迷うひつじを惑わすオオカミ 23

どんな食事会になるのやら~

楓会長の思惑はどこに?

司君が余計な作戦を思い出さなきゃいいんですけどね。

どんどんセミナーからは遠ざかるストーリーになってますが、そこは目をつぶってお付き合い頂くと助かります。

案内された窓際の席。

6人掛けのテーブルに準備されてるのは5人分の席。

3人でランチのはずじゃねぇのか?

仕事がらみを挟んだ昼食?

ここに牧野を連れてくるということは俺の婚約者としての紹介の場と考えてのセッティングとか?

となると食事の相手は道明寺HDにとっては重要な相手ということになる。

俺の足音に気がついて振り返った人影。

このメンツはなんだ・・・。

足が自然と止った。

正面の席にお袋。

その右側の席は空いた状態でたぶん俺の席。

一つ空いた席のの隣りには牧野。

つまりは俺の隣り。

俺の席の前になんであの女が座ってんだ。

そしてその隣には牧野にちょっかいを出していたあの男。

木崎だっけ?

牧野の前に座ってんじゃねぇぞ。

さすがにこのメンバーを見たらいくら西田でも感情が表情を動かすんじゃねぇの?

チラリと後ろに控える西田に視線を向ける。

ビクリとも動いてなかった。

ちょっとは驚きを見せろ!

どうなればこのメンバーでに食事する羽目になる!

「遅かったわね」

「時間通りだろ」

5分も遅れてない俺にちらりと腕時計に視線を走らせたおふくろ。

厭味ったらしい言葉には慣れてる。

「このメンバーはいったいなんだ?」

隣りの牧野に小さく声を出して聞く俺。

「私も良くわからないうちにこんな展開になったんだよね・・・」

まわりの視線を気にするように牧野が俺以上の小さな声で呟く。

気持を落ち着かせたいのか牧野は目の前のグラスに注がれた水を一口、口に含んだ。

焦って飲みこめなかったのかゲホッと喉が音をたてる。

「大丈夫か?」

ポケットから差し出したハンカチをいらないと押しとどめて牧野は自分のナプキンで口元を隠す。

「緊張してるのか?」

話しかけるな!

そんな目で牧野が俺を睨んだ。

この期に及んでまだ俺との関係をばらしたくないって態度。

ムカつく。

おふくろもいるんだぞ!

俺との関係がばれないまま食事が終わるってあり得ねェぞ。

俺から逸らす牧野の視線。

それとは別に強い視線を正面から感じる。

顔を正面に向けた俺に媚を売る態度が丸見えの表情が微笑を浮かべてる。

引きつりそうになるこめかみを抑えながら胸の奥で湧き上がるムカつきは今にも口から飛び出しそうだ。

隣りから聞こえる笑い声。

俺がイラッとしてる感情を抑え込もうとしてる横で木崎と談笑中。

中学の頃のちょっとした知り合いだとか・・・

偶然に再会したとか・・・

あの頃の僕はふと目で、ダサくてなんてことを滑稽に話して場が和んでいく雰囲気を一人で作リだしてる。

普通にランチを楽しんでる様子はおふくろと俺を交えてはあり得ない。

意外とこの木崎って使える奴かもな。

その間に挟まれてる俺と塚原。

熱い眼差しで見つめてくる雰囲気は完全に浮いてる。

「すいません。つい見惚れちゃって」

やっと口を開いたと思ったら、視線をテーブルに落としてフォークとナイフを動かして初心な素振りを見せる。

わざとらしんだよ。

同じ素振りでも牧野なら抱きしめたくなる思いを我慢するのに苦労する。

やっぱ、この女相手に気ある素振りをするのは無理だ。

「あの・・・聞いてもいいですか?」

下から見上げる瞳。

これが牧野ならグッッと来るんだけどな。

「なんだ?」

どうでもいい気持ちで突放す声。

「代表の好きなものってなんですか?

食べ物とか、趣味とか、女性の好みとか・・・」

テーブルに半分身体を乗りだして期待する表情が俺をみつめる。

「牧野」

えっ?

