恋人はSecurity Police 29

まさかここでの刃傷沙汰。

司、刺される → 記憶喪失。

この公式への反響が半端ない。

ひゃーーーっと悲鳴を上げそうになりました。(冗談です)

実は私は司を記憶喪失するお話は今のところ全く考えておりません。

つくしちゃんは別なお話で記憶喪失にしちゃってますけどね。(笑)

「肩をかせ」

私にもたれ掛ったままの道明寺と数歩歩いて乗り込んだのは黒塗りの高級車。

「救急車の方が・・・」

言いかけた私の制する道明寺の目力。

生命力の強さの溢れる瞳は痛みに耐える様に時々歪む。

「騒がれると困るからな」

そうつぶやいて私を車に押し込んだ道明寺は後部席に背中を押しつけて大きく息をひとつ吐いた。

道明寺の意をくんだ運転は車を直ぐに病院に向けて走らせる。

額にうかぶ汗は道明寺の痛みが強いと私に教えてる。

手の平に感じる濡れた感触。

傷口を押さえたハンカチはさっきよりも赤く染まってる。

「大丈夫?」

「大丈夫な訳ねえだろう。

でもお前に怪我させたほうが何倍も痛い思う。

怪我したのが俺で良かったよ」

道明寺の言葉に泣きたくなる。

零れそうになる涙を必死に耐える様に目に力を入れた。

病院に着いた道明寺は直ぐに白服に囲まれて処置室に運ばれてしまった。

「大丈夫ですよ」

いつの間にか私の側には西田さんが立っていた。

ストレッチャーで運ばれる道明寺は眠ったままで、何時もより顔色の悪い血色。

医師の説明を受ける西田さんを残して私は道明寺の側に駆け寄った。

「道明寺」

「今、麻酔が効いてますから」

看護師さんにそう説明されても不安が足元から私の身体を支配していく。

このまま道明寺が目を覚まさなかったらどうしよう。

あの時、私がいなかった道明寺は刺されずにすんだかも。

道明寺に怪我させたのって私のせいだ。

運ばれた部屋は一般病棟とはかけ離れた豪華な特別室。

白塗りの壁がわずかに病院だと思わせる造り。

部屋を見渡す気分にはなれそうもなくてベッドに横たわる道明寺を眺めてた。

唇にかざした掌に道明寺の吐息が触れる。

規則的に息を繰り返す唇に少しの安堵感。

「道明寺・・・」

額にかかる髪を整える様に触れる

「ごめん・・・」

指先はそのまま頬を伝い降りてそのまま両手で道明寺に抱きついた。

「イテッ」

「え?」

道明寺が気が付いた?

道明寺っ

嬉しくてまた抱き締める。

「痛いって言ってるだろうがぁ。

傷口に乗っかってるだよ」

ベッドからガバッと起き上がった道明寺は離れようとした私を引き戻す様に抱き締める。

「痛いんでしょう?」

「乗っかるのが俺なら問題ねェよ」

私を見下ろす瞳は優しく笑う。

道明寺の瞳が熱く私を見つめて甘く囁きかけてくるようで、思わず胸元を手の平で押して逃れようとした。

私を逃がすのを拒むように道明寺の腕は私の背中を捉えて離さない。

「逃げんな」

「だって、怪我に響くよ」

「お前とこうしてるほうがすぐにでも傷は治る」

「治るわけないよ」

怪我してるとは思えない道明寺の力強さを感じてる。

クスッとした笑みを浮かべる唇はそのまま私の頬に吸いつくように触れる。

いつの間にかベッドの横に腰をかける恰好で道明寺から背中ごと抱き締められてしまってる。

頬に触れた唇はそのまま首筋に顔を埋める様に角度を変えてきた。

ちょっ・・・

怪我してんでしょう!

「俺が傷物になった責任とれよな」

振り向きたいのに道明寺の腕の中で自由を奪われてしまってる。

「結婚しろよ」

道明寺が耳元でささやく声が呪文のように耳から身体の中に溶け込んでくる。

頬と頬が触れあって互いの熱がまじりあう。

コクリとうなずきそうになる自分がいる。

私を守った道明寺に感動しちゃって好きだって思う気持は前よりも大きくて、道明寺の存在が私の中で占める割合は自分以上に大きくて・・・

血を流してる道明寺になにあったら・・・

なにも言わないままの自分に後悔しそうで仕方なかった。

「道明寺・・・」

小さく呟いた声に続くのは好きだって言葉。

今なら素直に言える気がする。

視線を床からゆっくりと上げる。

斜めに移した視線の先でとらえた人影。

「大丈夫なようですね?」

コホンと咳払いが聞こえた後で物静かな西田さんの声。

「大丈夫じゃねぇよ。

お前の顔を見たら痛みが倍増してきた」

「果物ナイフで刺された傷ならたいしたことないでしょう」

「3針程度縫っただけですから、明日には退院できるそうですよ」

「3針でも腹を刺されたことにはかわりねぇだろう」

「内臓まで達したような大げさな反応は必要ないと言ってるのです」

早く帰れと道明寺の表情が険しくなってるのが分る。

「麻酔を使用されてないのに、麻酔で寝たふりまでされて興味を引くとは、姑息すぎます」

「西田!だまれ!」

それって・・・

わざと私を心配させたってこと?

気まずそうな表情が私を見たのは一瞬。

そのまま道明寺は私から視線を逸らした。

「帰る!」

ベッドから勢いよく立ち上がって道明寺の腕を振りほどいた。

好きだなんて二度と思はないからっ!

拍手コメント返礼

ゆみん 様

姑息の意味が司君に伝わってるかどうか・・・

どうでしょう?

西田さんも結構意地悪な性格なんだと暴露したような・・・(^_^;)

akko

婚約破棄の危機!

婚約した気になってるのは司君だけのような気もしますけどね。

つくしちゃんまだ返事してないし・・・

姑息な手段は司には似合わないぞ~

正々堂々立ち向かってがっちりつくしの愛を掴むのよ!

あらP様

ダメですよね。

単純につくしに甘えたいだけだったりして・・・

それはそれで可愛いと思ってしまうのです。

つくしは怒るでしょうけど・・・(^_^;)

なる 様

ツメがね・・・つめが甘いのよ~

重症のフリしたら次々とお邪魔虫も増える様な・・・

西田さん。楓さん、椿さんにタマにF3♪

呼寄せちゃってるかも・・・

光栄のお返事嬉しかったです♪

うさこ 様

このままうまくいかないのが我が家のつかつく・・・

あっ・・・

上手く押倒してたら終われたんじゃ・・・ないのかな?

失敗した!

miho 様

西田さん~

ばらしたらダメだよ~

ため息が聞こえてきそうな気がします。