Rainy Blue 2

司の方の女性は?

どうなってるのぉ~。

ということで今回のお話を進めます。

「本当に病院に行ってもらうほどの怪我じゃないですから」

「舐めとけば治る」

小声で囁いた声は英語から日本語に切り替わっていた。

擦りむいた左ひじを本当に舐めそうに顔を近づける。

「おい、よせ」

つられるように出た言葉は俺も日本語。

重なった視線がどちらも日本人?と声にならない言葉を発してる。

「治療くらいしてやる」

なめるなとその腕を付かんで女の膝の上に置いた。

牧野でもきっとぺろって舐めたな。

あいつもやりそうだと思った途端に頬が緩むのが分る。

それを隠す様に口元を手の平で隠して車の窓から外を眺めた。

全然似てねェ女の中に牧野を探してる。

この感情をどう表現すればいいのか上手く言葉が見つからない。

孤独を感じて過ごす夜は数えきれないくらい過ごしてきたはずなのに今日は無性に人恋しくてしょうがない。

一人でいたくない。

そんな夜に呼び出せる相手は類、総二郎、あきらの3人。

呼び出せる距離にいないのが無性に腹が立つ。

なんでいねェンだ。

自分のマンションに女を連れてきたのはほん気まぐれ。

あったばかりの俺にのこのこついてくる女の警戒心の無さもどっかのバカに似てる。

牧野田 蓮華

名乗った名前に思わずのけぞりそうになった。

牧野 つくし。

似てるのは名字だけじゃなく名前まで雑草つながりじゃねェか。

冗談のようにあいつとの接点が出てくる女。

つなげてるのは俺があいつに会いたくてしょうがないからか?

こんな偶然いらねェぞ。

まだ牧野も来たことのない部屋。

寝に帰るだけの生活感のない空間。

リビングで待つように伝えて女を座らせる。

たぶん、救急箱くらいあったはずだ。

直ぐに見つかった救急箱をもって女のところに戻る。

牧野田も蓮華とも呼ぶ気になれないでいる。

「見せろ」

両腕に似たような擦り傷。

砂にすられた痕にかすかに滲む薄い血。

紫にうっ血した肌が痛々しく映る。

傷を洗ってその後に塗る消毒液の匂いがツンと鼻先をかすめる。

痛みをこらえるように顔をしかめる女。

一言も声を出さずに唇をかみしめてる。

以前怪我した牧野にもこうやって薬を塗って包帯巻いてやったことあったな。

俺のせいだと傷を見て無性に後悔したこと覚えてる。

「これで大丈夫だろ」

「ありがとうございます」

治療の終わった腕を擦りながら女がつぶやく。

「帰りは、車で送らせるから」

運転手のハワードに連絡を入れようと部屋の電話の受話器を取った。

ガシャン

「なにする」

受話器を戻す様に俺の手のひらに重ねられて女の手の平。

「すいません。さっきバックをすられちゃって途方に暮れてるところに車にぶつかっちゃって、お金もなくてと泊まるところも決まってなくて、知り合いもいなくて・・・」

「俺には関係ない」

「そこを何とかお願い出来ませんか?

床でもソファーでもどこでも置いてもらえればかまいません。贅沢は言いませんから」

切羽詰まった声で言い寄られてる。

「男の部屋に一人で泊まるのがどういう意味か分ってる言ってるのか?」

グンと詰め寄った身体は後ずさりして壁際もあで女を追い込んだ。

「信じてますから、無理矢理私をどうこうするほど女性に飢えてないですよね?」

直ぐに抱けそうな距離感でそうつぶやく女。

「カッコいいし、もてそうだし、いっぱい美人の女性の方がいそうだし、私なんて相手にする必要ないでしょう」

それ褒めてるのか?

俺がその気もないのに言い寄ってくる女の割合が多い。

この状況ならたぶん首に腕を絡ませて身体を寄せてくるパターン。

乱暴に振りほどく俺を睨み付ける批難じみた視線。

同じようにここまで拒むやつは一人しか知らねェ。

壁についていた腕の力が抜けて自然と笑い声をあげてた。

あいつに会いたくなった夜にこんな女と巡り合ったのもなにかの縁。

「ここに泊められるわけない」

この部屋に泊めるのは牧野だけって決めてる。

「隣の部屋を貸してやるよ」

ワンフロア―貸し切ってる最上階。

ここなら泊めるのは問題ないはずだ。

女を案内して部屋に戻った。

ベッドに入ってもなかなか寝付けななかった夜。

出社しても落着けなくてしょうがなかった。

「わりぃ、寝ていたよな?」

日本は真夜中だと分ってるのに我慢できずに携帯を握った。

なり出した呼び出し音の一鳴りで聞こえたきた声。

携帯を握りしめてたような早さで聞こえた牧野の声。

俺のこと待ってた?

考えて、会いたくて眠れなかったとか?

寝てたよなって聞きながら牧野も眠れなかったって確信してる俺。

「ううん、起きてたから」

素直な声に会いたくなる思いは強まる一方。

声を聞けば落着けると思っていたのに・・・

どうしてくれる?

「あのさ、今日すごく我儘なやつに会った」

俺もこのNYで信じられない様な危なっかしい警戒心なさすぎのやつに会った。

つーか、それ、危なくねェのか?

「嫌なやつって、男じゃねェだろうな?」

携帯の中から顔を突き抜けて確かめたくなるだろうがぁぁぁ。

「話が長くなるけどいい?」

俺が納得いくように話せ。

グッと携帯を握りなおして「ああ」と声を絞り出した。

拍手コメント返礼

mizuta 様

司!

なんでらしくないことやっちゃうの!!!

叫びたくなりますよね?

普通やらないでしょう。女性を部屋にあげるなんて!

下心なきゃ上げないぞ!

司には毛頭ありません。

そんなことは分ってるのにドキドキしちゃいますよね。

まちゃこ 様

まきのだれんげ

名前に一番悩みました。

筑紫マキにしちゃおうかと思ったりね。

司につくしって呼ばせるとかね。

つくしに振り返る女性二人の構図ありそうだなとか考えちゃったな。

何時か使おう・・・(^_^;)

やなぎ 様

思わずお茶を吹きだしちゃったじゃないですかぁぁぁ

>司がつくし以外の女性に心を開くなんて、イヤ〜!

>どうせならお相手は私にしてぇぇ、

次回はぜひやなぎで~。

Gods & Death 様

司何考えてる!

なんで入れる!

たぶん同意見の方たくさんいらっしゃるでしょうね。

つくしの代わりに蹴りを入れときましょうか?

まだ浮気はしてませんから~ ← 十分に浮気だよ~

かよぴよ 様

いつもの司なら無視ですよ!無視!

ほっとけ!ですよね。

なんで興味持っちゃんだろう。

つくしに会いたかったから!

そんないいわけ通じないから~。

みわちゃん様

病院は断って家に泊めろってね。

普通は病院に連れて行ってもらうよ~。

それじゃ面白くないので・・・(^_^;

司何してるの!

今回そう思ってヤキモキしてるからどのくらいいらっしゃるのでしょう?[emoji:v-388]