イブに恋して囁いて(家族編 2)
家族編、末っ子澪ちゃんのお話ありますか?の問い。
あっ・・・末っ子忘れてた・・・(^_^;)
今年は16年ぶりにつくしに出産させたんだった・・・。
末っ子誕生までいろいろ盛り上がったんですよね。
楽しかったなぁ~ ← 遠い目・・・
家族編昨日の話からいきなり幼児から大きく成長した子供たちと末っ子を交えたお話を追加しました。
*「おい、澪は?」
「駿が散歩に連れて行ったけど」
久し振りに我が家に揃った家族。
新しい家族も増えて一緒に迎える初めてのクリスマス。
サンタの格好の司は少しガックとした表情を浮かべる。
赤い服にお腹を突き出した格好と白いひげを付けた姿がパパだって澪は分るのか・・・
サンタの認識はまだできてない6か月児。
「ただいま」
澪を抱いて帰ってきた長男坊はしっかり横に彼女付き。
やたら嬉しそうに顔をほころばす。
「どうしたの?」
その横で菜花ちゃんは少し照れくさそうにして駿を非難気味に見つめてる。
「3人で散歩してたら親子に間違われてさ、パパにそっくりねって知らないおばさんに言われたんだよ」
司にそっくりなキリッとした眉の駿。
将来眉を書く必要のないしっかりとしたその濃さを受け継いでいる澪。
三人並ぶと確かにその中には受け継がれた血を感じちゃう。
今の司の眉は真っ白な付け眉になっちゃってるけどね。
「俺が一緒ならそんなカン違いはされねぇよ」
司が来いと澪の前に突き出した腕。
その腕にビクンとなった澪は駿に怖いと言う様に抱きついた。
今にも泣き出しそうに顔をゆがめた澪に司も眉をしかめてる。
「パパだぞ?」
その声に聞き覚えがある様に少し顰めた顔が緩む。
司が手を差し出す仕草に、澪が、泣き顔を隠す様に駿の胸に顔を押しつけた。
「父さん、泣かせるなよな」
「いつもは直ぐに来るぞ」
「その格好が怖いんでしょう」
「サンタだぞ?」
「澪にはサンタが何者かわかんないから」
このやりとりにまわりからクスッと笑い声が漏れる。
「あのさ、俺たちまで、なんでこんな仮装しなきゃならないの」
ブツブツと部屋に入ってきたのは角を頭につけて鼻には赤い丸いキューブを付けて茶色の着ぐるみをつけられた翼。
「坊ちゃん、私もサンタですから」
目を細める西田さんの優しい目もとは司よりも好々爺に見えてサンタらしい。
澪も気になるようにトナカイ翼と西田サンタをチラ見しちゃってる。
「ただいま」
大きなクリスマス仕様の袋をもって現れたのは舞と美作さん家族。
「そこで会ったから」
舞はそう言いながら嬉しそうに頬を染める。
ちゃっかり佑君の横にならんじゃってるんだもん。
それを見た司は不機嫌そうに眉を寄せてる。
その後ろから西門さんと花沢類も顔を出す。
家族以外でこうして集まるのは何年振りだろう。
「澪、大きくなったね」
ニッコリと微笑んで澪を抱こうとする花沢類を阻止する様に司が動いた。
「澪を抱くんだったら今回は澪が喜ぶ恰好が条件だ」
「司を見ても澪は喜んでるとは思えないけど・・・
泣きそうだよ」
もっ!
完全に泣き出した澪が駿から私を求めて抱っこをせがむように手を伸ばしてる。
「夜、眠むれなくなったら司の責任だからね」
「あのな、サンタの格好をやめればいいだけだろうが」
普段の恰好に戻っても澪が泣いたらどうするのだろう。
佑君が舞といるだけで不機嫌なオーラーが出ちゃってるし。
子供ってそんなところ敏感なんだからね。
「俺は親だぞ」
「親でも懐かないときは懐かないの」
「俺がいないければ、お前は生まれてないんだぞ」
そんなこと大声で言うな!
それに澪には分からないわよ。
必要以上に理解しちゃってる駿や舞や翼。
駿は無駄に菜花ちゃんに違う話題をふってる。
舞は顔を真っ赤にしちゃってるし、翼はニンマリしちゃってるし。
恥かしさはそのまま怒りに変わりそう。
「相変わらずだな、司は」
西門さんは苦笑気味の表情を浮かべながらも、部屋の中央に歩く姿だけで一気にその場の空気を変えてしまった。
和服を着てるわけでもないのに凛とした佇まいは和の調和を生み静寂をもたらす。
クリスマスの洋の世界が一瞬にして茶室の幻影を私たちに見せる。
サンタが・・・場違いに思えてきた。
不機嫌な司はこの際ほっといて、楽しくパーティー始めなきゃね。
翼の彼女のすずなちゃんが揃ってクリスマスのパーティーは始まる。
イラッとした感情を浮かべる司に、子供達は子供たちなりの配慮を見せて舞と佑君を二人っきりにしない様に集まってるのがおもしろい。
その事は司は気が付いてるのだろうか?
たぶん分ってない気がする。
一番の傍若無人の我儘放題やってるのは今も昔も司だよ。
一番子供じゃないのかな。
「ねっ、舞ばかり気にしないで、少しは私のこと見てくれないの?」
「あっ?」
不機嫌に返された声。
ようやく澪が司をパパだと気が付いたように嬉しそうな笑い声を上げる。
その声に司の表情が優しく変わる。
「舞の次には澪なんだ・・・」
ちょっと拗ねたように演技して呟く声。
「心配するな。お前が一番だから」
誰も心配してないから。
そんな気持ちは隠したまま司に微笑んだ。