ANSWER 29
おはようございます。
梅雨が明けたというのに雨模様の天気が続いています。
まるでこの話の様。
カラリと晴れた真夏の恋の行方には程遠いなぁ・・・(;^ω^)
「器用なのか不器用なのか・・・
わかんない奴」
フッと笑みと一緒に聞こえた独り言のような声。
それが自分に向けられた言葉だとわかるのに少し時間がかかった。
「先輩も器用とは言えないと思いますけど」
呼び捨てにせず先輩と言ったのはわずかな抵抗。
少し舞のイントネーションに似せた先輩の言い方。
あいつは戸惑ったように少しの間をお置いて遠慮がちに先輩って呼ぶんだ。
その間がなぜか癪に障って落ち着かない気持ちに俺をさせる。
ベッドに腰を掛けても横になる気持ちにはなれず目の前の大内を素通りして窓の外を眺める。
目の横で否応にも大内の姿をとらえてしまうのはこの病室の狭さじゃ仕方ない。
「舞に何させるつもりですか?」
何でもする!
その言葉の危険すぎる意味、舞は全然頭にないって思う。
道明寺財閥の一人娘・・・16年ぶりに妹が生まれたけど。
いままでに育った環境は欲しいものは何でも手にいれてもらえる。
道明寺司を筆頭に俺の父親美作あきら西門総二郎、花沢類。
今でも人気は衰え知らずのF4に大事に守られた育てられたお姫様。
本城以上の姫様状態だ。
世間並みの常識があるのは舞の母さんの影響であるはずなのに、男子への警戒心のなさは幼児並だ。
何でもする!
邪心を持つ男にはなんとも都合のいい言葉ってことをあいつは全然わかってない。
舞を嫌いになれたらどんなに楽か。
ハラハラしてるのはいつものことで・・・
俺が守ってやらなきゃって思いからはなかなか抜け出せずに小さいころから目が離せない。
嫉妬なんてしたことなかったのに。
最近大人になっていく舞にどきっとさせられっぱなしで・・・
それでも周りに対する無防備さは子供の頃と変わらなくて・・・
そして、その無邪気さにハラハラしっぱなしで・・・
ドキリとさせられて・・・
そして傷つけられる。
それでも嫌いになれなくて・・・
腐れ縁にしても最強だろう。
「別に・・・」
気のない返事は本城に帰れといった冷たさとかぶる。
さっきは舞に何かさせそうな言い回しだったよな!
詰め寄りたい感情はぐっと押さえこむ。
「明日あいつが来たらお前が責任もって追い返せ」
「本城が来るからですか?」
「あいつは俺が追い返す」
こともなげにそう告げる冷めた表情。
口から漏れたため息はうざいという感情を隠しもせずに吐き出してる。
「本城が舞の兄貴と帰っても、何にも思わないんですね」
舞の兄貴の道明寺駿。
誰もが振り返る艶やかなオーラの持ち主で、世間でもモテる認識度は急上昇中の経済界の一押し若手ナンバーワン。
最近の掲載誌に取り上げられた将来の有望若手御曹司特集の筆頭。
英徳では随分と騒がれていた。
道明寺駿を知らなかった本城は例外中の例外だろう。
大内以外の男子には興味がなってことなのだろうか。
「俺がどう思おうと、どうでもよくないか?」
「婚約者なんですよね?」
「・・・・・・」
返事はなくベッドの中にもぐりこんで背を向けられてしまった。
「興味ない」
俺の視線を感じたように不愛想に響く声。
話しかけるなの拒否感を漂わせた背中。
布団から伸びてきた腕はベッドのライトを落とす。
ベッドに臥床した姿をぼんやりと包み込む薄明かり。
シーンと静まり返った病室。
廊下から聞こえてくるのはコツコツと響くナースの巡回の靴音。
昼間の賑やかさが嘘みたいになくなって孤独に包みこまれていく。
いつもなら寝るにはまだ早い時間。
眠れそうもない夜に・・・
落ち着きを取り戻せない。
一日でいろんなことがありすぎだ。
興味がないって一言でくくれるほど人間は単純じゃない。
興味がないってことは興味があるってことじゃないのか?
本当になんにも興味がなかったとしたら・・・
あいつは舞を・・・
俺は本城を助けたのだろうか?
少しでも気に留めなかったら咄嗟に動いて助けることなんてできない。
本城に興味がないとして・・・
舞にも・・・?
興味ない?
一番聞きたい問いかけは口には出せないままに俺もベッドにもぐりこんだ。
拍手コメント返礼
さち 様
カメ並みののろのろなこの展開。もやっとしますよね。
私ももやっとしてます。
早く佑君のもやもやも取り除いてあげないといけないですよね。
最近舞ちゃんの株が急降下気味です。(;^ω^)
goemon 様
佑君ここが踏ん張りどころです。
舞ちゃんがしっかりしてれば問題ないのになぁ~
アーティーチョーク 様
舞がああだから佑君も落ち着かないんですよね。
翼とすすなはどうなってるのか?
こんな大事件のあとでスルーしちゃうのもなんだか物足りないですよね。(;^ω^)