は次元が違って参考にならないと思う。
相談されても困ると思う感情を出した途端片方の瞳からも涙が一筋。
わぁぁぁっ。
これ以上泣かれたら私が泣かせてるみたい。
周りの学生がちらりと視線を向けてわずかに歩く速度が落ちる。
彼女の顔を隠す様に腕を彼女の回して、すぐ横の部屋に誘った。
テーブルとソファーのある小さな一室。
「コーヒーでも入れますね」
涙をぬぐった彼女は小さく笑みを作る。
部屋の奥には私たちが来るのを待っていたかのようにコーヒーメーカーからコーヒの香りが湯気に紛れて包む。
「この部屋、私の入ってるサークルの部室なんです」
コーヒを注いだカップが目の前に差し出された。
なんだか、計画性ないか?
この時そんな警戒心があれば、私はあとあと悩む必要なんかなかった。
差し出されたコーヒーを数口、口に含んで飲んだ後に瞼が重くなって記憶が途切れた。
拍手コメント返礼
あさみ様
つくしちゃん、危機感が身に付かないのではないんです。
つくしちゃんの危機感がないためのお話派いっぱい書いてますが、一つ一つは別物なので、いつもつくしちゃんにはお初の出来事となっております。(*^_^*)
でもヤッパリ危機感は身に付けられない気がします。
お人よしの性格は直りそうもないですからね。
こまったもんだと思いながら司は楽しんじゃってたりして・・・
りん様
いえいえ、拍手コメント楽しく読ませてもらってます。
お人好しがいつもつくしちゃん場合裏目に出ちゃうんですよね。
きっと助かった人もいるはず!
おーじ様
何があっても司君がいますからね♪
それにF3も~♪
スマホに変えたんですね。
慣れるまでが大変ですよね。
私の場合スマホが固まって、電話は途中で切れるし、勝手に再起動させちゃうしでiPhoneに変えたんですよね。
使い方に慣れるまで子供に指南を受けていました。
寒くなってきましたね。
わが家もとうとうストーブを出しました。
Gods & Death 様
娘さんドイツ旅行なんですね。
新婚旅行で一度行きましたよ。
歴史好きの私はヨーロッパのお城めぐりをした思い出があります。
つくしちゃんが警戒心がない性格なのでいろいろなトラブルを引き寄せるお話が書けちゃうんですよね。
これがなくなったら平和だろうなぁ。
『つながった』に反応してもらったと・・・
今さらながら私が赤面しちゃいそうです。(笑)
あっこ 様
入院されてたんですね。
体調はどうですか?
近いうちに退院とのこと本当に良かったです。
まだまだこれからも大変だとおもいますが、笑うこともクスリになりますから、ニンマリと出来るお話をこれからもお届けしますね。