イブに恋して囁いて(つかつく編)14年度版

去年は3様のカップルでお届けしたお話。

今年は予想外の大内恭介に婚約者発覚のお話からスタートさせました。

定番の二人もお届けしなきゃ始まらないの~。

*

「クリスマスにこれってありなの・・・」

カップルの割合の多いお店の中で集まってるのは私と優紀、そして中学の同級生の女子合せて6人。

「つくし、何か言った?」

吊り上った目で私を責める彼女はほぼお酒で出来上がってしまってる。

「イブに良く空いてるお店があったなって感心してるの」

本音は男性が一人もいない女性集団に寂しい憐みの目が向けられてるってことは封印した方がよさそうだ。

クリスマス直前に彼氏にフラれて友達のカップルと一緒に楽しむつもりで予約してたこの店に集められた優紀と私。

私も今回は道明寺に忙しいとフラれてしまってる。

婚約してはじめてのクリスマスに彼女をほっとくって信じられない。

本来なら何の責任もない大学生のはずなのに。

道明寺HDの代表の肩書を持つ大学生と二束草鞋をはく道明寺が時間がない事は分ってるけど愚痴は言いたい。

このままだと私は仕事を理由にほっとかれるままの生活を送る羽目になりそうだよ。

恋愛期間って楽し物じゃないのかな。

それも付き合って初めて二人で過ごすイブのはずなのに私はここで中学の同級生に絡まれてるし。

「つくしはいいわよ。大学卒業したら結婚するんだよね。相手はどんな人?」

私に彼氏がいることは話してあるが相手が道明寺の御曹司だって知ってるのは優紀一人。

あんまり騒がれるのは好きじゃないからその辺はいつもぼやかしてる。

「一つ上の高校の先輩だけど・・・」

「ねぇ、結論早く出しすぎとか思わないの?」

肩をゆすられながら説得の構えで私を覗き込む彼女ら。

「ここは、いろんな男の人と付き合ってさ、その中で決めようとか思わなかったわけ?」

「あっ、高校の先輩って言ったら英徳だからお金持ちだよね?」

「どちらかと言えばそうかな・・・」

煮え切らない私の言葉に今にも優紀は吹き出しそうな表情を我慢してるのが分る。

「つくしって・・・もしかして、彼が初めての相手で、そのまま彼一人に決めたとか?」

それにどう答えていいのか言葉に詰まる私。

「あり得ないよ。でもつくしならありか・・・真面目だもんね」

「一番、男っ気なかったつくしがなんで一番最初にお嫁に行くのよ~」

「お坊ちゃんで将来性があって、これで、いい男なら私たち許さないから」

ブッ!

とうとう優紀が笑を堪えられなくなって吹き出した。

親友なら助けてよ。

クリスマスの話題には程遠いような話で騒わがずにここは飲もう!

そんな気分でグラスを持って乾杯のために上に上げた腕が止った。

賑やかな声の間を分け入る長身を思わず二度見。

メガネをかけてマスクしても隠しようがないキリッとした濃い眉にクッキリとした二重の縁取るアーモンドアイ。

極めつけはクルックルの髪の毛。

どうしてここにいる?

そのまえになんで私がいるの分かった?

