十六夜の月は甘く濡れて 5

ここから物語は動きます。

急転直下~

ご覚悟を!

*

船上を飛び立つヘリ。

行くなという様にプロペラが作る空気の渦は潮の香を舞い上げる。

後ろ髪をひかれる思い。

それは・・・

牧野の側から無理矢理に剥がしてきた。

乾いて密着した接着剤からビリッと剥がす様に。

類とお前が一緒にいるとどうしようもなく心が乱れる。

類もお前も俺を裏切ることはないはずなのに。

俺の目の前で類がお前に触れるのを見て心にくすぶるのは軽い嫉妬。

「触るな」

その俺の一言に軽く笑顔を見せる類に、類は牧野のことを俺に任せてるって思える。

俺の知らないところで牧野が俺以外にやつに微笑むのはそれが挨拶でも許せない。

牧野、お前を誰にも会わせずに俺だけを見つめればいい。

それが出来たらどんなに楽なのだろう。

あのまま一緒にいたら・・・

嫉妬心のままの独占欲で歯止めが効かなくなりそうで・・・

大事なものを壊しそうで・・・。

あいつの肌を指が唇がなぞるたびに自分の思いだけを押しつけてる様で。

「どうみょうじ・・・ごめん・・・・ゆるして・・・」

触れるたびに発した声は俺に謝る言葉ばかりで・・・

それが俺を苛立てせて荒々しく扱うことしかできなくて。

牧野から聞きたかったのはそんな言葉じゃなかった。

いたたまれず逃げ出したのは俺の方。

急な仕事の連絡が来たことにホッとしてる自分がいた。

このまま数時間仕事に没頭できたらきっと昨日の事は忘れられるはず。

そのはずだった。

全然進まねぇよ。

あのまま牧野を置き去りにしたことを後悔するまでには、そう時間はかからなかったのだから。

コツコツとドアを叩くノックの音。

執務室に現れたのは総二郎とあきら。

今回の急な仕事はこいつ等も絡んでるからやってくるのはしょうがない。

でも今は一番会いたくない相手。

「悪いな。牧野と一緒のとこ邪魔して」

俺と牧野が船上パーティーに招待されてたのは知っていての総二郎の声。

一発目から痛いとこに触れてきやがった。

こいつ等も招待されていたはずなのに都合が悪いと不参加。

この二人があの場にいたら、もっと違った朝を迎えられていたはずだ。

「何かあったのか?」

「なんで?」

「司、俺を睨むな。

牧野とひと晩一緒にいたお前なら、いつもならスゲー機嫌いいいだろうが」

人の表情を読むのはあきらほど秀でたやつはいないって思う。

今日ほどお前が、かったるいって思ったことはない。

「るせぇ」

まともに答える気のない声が口先から零れる。

視線からはとっくの昔にこいつ等を除外してる。

「あのな」

攻める口調の総二郎の肩に手を置いて止めたのはあきら。

「牧野は一緒じゃないのか?」

見ればわかるだろう。

「置いてきた」

「置いてきたって、船にか?」

「一人で?」

「類がいるからどうにでもなんだろう」

そう言いながら牧野は類と距離をおくだろうと思ってる。

一人で帰えれない様な子供じゃねぇし。

「これ以上、俺を逆なでするなことお前ら言うな」

「牧野とケンカしたのか?」

「ケンカじゃねェよ」

ため息交じりの声。

「おい、今類って言ったよな?」

「ああ」

「類は今日本にいないはずだぞ」

総二郎のその声に俺たちは顔を合わせる。

「あれが、類じゃなきゃ誰なんだ」

皮肉る表情を浮かべながら俺は総二郎を見つめてた。

拍手コメント返礼

ゆきこ様

類じゃないんですか~~~~~

その叫びを頂きグフッとなってます。

いや~嬉しいな♪

話を展開させる瞬間に頂く反応はドキドキ物です。

総ちゃんの爆弾発言はこの後どう進むのか?

みわちゃん様

司の後悔がドツボにはまらなければいいんですけどね。

今回はつくしちゃんを反省させようと思ったのに司の方がひどくなりそうな…(^_^;)

そうですよね。

類じゃなければつくしが気が付きそうですけどね・・・

メガネちゃん様

何時もと違う何かが重なって狂う歯車って感じかな。

さぁ、このあと♪この後♪

私の脳も高速で働いてます。

なる 様

司の嫉妬分りますけど、類じゃなかったのーーーの展開に

え?ですよね。

さぁこの類の正体は?

どうなの~~~~でしょう?

ゆみん 様

何かあったとは思っても類が類じゃない?

そして、つくしが類が見分けられない筈がない!はず・・・

このあとはつくしの誘拐!

あり得ますな・・・

Gods & Death 様

総二郎とあきらが加わったことでまたまた面白い展開が出来ると考えてます。

話がオープンになるのはあと数話かかりますけどね。

絵梨 様

どちらも同じくらい後悔しちゃってるんでしょうね。

すんなりつくしが司の元に現れちゃったらそのまま元の鞘なんでしょうけどね。

それじゃ面白くないといろいろ考えるんです。

でーーーーッ。

今回は原因の類君が!って設定にしてみました。

うさこ 様

嫉妬過ぎちゃう司もらしいと言えばらしいんですけどね。

さて今回の類君の正体は!

どうなのか!

次回にご期待を~。

りん 様

何時ものごとく巻き込まれちゃってます。

でーーーそれが類君の~

この類君本物?偽物?

その答えはどっちだ~~~~~~ヽ(^o^)丿