逆襲のファンタジー 4
「ねぇ、あれヘリじゃない?」
「別にヘリが飛んできても不思議じゃないでしょう」
「でも降りて来てない?」
園内に流れるテンポのいい賑やかな音楽。
その中に響くプロペラの音。
気がついて騒いでる客と気にも止めずに走り回ってるのは子供達。
アトラクション?
もしかして有名人が乗っているとか?
そんな期待を漏らす声も聞こえてくる。
ヘリの降りた一角は規制線を張られて誰もいない一角を作る。
遠目で見てる見物人もそのまま視線をヘリから外さずに歩いてる。
「思ったより早く着いたな」
たぶん俺が一番近くにいる。
何気なくつぶやく声は唇を小さく綻ばせる。
「ねぇ、類パパどうしたの?」
「舞のママがもうすぐやってくるよ」
俺の言葉に輝く瞳。
「どこ?」
「たぶんあのヘリに乗っているよ」
抱き上げた舞と二人でヘリが降りてくるのを眺めてた。
司もあのヘリに気がついただろうか?
「目立ってたよ」
ジーンズにTシャツ。
その上に赤いチェック柄のシャツ。
カジュアルで動きやすい機能的なファッションで現れた牧野。
ヘリを乗り入れるセレブ感とのギャップ有り過ぎ。
とまっどった表情はほんのりと頬を染めてシャツを引っ張ってしわを伸ばす仕草を見せる。
「ママ~」
舞は俺からすぐに離れて牧野に飛びついた。
ピンクのチェックのシャツの舞。
駿は青で翼は緑。
牧野を見てお揃いだったんだと気がついた。
司だけは違うみたいだったけどね。
「まさか、こんなところに降ろされるだなんて思わなくて、心臓が止まっちゃた」
この場からすぐにでも立去りたいと牧野は足早に歩き出す。
「目立ちたくなかったのにな」
「まあ、直ぐに興味はなくなると思うけどね」
悪戯っぽく笑った表情は身ぐるみにまとわりつく入場者を眺めてる。
牧野の言葉通りここではキャラクターの着ぐるみとアトラクションで皆、心を奪われる。
人目を引いてもそれは一瞬の出来事。
興味は夢の国のキャラクターに戻っていく。
「あっ、クマさんだ」
黄色い身体の着ぐるみの側に舞が駆け寄った。
それを追いかける牧野。
牧野と舞の姿を視線が追う。
こんなに歩かされるの久し振りなんだけど。
「類パパも来て」
はしゃぐ舞の声が自然と俺と牧野をつないだ。
着ぐるみに頭を撫でられてキスされて牧野も舞も笑い声を上げる。
「写真撮って」
舞より楽しんでる牧野の声。
舞より牧野の方が絶対楽しんでる。
着ぐるみから離れないままにカメラを持った腕だけを俺に伸ばす。
司なら、「離れろ」と着ぐるみまで嫉妬を見せそうな状況。
俺で良かったかもな。
「撮りましょうか?」
横から声をかけてきた女性。
「親子で撮影した方がいい思い出になりますもの」
無視するのを戸惑うのは、下心のない親切な笑顔。
「類パパ」
舞の呼ぶ声はますますこの女性をカン違いさせてる。
「早く」
一緒に写真を撮ろうとしてるのは牧野と舞だけじゃなくて、必死に手を振る二人に急かされる。
舞が俺の側に駆け寄って小さな手が俺の手を掴んだ。
「もう、早くしなきゃ次はネコさんに行くんだから」
数メートル先には白いネコが親子ずれに挟まれて写真を撮られてる。
キャラクターとの写真撮影。
司に頼めばすぐにでも自宅に呼べるはず。
無駄な時間だと思いながらここで並んで写真撮る時を楽しんでる自分も感じてる。
舞を真中にして手をつなく俺と牧野。
この写真は司に内緒だな。
楽しんでる俺と苦笑気味の俺。
・・・牧野。
君と舞とこんな風に並んで優しく笑える瞬間が大切だって思えるよ。
きっとそれは司に負けないくらいに・・・。
司、少しぐらい許せよ。
たぶん駄目だろうな。
相変らずの独占欲丸出しなやつだから。
本気で怒るのに本気で俺や牧野を責めてるわけじゃないから疲れる。
不機嫌さは一気に噴き出せばそれで落ち着く。
俺達を見つけたらすぐに食ってかかるであろう司を想像してる。
「舞にパパって呼ばせるな!」
そんな幻聴まで聞こえてくる気がした。
拍手コメント返礼
ずんこ 様
こんな風に思われていたら普通よろけちゃいますよね。
それもあの花沢類。
初恋の相手で一度は好きになった相手で、司と大喧嘩した日にやさしくされたらなんて場面もありそうなんですけどね。
そうなったら結構奥が深いお話が出来あがる気がします。
私には書けそうもな御話。
ゆきこ様
ハイ♪頭の中透視させていただきました(笑)
なんてね♪
出来たらいいのになぁ~
某所のお話は簡単明瞭で数行で進みますが、いろいろ想像が膨らんで楽しくなっちゃいます。
文字にするまえにどんどん先に行っちゃうのが難点ですけどね。
まあ、記憶が抜け落ちてもそこはご容赦くださいませ~。
LINEメンバーのみなさん~
どんどん感想をよろしくですよ~。
類君自分の仕事部屋にフォトフレーム飾って、それを見て微笑を浮かべる。
あぁ~有りそうと想像して切なくなるぅ~。
かよぴよ様
司の反応想像できますよね。
画像を削除させれる前に転送させておかなきゃ~。
類君に幸せの御裾分けしてあげても罰は当たりまよね。
大目に見て~
つくしちゃんが言ったら司がキレる♪
mizuta様
コメントありがとうございます。
花男とともに私の二次を楽しんでもらってる思いが伝わってきて嬉しく思いました。
ファイナルの続きが見たいと思って想像したものをこんな形で公表するのはお恥ずかしいのですが、思いを共有してくださる方がいる限り続けていきたいと思っています。
よろしくお付き合いください。