迷うひつじを惑わすオオカミ 8

つくしがセミナに参加してる頃・・・

司はどうしてるんだ?

仕事とか言っていたけどホントかな?

読んでいてそんな感想をお持ちになった方いらっしゃいます?

〇月〇日

『道明寺は忙しいって言ってたけどホントかな?

私の知らないところで見てたってこと・・・ある?

それはない!

一気に否定してみても一抹の不安が残る。

壇上にいる一番のお偉いさんは人事部長みたいだった。

首を伸ばして壇上の両端まで覗き込んで道明寺の姿を必死に探した。

会いたいわけじゃなくて・・・

来てほしいと願った気持ちがあるわけじゃない。

みえるわけないつーの。

見えなくても道明寺がそこにいればわかる。

一瞬で周りの空気を道明寺の色に変えちゃうから。

社員の周りにピンと張りつめた空気がないことにホッとした。

何事もなく一日が終わった。

問題は明日からの社内見学だよ。

本当にどうなるんだろう。

秘書課を希望して道明寺に会わずに過ごせるのだろうか。

私が秘書課を希望したって道明寺が知ったら都合のいいように解釈されそうで怖い

心配事が日を追うごとに増えてる気がする』

つくしちゃんが日記をつけてるとしたらこんな日記だったりして・・・。

「意外にあいつ真面目だな」

壇上を浮かび上がらせるライト。

その上では人事部長がわが社の業績だの、経営方針だの、俺にはどうでもいいようなことを説明してる。

室内を照らすライトはすべて壇上に注がれて、入り口の一番後ろの壁にもたれてその光景を眺めてる俺に気がつくものはだれもいない。

こんな暗闇でも牧野だけは直ぐにわかった。

牧野の左隣は一緒に申し込んできたとかいう中学の同級生。

その両隣に後部座席に前座席にはあぶねェやつが近付けない様に牧野と面識のないSPを配置に付けている。

これで牧野にちょっかい出したい奴がいても出せねえだろう。

「不真面目なのは代表ですよ」

影の様に俺の横にへばりつく西田が視線を正面に向けたまま音程を殺してつぶやく。

「仕事の調整をさせたと思えばこれですか・・・」

「俺が来てるって分ったらセミナーの過程がめちゃくちゃになるだろう。配慮してやってるだけだろうが」

真面目に話を聞いてメモを取る牧野の様子が嬉しくてしょうがねェ。

あいつ・・・

俺の会社には興味ないようなこと言ってたのにセミナー参加してるんだぞ。

俺の側にいたいって素直に言えばいいのによ。

わずらわしいことしなくても明日にでも俺の側で仕事を教えてやる。

素直に牧野が俺の言葉を受け入れるわけねェか。

「特別扱いしてほしいわけじゃないから」

ムッとした表情で食いつくに決まってんだよな。

扱いにくいやつだよ。

そこにまた惚れてる俺も俺だよな。

「笑える話をしてるとは思えませんが・・・」

手を後ろに組んだ西田がピンと背筋を張る。

壇上では海外支店の現状と流通の流れの専門的視野の構想なんて堅苦しい議題に変わっていた。

話の途切れた休憩時間。

席を立つものより周りと雑談してる姿が目立つ。

牧野も全くこっちを見ようとしない。

俺に見られてる事を、少しは気がついてもいいんじゃねェのか?

「代表、気がつかれないうちに退室いただきたいのですが・・・」

気がつかれたって、騒ぎを収める自信はあるけどな。

「仕事があると嘘をついて、こそっと内緒で覗き見してたってことをつくし様がお知りになったら・・・

道明寺のこと信用できないと拒絶の態度をとられることも視野に入れたたほうが賢明だと・・・」

言葉尻を濁しながらの無表情の遠慮ない声。

今日は確かにスケジュール調整で空いた時間は20分。

西田の奴・・・わざとこの短時間だけ空けたんじゃねェよな?

牧野の警護がしっかりしてると俺に確認させるためだけの時間。

「牧野がセミナーで俺の側にいるようにしろ」

そんな指示を西田に押しつけたのは牧野がセミナーに参加すると知ったすぐその後。

「セミナーは単なる会社の概要の説明会ですよ?」

渋い表情で俺を諭す様な口調の西田。

すぐに分りましたと返答は西田から返ってきた。

ため息交じりで返さなくてもいいだろうがぁぁぁ。

「初日はおとなしくしてください」

セミナー会場にいる前に念入りにくぎを刺された俺。

俺に命令するなつーの。

「そろそろお時間です」

催促する感情は見せない西田の落ち着いた声。

俺の心をイラつかせるには十分。

たまには少し慌ててみろ。

今騒ぎを起こしたら分ってますよね?

そんな、感情が西田の目の中に見え隠れする。

出ていきゃいんだろう!

背中を向けたその先で後ろ髪をひかれるようにもう一度牧野を振り返る。

ギリギリの視野の端で牧野の方向に向けて背中をまわしながら男が手を振るのが見えた。

あれって・・・

牧野の手を振ってんじゃねェよな?

「代表」

「分ってる」

男の顔が見えねェッ。

開いた扉から差し込む光が目の前に道を作る。

「調べておきます」

俺の表情を読み取った西田が小声で呟いた。

拍手コメント返礼

みわちゃん様

ありがとうございます。

実は今一番書くのが楽しみなお話なんです。

ここからどうなるんでしょうよね。

つくしを間に絡んでくる3人。

一番危ないのは司なのかなぁ。

理子 様

一気読みありがとうございます。

実は連載に戻る前私も読み返してみました。

最終回の設定しか覚えてなくて・・・(^_^;)

きつ~いお仕置きがあるのかな?

続けて読みたいと言ってもらえると心が動くんですが、詰まってるものをはきだして、

その後に連続で行きたいと思います。

Gods & Death 様

俺のどこがストーカーだ!!!

自覚のない司君。

つくしちゃんが嫌がった時点でストーカー確定なんですけどね。(^_^;)

私も会社説明会は経験がないので想像ですよ~。

就職活動にも縁がなかったからなぁ。

司もつくしも縁はなさそうですけどね。

メガネちゃん様

つくしちゃんが男性に声をかけられても正視できないのは内緒で護衛してるから~

でもきっと司からの御小言は待ってますよね。

葉っぱコンビだったら・・・面白い呟き聞けちゃいそうなんですけどね。

メルちゃんのママ様

待っててくれてありがとう!!! ← コンサートのノリ♪

来週は一気にお話を進めていこうと思ってます。