迷うひつじを惑わすオオカミ 7

うわ~すっかり自分が書いたお話忘れてる。

時間が空くと、こうなるから怖い。

記憶力は年齢を重ねるたびに確実に悪くなってます。

子供の記憶力が羨ましい。

新しい歌もすぐ覚えちゃってるし。

そう言えば私も子供の頃アイドルの名前や曲を覚えられない親をうそだ~と思ったものだわ。

最近のわが家で聞こえる鼻歌はアナと雪の「Let It Go」と嵐の 「GUTS!」 です。

簡単な説明が終わった後に案内された講堂。

流石は超一流の企業と言わせるには十分な英徳大学の講堂にも負けない広さ。

木崎隆弘だったっけ?

名前に記憶もないのに彼は私の名前をしっかり憶えてた。

Gの20の席から離れて後ろの席に座ったJの30の席。

斜め後ろを振り返った彼は茶封筒で顔を隠す私を見つけて明るく手を振った。

「牧野さんて今でもモテるのね」

目が笑ってないからドキッとなる。

隣りに座ってる塚原さんは面白くないって不満の感情が顔に貼り付いちゃってる。

私が今まで持てた記憶はないんですけど・・・

「そんなにモテたことないから」

未だに私が彼氏と呼べるのは道明寺だけで、付き合った経験はなしに等しい。

道明寺とも付き合っちゃってると言えるのか・・・

いつもあいつの我儘に付き合って、振り回されてるって状況だもの。

最近デートしたのって何時だっけ?

普通のありふれたデートがしたい。

護衛のSPウ抜きで道明寺と二人!

私の望みってなんて安いんだろう。

「本当に自覚ないんだ」

負の感情が包み込んでるような音色。

この子は私のこと好きじゃないんだ。

そう思わせる雰囲気は私でも気がついた。

彼女・・・。

なぜ、私に声かけたの?

道明寺ホールデングスのセミナーにわざわざ誘ったのはなぜ?

まだ感情むき出しで不機嫌を放出させる道明寺の方がいいと思えてしまう。

裏の見える感情をチラとみせる駆け引きって苦手なのよね。

「3日間のセミナーでは会社内の案内と職種体験、簡単な面接を行います」

壇上でマイクを通して聞こえた声。

聞いてない!

困る事態に追い込まれる危険性を自分で手繰り寄せることになる可能性もあるんじゃないか?

会社案内?

本社を呑気に歩いたらどこで知り合いに会うかわかったものじゃない。

道明寺とばったり会わなくても最上階の住人・・・

秘書課とか重役の何人かには私の存在は知られてる。

職種体験?

最上階から一番遠い課って何処?

もらった資料を慌ててめくる。

面接?

普通はセミナーで面接とかあるの?

聞いたことがない。

誰がするの?

まさかいきなりTOPってことはないよね。

用事が出来た!

もう明日からのセミナーは欠席にする。

「牧野さんは一緒でいいわよね」

「え?」

配られた書類に記入してる塚原さん。

ペンで印をつけた囲ん文字は秘書・・・課?

興味のある課を選んでくださいって!

一番あり得ない、拒否したい仕事先。

「ギャーーー駄目!」

奪って破ろうと思った用紙は目の前をスーと通りすぎて私の頭の上を通りすぎる。

何もできずにその紙を見送った先で微笑んだのは木崎隆弘。

「気が合うね。俺も秘書課を選んだよ」

私の目の前には秘書課に丸の付いた白い紙がピラピラと舞う。

「あくまでも希望だからね。おっ、第二希望も一緒だね。気が合うな」

・・・それ、記入したの私じゃないから。

そう反論する元気もなくなった。

この紙を道明寺ならすぐにチェツクしたら・・・

カン違いに拍車をかけそうだ。

秘書課を第一希望にしてるの知ったらごり押しでも押し込んできそうだよ。

嬉しそうにニンマリとね。

セミナーを私が受けると知った道明寺のあの嬉しそうだった声を思い出してきた。

私は弁護士になるんだから!

道明寺は覚えてくれてるかな?

不安になってきた。

どうして、欠席しなかったのか・・・。

しなかったんじゃなくて、できなかった。

「お迎えに上がりました」

顔なじみの道明寺家お抱えの運転手里井さんが頬を崩して私に会釈。

自分で行きますと断ろうとすると泣きそうに表情が曇るから断れない。

「8時に外で待ってろ」

道明寺の連絡に素直に従った自分が浅はか。

道明寺の着信も無視して一日家から出ないつもりだったのに、道明寺の着信音に直ぐ出ちゃう条件反射が身についてしまってた。

気が重い分、足が重い。

おもりを付けた身体を一歩一歩進めた私の前でガチャッと開く黒塗りのドア。

その奥から流れてくる強いオーラーの空気・・・

え?

何時もの道明寺の艶やかなオーラー・・・が、ない?

ぽっかりと空いた空間に誰もいない空席が見えた。

あっ・・・乗ってなかった。

迎えに来たのは里井さんだけ?

道明寺が迎えに来てくれてるわけじゃないのか・・・。

ホッとしたのにガクッとしてる私がいる。

黒塗りの高級車を見てから、芽生えた動揺。

このまま一緒に本社に行ったらどうなるの!

騒がれる!

興味をもたれる、あれは誰!

一緒に歩けるはずがない。

いろいろ妄想して焦った分エネルギーを消費した。

エネルギー返せ!

里井さんにお願いして、本社一ブロック前で車を止めてもらう。

「大丈夫ですか?」

「このままこの車で本社に乗り付けた方が大丈夫じゃないですから」

キョロキョロと人目を気にしながら誰もいないことを確かめて私は車を降りた。

拍手コメント返礼

Gods & Death様

真実は自分より目立つ子は許せないって性格の設定で書いてます。

つくしちゃんなら最後は上手く感化してくれるんですよね。

さぁどうなるかなぁ。

ここかた思い切り司が暴れるか!

いやもうちょっとおとなしくさせときたいかな。(^_^;)

博多どんたくも人出すごそうですね。

最近の我が家は人人の多いところには出かけなくて済むようになったのでのんびりした連休でした。

mizuta 様

お疲れ様です。

そして寝不足になるまで読んでいただけてありがとうございます。

楽しんでいただけて何よりです。

原作はどこかにあった筈なんですが何処かにしまいこんで最近見てないなぁ。

数か月前に花男コミックが無料でYahooで配信されてたんですよね。

それはしっかり読ませていただきました。♪