入ってきた瞬間に存在感を示すオーラーで空気の色も変わる。

騒いでる声も道明寺が足を進めるたびに小さく音を無くしてる。

「大人しく、待てねぇのかよ」

「それって、一応変装してるつもりなのかな・・・」

驚きを隠すつもりでおどけた声を出す。

道明寺が来てくれたことを喜んでるとこ見せたくない強がり。

「だれ?」

そんな興味の視線が私たちに注がれてる。

優紀は私以上に喜んで私の身体を肘で突いてくる。

「仕事じゃなかったんですか?」

私のかわりに優紀のはしゃいだ声が聞こえた。

「クリスマスに会えないのは嫌だからここ数日、徹夜で仕事終らせて時間を作ったんだよ」

拗ねた声が呟いて私を見おろす。

そんなこと一言も聞いてない。

ここ数日連絡もくれなかった薄情なやつ。

「男が、一緒だったら暴れてたとこだ」

マスクの下で見えないはすの口元がニンマリと意地悪く笑ったのが見える気がする。

「こいつ、連れて帰るから」

文句は言わせないの強硬な威圧感を感じてるのは多分この場で私だけ。

強引に引き上げられた身体は道明寺にぶら下がってしまってる。

「えーーーーーっ、つくしの彼ッ!」

いきなり立ち上がって道明寺を抑え込む複数の腕が四方から伸びる。

「折角だから一杯飲んでいってください」

興味深々な声はしっかりと道明寺を取り囲んでしまっている。

椅子の上に引き下ろされた道明寺の前に差し出されるグラス。

「マスクしてるとカッコいいけどマスクをとると残念て事あるよね」

ひそひそとこっそり話す声。

聞こえてるよ。

「あの、顔見せてもらえますか?」

イラッとした道明寺の横顔。

宥める様に道明寺の太ももに手を置いて押さえる。

お願いだから数分は大人しくしてほしい。

「見せたら解放してもらうぞ」

声が逆立っている。

やだ~とか軽いのりで返されたらどうしよう。

耳に手をかけた道明寺の指先がマスクを外す。

度の入ってないはずのメガネまで外せば、雑誌でも見かける顔が現れた。

え・・・っ。

息を呑む瞬間を目の前に私は次の騒ぎを予想して身構える。

シーンと音を無くした数秒のけさの後に歓喜の声がそこらじゅから上がった。

「ウソっ!」

「キャー」

「これってドッキリ?

