ラストシーンは夢の中 12

いよいよ司君のお出迎え♪

不機嫌要素満載ですからね。

どうなるのか・・・

大体の想像はできちゃいますけどね。

「類は、今回牧野をダシに使ったってことか?」

お前らよく牧野を恋人役に仕立てるよな!

俺の気分がよくねぇのわかってるよな。

総二郎が一度週刊誌に撮られて、あきらも一度!

類にいたってはこれで何度目だ。

類の場合は牧野から頼んだ経緯もあるからこの3人の中じゃダントツに多い。

「牧野だったら俺たちに本気になることもないから安心なんだ」

恋人役を頼んでその気になってもらったらそのほうが困るというのがこいつらの言い分。

「司、牧野がお前にほれ込んでるのは俺達でも十分にわかる

牧野がお前以外に心を動かすことはこの先一生ないはずだ」

そう言われると俺の溜飲が下がることはこいつらは知ってる。

そうは、言ってもだな。

今回は俺がすぐにでもヘリで追いかけようとするのは阻止して類を行かせたわけだ。

その理由をどう説明する。

どんな理由も納得しねぇぞ。

「司、そう睨みつけるな」

「今にもお前の放つ怒りの電波で窓ガラスが割れるぞ」

俺をムカつかせてるのはお前らだろうが!

目下に広がる海原。

ターミナルの一角のVIP専用の待合室。

小さく見えていた豪華客船をようやくその全貌を明らかにする。

日の光がまばゆく反射する13トン級の白い船体は白鳥のしなやかさで先端で波を割って港に近づく。

思ったより進みが遅いと感じるのは牧野が乗ってるって思うからに他ならない。

「着いたな」

総二郎の声は聞こえる前に待合室を出た。

「ここで、待ってたほうが騒ぎにならないと思うぞ」

「日本よりはましだ」

後ろから聞こえたあきらの声にそう答えて俺は歩き続ける。

ここまでおとなしくお前らのいうこと聞いてだけでも奇跡じゃねぇのか?

税関を通りぬけて出てくるエントランス。

左右に総二郎とあきらを従えて真ん中で待ち構える。

どこまで待たせる。

落ちつかねぇ。

いや、、ここはまず冷静に何でもないような態度で牧野を捕まえる。

そこからじゃなきゃ話はすすまねぇ。

最初に姿を現したのは類。

後ろから出てきた牧野。

牧野が下げていたバックを類は持つよと受け取って遠慮がちに渡しかけた牧野の視線が俺を見つけ高まった。

「あっ」

とつぶやいた形のままに固まった唇。

あのなッ!

そこは「道明寺」でにっこりだろうがぁ!

飛んで来て抱きつく素振りくらい見せてみろ。

あいつには無理か・・・。

俺たちに近づいてくる類を追ってきた視線がそのまま俺たちをとらえて一点で止まった。

「えっ?嘘・・・F4」

「どうしてここにいるの?」

「きゃーーーッ。日本でも滅多に見られないのに、集結してるぅ」

降りてきた乗客のほとんどは日本人。

会社がらみで小さくても何らかのつながりは俺たちにあるはずだ。

知らないやつがいるはずねぇか。

そしてやけに若い女が多い。

出会いの場をセッティングした上流階級限定の見合い船上パーティ。

もちろん婚約者がいる俺以外の3人には招待状が届いたらしい。

最悪一人だけでも参加してほしい、目玉がないと困ると泣きつかれた総二郎、類、あきらの親父たち。

牧野がその船に乗ってるってわかった瞬間に類に押し付けたこいつら。

牧野がいるんだったら俺たちも行ってもよかったと俺の前でほざきやがった。

一番いいのは俺が行くってことじゃねぇのか。

「それじゃ意味がない」

速攻で否定されたことには納得してねぇからな。

一人でも目立つ俺たちが4人その中に牧野が一人。

興味津々な視線は遠慮なく俺たちに注がれてる。

そのくらい気にならねぇけど、牧野は気にすんだろうな。

思いっきり注目されるのは今回は俺たちよりお前にしてやるよ。

それが俺をだました罰。

ここで怒鳴りあってもただ喧嘩になるだけだしな。

待っていた時間が俺を優位にたたせてる。

「道明寺・・・」

やっと俺の名前を牧野が呼んだ。

俺の名を呼ぶ甘えた声。

その声だけで胸の奥がくすぐられる。

何日俺を無視したか覚えてるか?

責めたい気持ちより今すぐ抱きしめたい感情。

瞳が牧野をとらえた瞬間に会いたかった気持ちがあふれ出る。

さっきまでムカついてたはずなのに、俺たちの周りからすべてを取り去って、今の俺にはお前だけしか見えてない。

伸ばした腕は牧野の腕をつかんでそのまま胸元に抱き寄せた。

拍手コメント返礼

うさこ様

やっと再会までこぎつけた~

え?

船の中でどう過ごしたかが気になる?

そこはもちろん類とつくしがってことですよね?

それ聞いちゃうと司がキレるかも~

案外恋人のふりを楽しんじゃってたりするかも。

卒業式のプロムみたいに二人で踊ってるとか?

しっかり広報誌とられて朝の船内新聞で一面を飾る。

誰かが捨てた新聞が風にあおられ司の足もとにたどり着く。

なんだこれ?

ってことでひと悶着せっかくのいちゃこらのはずが喧嘩別れになったりして・・・(^_^.)

抱きしめた後が楽しみだな。

ゆみん 様

もう一つのお話の司とは違いすぎですよね。

どっちの司がお好みですか?