素っ頓狂な表情を見せたのは塚原より牧野の方。

パラシュートと付けずに飛行機から飛び降りたのに今気がついた様な表情が俺をみつめてる。

「牧野ってブランドあった?」

塚原が木崎に確かめるそぶりを見せる。

「デザートで欲しいのはこいつだし、俺の趣味はこいつの望みをかなえること、女の好みもこいつだ」

席から立ち上がって逃げにかかる牧野の肩を抑え込んですわり直させる。

文句あるかとジロリと視線を牧野に向けた。

「こんなとこで、言うことじゃないでしょう」

牧野が気にしてるのは塚原よりおふくろ。

「代表の婚約者で英徳の後輩って牧野さんの事ですか?」

目の前の塚原はワナワナと震える身体を押さえ込むように両手に拳を握る。

「だましたつもりはなくて、ばれると大げさになるのが嫌で・・・」

今さら何を言ってもこの手の女には通じるはずがない。

バカにされたって思いだけで恨みを生む。

「牧野に何かあったら俺を敵に回すつもりでいろ」

「失礼させた頂きます」

席を立ちあがった塚原はテーブルから離れて行った。

まわりの視線を集めるには短すぎる短時間の出来事。

「司・・・」

テーブルの上に肘をついてテーブルに向けて置いた掌。

その腕がおふくろの額を支えてる。

「バカッとしか言いようがないわね」

俯き加減の顔からは表情が見えない。

かすかに震え肩を隠す様におふくろが一つ息を吐くのが見えた。

「俺も、いなくなった方がいいよね?」

木崎が牧野に確かめる素振り。

「いて」

切実な牧野の声が俺の横で響いた。

拍手コメント返礼

メガネちゃん様

司君即答過ぎですよ~(笑)

ここは少しためなきゃだめよね。

そんな駆け引きは司君には無理かぁ。

この即答性がいいんですよね。

usa 様

牧野!

ただそれだけでヤッタ!と思えるから

司君すご~い。

ゆきこ 様

やりましたよ司君。

司はこうでなくちゃ。

・・・で、レイニーの司が~。

比べちゃだめだけど比べたくなるんですよね。

もう少し我慢よ~~~

>司の好きな食べ物、趣味、女性の好み、ぜーんぶつくしちゃんって台詞は、本当ひー様ブラボー♪

言われたいものですよね。

旦那が言ったら引くなぁ・・・(笑)

みわちゃん様

すっきりしていただけて良かったです。

これで終わりだといいんですけどね。(^_^;)

さわね様

これで諦めたら塚原さんじゃない!

いったい塚原さんってどんなキャラになっちゃうんだろう・・・(^_^;)

はるとん様

そうですよね。

これでも司君耐えたのよ~。

でもまだご褒美まではまだ遠い。(^_^;)

ゆさ 様

お知らせありがとうございました。

赤ペン先生は随時募集してますので、お気づきの時はまたよろしくお願いします。

本当に助かりました。

感謝。

やなぎ様

つくしに対する嫌がらせは司が10倍にも100倍にもして返してくれますよ。

塚原氏日本で復活できるのかしら?

aru様

もっとやって欲しいという御意見はこのままじゃ終わらないですよねのコメントに繋がってるようで、たくさんいただきました。

まだ足らないと思ってる方はまだいらっしゃるみたいです。

次はどう捏ねましょうか?

なる様

司君は塚原さん一人追っ払っただけじゃ満足してないでしょうね。

出来れば楓さんも~

そうそう、楓さんの狙いまだわかってませんからね。

無駄なことはしてないだろうなぁ。

mizuta 様

司の大好物はつくしちゃん♪

檻の中に一緒にいれておけばいつまでも平和です♪

でもね、こんなところで宣言されちゃったらね・・・

つくしちゃんはどう反応していいか分からないでしょうね。

怒るしかないぞ~。

ここで引き下がる塚原さんじゃない!

なら、どうでるか!

めぐってる妄想が私と一致してるかもしれませんよ~。

Gods & Death 様

一日遅れでもこっちの司にはスカッとしていただけたと思います。

席を立ったということは司をあきらめたということでしょうか?

其れじゃ面白くないんだなぁ・・・