カメラ何処よ」

カメラはないから・・・。

馴れた反応には諦めの心境。

「帰るぞ」

騒ぎには興味を全く示さない道明寺がその騒ぎに紛れる様に私を店から連れ出した。

私たちの抜け出した後で優紀がみんなに詰め寄られてる姿を視線の端で捉えてる。

優紀ごめん。

そんな表情を送る私に大丈夫だからと優紀の唇が動くのが見えた。

本当にごめんッ。

いろいろ聞かれちゃってるだろうなぁ・・・。

車道には見慣れた黒塗りの車がドアを開けて止まってる。

「一緒に過ごせるんなら、最初に言ってくれればいいのに」

「終わるかどうか分んなかったんだよ。

それに、ダメになってまたお前をがっくりさせるのは、見たくなかったんだよ」

不愛想な声で照れくささを隠そうとしてる道明寺。

耳まで真赤なんですけど。

「ねぇ、このまま帰るのもったいないから歩かない?」

クリスマスのイルミネーションは街並みを彩って明るく輝かせてる。

「寒くないか?」

歩き出しながらどちらからともつないだ手と手。

触れあった肩が寄り添って感じる温もり。

クリスマスはこうじゃなくちゃね。

時計台の広場に飾られたツリー。

それを背景に携帯を持つ手を伸ばして頬が触れあう位置に顔を寄せて撮影する恋人たち。

その中に私たちも交じってる。

「これ以上の大きいやつ屋敷に飾ってるぞ」

「2人で見るより、こうやってほかのカップルと一緒に見るのがいいの」

「そうなのか?よくわからないけどな。

お前が喜ぶんなら俺は喜んで付き合う」

何時もよりやさしくてあったかな微笑。

極上の笑顔が目の前に首を傾げて近付いてきて道明寺の唇が間直に迫る。

道明寺の息を唇に感じた瞬間に唇に触れたのは小さな冷たさ。

あっ・・・

閉じた瞼をひらいて見あげた空から白い雪が舞い降りていた。

そっと手の平で受け止めた雪は静かに落ちて体温ですぐに溶けて形を無くす。

「邪魔されたか」

私の視線の先を追う様に道明寺もまた空を眺める。

見惚れるほどの柔らかい笑顔を見せる横顔。

冷たさに冷やされた空気にさらされて冷えていく身体を愛しむように道明寺の腕がそっと私を背中から包み込む。

道明寺の体温が私の体温と重なって溶け合う。

見えない星までもキラキラと輝いてるような気がして、いつまでも二人で静かに降る雪を眺めていた。

イブに恋して囁いて (つかつく編  2)へ続く

拍手コメント返礼

still・・・ 様

考えてみれば本当にお金かかってませんね。

クリスマスを一緒に過ごすだけの時間。

お金じゃないのよ~司君♪

それは司君も分ってるはず。

でも、仕事じゃなければどれほど豪華なイベントを用意したでしょうか?

それも気になったりして~

なお 様

そうなの~私も気がついちゃいました。

あはは、なんちゅう間違い司の彼!?

別なお話のホモ疑惑をここでも勃発させるなんて~

自分の失敗を笑っちゃいましたよ。

まだまだクリスマスイベントは続きますのでお付き合いをよろしくお願いしますね。

Gods & Death 様

今回は王道の王道!

Gods & Death 様一押しの司の黄門さま的仕様でデコレーションしてみました。

ゆきこ様

今回の司君できすぎ君ですよね。

サングラスの登場は以前使ったから、今回は伊達メガネ。

メガネだけじゃなぁ~

マスクもさせちゃおうの遊び心でした。

マスクの値段が気になります?

意外とつくしちゃんは「ハイ」と安いマスク渡しちゃってるかもよ~

つくしちゃんが目の前ではめたマスクを完全に耳に掛ける前に取り上げちゃった司って設定もおもしろいかも~

またまた某所でトークします?

司の株はクリスマスでどこまで上がるかな♪

アーティーチョーク 様

フラれたと思ってるところで司が登場。

これ以上の演出ってないですよね。

つくしちゃにとっては最高のクリスマスプレゼントのはず。

このままつくしの誕生日まで流れるのか!

「それは無理です」by西田。

みわちゃん 様

まわりに憐みの目で見られたところに極上の男子登場!

つくしだけじゃなくテンションあがりそうですよね。

でもつくしと司が去った後に残された女子5人は・・・(^_^;)

つくしが司の愛を感じるのには十分ですよね。

花より男子大好き 様

残された女子。

このあとどんな会話が繰り広げられるのかしら?

気になりますよね。

優紀ちゃん大変そう。(^_^;)

メガネちゃん様

これよ~これこれ。

待ってた感が嬉しなぁ。

王道のお話への食いつきがみなさん良すぎですよ。(笑)

最高のイチャコラはこれですね。

大人の二人・・・

それはイブにお届け・・・し・た・い・❤

akko

つくしの事はすべて把握したい司君♪

束縛し過ぎると逃げちゃうからほどほどで~

うさこ 様

不意打ち。

司だからなんでもできるし許せちゃうの~

今回はどんどん攻撃してもらいます?

この後どんどんフェロモン萌出してもらいましょう♪

aru 様

嵐コン観戦お疲れさまでした。

一足先のクリスマスでしたね。羨ましなぁ。

壁ドンより後ろ抱き派ですね。

最近は床ドンというのもあるらしいですよ。

司ならなんでもいいの~

舞ちゃんに大内君推し!

キター――――――――ッ。!(^^)!

かえまま 様

キュンと来るのは妖怪の仕業?

巷では妖怪なんとかがはやりですからね。

つかつくの王道はこれですよね。

キュンキュンと楽しくいきましょう。

なる 様

大好物♪

みんな好きなのが分る久々の拍手の数。

花男王道はさすがの人気だと再認識してます。

トキメククリスマスを送るのは夢のまた夢ですから私はここで夢を見ます。(笑)

若い頃もこんな胸キュンなクリスマス送ってないのぉぉぉぉ~~~~~(;O;)